つんく♂、食道発声は「めっちゃ汗かきます」 語った音楽祭への思い「曲は時代を動かす力ある」

つんく♂(55)が総指揮する「TOKYO青春音楽祭2023」が12月26日、東京・初台Doorsで開催される。3年間、「TOKYO青春映画祭」を実施してきたが、今回は音楽に特化したもので、新たな才能を発掘する。つんく♂がその思いを語った。

「TOKYO青春映画祭」開催へ考えを明かしたつんく♂【写真:荒川祐史】
「TOKYO青春映画祭」開催へ考えを明かしたつんく♂【写真:荒川祐史】

12月26日に東京・初台Doorsで開催

 つんく♂(55)が総指揮する「TOKYO青春音楽祭2023」が12月26日、東京・初台Doorsで開催される。3年間、「TOKYO青春映画祭」を実施してきたが、今回は音楽に特化したもので、新たな才能を発掘する。つんく♂がその思いを語った。(取材・文=平辻哲也)

 2014年に喉頭がんの手術で声帯を摘出したつんく♂。公の場ではパソコンを使って、文字で言葉を届けているが、約半年間の特訓を経て、食道内に空気をため込んで声を発する食道発声を習得。日常では使っているのだという。

「パワーを使うので、めっちゃ汗をかきます。会議室のような静かな場所なら、大丈夫ですが、少しでもうるさいと難しいかな」と話す。

 2016年に一家で米ハワイに移住。現在は双子の長男(15)、長女(15)、次女(12)の子育てをしながら、オンラインサロン「みんなのつんく♂エンタメTOWN」を主宰したり、メディアプラットフォームnoteにてコラムをスタートさせるなどクリエイティブ活動を続けている。

 TOKYO青春映画祭は、オンラインサロンで「中2に見えるヒロイン募集」からスタートし、「中2」が主人公の短編映画(30分以内)のコンペティションとして21年から開催。第3回の今年は200近い応募から全23本を上映。「中2映画プロジェクトアイドル部」というアイドル育成も続けてきた。

「映画はいろんなエンタメがつまっていて、誰もが参加できる。けれども、『音楽祭』と言われると、ちょっとカテゴリーが広すぎて、主催側も参加者も迷ってしまうと思って、最初は映画祭から始めたんです。音楽祭には若い子にも参加して欲しいし、青春を感じている人たちも応募してくれるといい。それを青春というカテゴリーの中でやっていきたい」

「中2」に焦点をあてた理由も明かした【写真:荒川祐史】
「中2」に焦点をあてた理由も明かした【写真:荒川祐史】

 応募条件に年齢は不問。シンガー部門、パフォーマンス部門、楽曲部門を用意しているが、応募状況に応じて、部門を増やすことも検討している。

「アイドルを目指す若い子もいて、おっちゃん、おばちゃんもいて、大人が青春モノを作ってもいいわけです。もちろん、50歳が50歳の曲を作って、『これが自分の青春なんだ』ということでもいいけど、中2の子たちの青春ソングが集まってくれば。40代の人からデモ曲を聴いてほしいと送られてくるのですが、誰に向けて作っているのか、分からないものも多い。そんな迷いはない方がいいと思っています」

 これまで「中2」という年代にスポットを当ててきたのには、東大阪時代の自らの体験が下敷きになっている。

「中2の時って、吸収力が一番すごかったなと思うんです。テレビ、映画を観て、漫画を読んだり、部活もやって、親に反抗する。先輩に憧れたり、かっこつけていました。それが青春だった。やり直せるなら、もっと勉強しておけばよかったなと思ったり。でも、めっちゃ頑張っても、東大には入れなかったと思うけどね(笑)。大人たちも、あの頃を軸に考えれば、とてもクリエイトしやすいじゃないかと思っています」

 かつてのミュージシャンたちは大手CD会社からメジャーデビューするのが夢だったが、今ではYouTubeなどで自ら発信し、チャンスをつかみ取る人も多い。

「そういう努力をした人もいる一方、手応えをつかみきれていない人もいる。そこで、この音楽祭に参加してもらって、そこに乗っかってくれたら、と思っているんです。素晴らしい曲は、時代そのものを動かす力を持っていますから」

 音楽祭で発掘した才能は、次の映画プロジェクトなどに起用することも描いている。

「映画祭も音楽祭も、オンラインサロンで協力してくれる人や協賛してくれる人がいるから、やっていけている。今後は、TOKYO青春アニメ祭もやりたいと考えています。漫画、アニメの2次元がついて、役者、声優が集まって、一つのワールドができる。核となるキャラクターが一つできれば、物語もできていく。ただ、一番お金がかかりそうなプロジェクトになると思うので世界中のゲーム会社やエンタメ企業と組んでいきたい」と夢を広げた。

□つんく♂ 1968年10月29日生まれ、大阪府出身。1988年シャ乱Qを結成。1992年にメジャーデビューし4曲のミリオンセラーを記録。その後、日本を代表するヴォーカルユニット「モーニング娘。」をプロデュースし大ヒット、代表曲「LOVEマシーン」(1999年)は176万枚以上のセールスを記録。ハロー!プロジェクトを始め数々のアーティストのプロデュースやNHK Eテレ「いないいないばあっ!」を含む数多くの楽曲提供、サウンドプロデュースを手掛け現在ジャスラック登録楽曲数は2000曲を超える。プロデュースした任天堂のゲームソフト「リズム天国」シリーズは全世界累計販売本数500万本以上のヒットとなる。著書に「凡人が天才に勝つ方法(東洋経済新報社)」。

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