「じじのクルマをもらえるのはうれしい」 80代名車オーナーに孫の後継者 後世に残すために伝えたこと
全国各地でカーミーティングが活況を見せる中で、旧車人気の高まりが続いている。愛と情熱が込められた自慢のクルマの数々。ただ、自分自身が年齢を重ねていく中で、いつかは愛車を手放すときがやってくる。寂しい思いがよぎるが、ライフプランのどこかのタイミングで“区切り”を意識している人も多いだろう。貴重な名車に乗るオーナーたちは、「継承」をどのように考えているのか。本音を聞いた。
「やっぱりね、クルマは技術力の証しで、日本の財産なんですよ」
全国各地でカーミーティングが活況を見せる中で、旧車人気の高まりが続いている。愛と情熱が込められた自慢のクルマの数々。ただ、自分自身が年齢を重ねていく中で、いつかは愛車を手放すときがやってくる。寂しい思いがよぎるが、ライフプランのどこかのタイミングで“区切り”を意識している人も多いだろう。貴重な名車に乗るオーナーたちは、「継承」をどのように考えているのか。本音を聞いた。
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「購入時から、ゆくゆくはどなたかに、とは考えています。やっぱりね、クルマは技術力の証しで、日本の財産なんですよ。大事にしてくれる本当にクルマ好きの人に乗ってもらうのが一番です。そうなれば安心して譲れます」
日本のスポーツカーの“先駆け”とも言える、ダットサン・フェアレディ2000に乗る70歳男性オーナー。定年退職を前にした59歳のときに愛車を入手した。購入当時から、いつかを見据えているという。
高度経済成長期、モータリゼーション、自動車文化の発展……。「日本社会にとっての宝なんです」と、自動車産業の華やかな歴史と社会への貢献に思いをはせる。
仲間内で話していると、体力の衰えの自覚などもあって継承の話題になるといい、男性自身も「あと5年のうちかな」。一方で、愛車の譲渡を巡るきな臭いうわさを耳にするという。「買うまではすごく熱心に丁寧にオーナーに接するのに、買ったらすぐに売っちゃうやつもいるみたいなんだよね。それだけはないようにしたいんだ」。転売目的や詐欺まがいの“被害”への注意点を挙げた。オーナーたちが人生を懸けてきた大事な宝物だ。警戒心を抱くのは当然だろう。
懐かしの1970年式マツダ・コスモスポーツを大切にしているオーナーは、若い頃から憧れのロータリーエンジンを満喫している。「当時、『宇宙船』『ロケット』なんて呼ばれたクルマです。素晴らしいデザイン性だけでなく、このロータリーエンジンを後世に伝えたいんです」と熱く語る。
継承の条件はもちろん、「大事にしてくれる人」だ。日本が誇る名車だけに、「できれば日本国内を走っていてほしいですね。生粋のコレクターの方や個人ミュージアムで保存してくれる方がいれば、海外のオーナーさんにもお譲りします。いずれにせよ、オークションにかけて右から左に流してしまうような人には絶対に譲りません」とのことだ。
“100年乗れるクルマ”目指す完全整備
ハリウッド映画などの影響によって世界的な人気を示す日産スカイラインGT-R愛好家の1人は、「家族に乗る人はいないので、自分の体が動かなくなったときは、もう運転は厳しいとなったときは……売ることになるでしょうね」と明かした。“20年選手”の大好きな愛車とともに走る時間を大事にするつもり。GT-Rの魅力や“走り仕様”を多くの人に見てもらうべく、カーイベントや展示会に出展していくという。
60年以上前に製造されたダットサン・ブルーバードを愛する80代オーナーには、うれしい後継者が見つかった。大学3年生の孫だ。昨年に免許を取得したばかりで、クルマに興味を持ち始めているという。
「孫が小さいときに私が乗せていたクルマなんですよ。『これをお前にやる』と伝えたら、『じじのクルマをもらえるのはうれしいよ』と返事をしてくれたんです。それに、『今度、じじを乗せて運転の練習をするよ』なんて言ってくれてね」と相好を崩す。“100年乗れる”を目指して、部品交換など整備を万全にする予定だ。
後世に受け継ぐための心構え。自動車業界の歴史を象徴する名車の愛好家として、孫にしっかり伝えていることがある。「『売る』はしないでね、と言ってあります。もし譲渡する場合になっても、博物館などに寄贈するか、本当に欲しい人に無償であげてね、と。それがじじからのお願いです。孫にはぜひつないでいってほしいです」と話している。