【電波生活】徳光和夫、ロケ中の居眠り事情 『路線バスで寄り道の旅』番組P「旅番組があまり好きじゃない」

注目番組や人気番組の舞台裏を探る企画。今回はテレビ朝日系『路線バスで寄り道の旅』(日曜午後3時20分、週によって日曜午後4時15分の場合も)。フリーアナウンサーの徳光和夫と女優の田中律子がレギュラー出演し、ゲストを迎えて路線バスで旅をする番組。バスの中の徳光の居眠り姿など、ありのままの様子が紹介されるのも魅力の一つ。制作会社「えすと」のプロデューサー・大垣信良氏に、番組誕生時の様子やバスを利用する理由、徳光の現場の様子などを取材した。

番組にレギュラー出演する徳光和夫と田中律子【写真:(C)テレビ朝日】
番組にレギュラー出演する徳光和夫と田中律子【写真:(C)テレビ朝日】

テレビの旅番組で路線バスが重宝される事情も

 注目番組や人気番組の舞台裏を探る企画。今回はテレビ朝日系『路線バスで寄り道の旅』(日曜午後3時20分、週によって日曜午後4時15分の場合も)。フリーアナウンサーの徳光和夫と女優の田中律子がレギュラー出演し、ゲストを迎えて路線バスで旅をする番組。バスの中の徳光の居眠り姿など、ありのままの様子が紹介されるのも魅力の一つ。制作会社「えすと」のプロデューサー・大垣信良氏に、番組誕生時の様子やバスを利用する理由、徳光の現場の様子などを取材した。(取材・文=中野由喜)

 番組の企画内容が決まったのは初回放送の1か月前だったという。2週間後にはロケをしないと間に合わないスケジュール。キャスティングはどうしたのか。

「テレビ朝日さんの方から徳光さんはどうかという声が上がりました。私は日本テレビ出身で、徳光さんと40年以上のお付き合いがあるんです。徳光さんは旅番組があまり好きじゃないのに、以前も私の企画した旅番組にだけは出演してくれて、一緒に韓国や台湾にも行った経験もありました。そこで、お願いしてみたら了解してくれたんです」

 徳光は旅番組を好きではなかったのか。

「そうです。徳光さんはイベントとスタジオの人。でも長い付き合いなのでやると言ってくれたのだと思います」

 そもそも、なぜバスなのか聞いてみた。

「バスは電車より撮影の制約が少ないから車内の乗客の皆さんとの触れ合いを撮影しやすいんです。バス会社と乗客ご本人の了解を得たら放送できます。徳光さんは“隙だらけ”で、ロケ中も一般の人から話しかけられると話し込むんです。バスは乗客が次から次へと人が入れ替わりますし、徳光さんから話しかけ、話しかけられる。その触れ合いが今までの旅番組と違う形になると思いました」

 少なくとも複数の扉から乗降する電車の乗客よりバスの乗客の撮影許可は取りやすい。ここで徳光の話好きに対応した、もう一つのバス利用効果を教えてくれた。

「徳光さんは時間の感覚がないんです。バスの時刻表なんて見やしません(笑)。さらに、立ち寄った飲食店では食べ終わった後が長いんです。カメラを止めた後も店主や他のお客さんとの話が止まりません。そこで『バスの時間が迫っています』と伝えて制約をかけています。すると徳光さんも腰を上げてくれます」

 他局でもバスを使った企画が多い。撮影許可の取りやすさ以外にも理由はあるだろうか。

「駅よりバス停間の距離が短いので寄り道先が増え、ロケ先のバリエーションを増やしやすいんです」

 最近は路線バスの車両を貸し切りで利用している。

「きっかけはコロナ禍です。撮影で出演者はマスクをつけ、出演者間には仕切りのアクリル板も使用しなければならず、一般の路線バスを使った撮影が不可能になりました。撮影ができず数カ月間、再放送でしのいだ時期もありました。そこでバスを貸し切り、バスを『和夫の部屋』のスタジオだと思って撮影することにしました」

 旅先では徳光が知人と出会う場面が多々見られる。事前にセッティングされているのか。

「全部、偶然です。長野ではタクシーの運転手さんに声をかけられましたが、徳光さんの小学校の同級生でした。偶然の出会いがすごくあります。考えられる要因は、一般の番組ロケのスタッフは数人ですが、私たちは大人数で移動して多少目立つため出会う確率が高まるのかと思います。徳光さんがいると分かると、一般の方はカメラが回っていても声をかけてきますし、徳光さんも応じます。人数が多いのはバスの車内で撮影するスタッフと送り出すスタッフ、出演者が乗るバスを追いかけるスタッフが必要だからです」

 徳光が車内で居眠りをしている場面がよくある。本当に眠っているのだろうか。

「本当に眠っています。揺れるバスの中ですから10分程度です。プライベートで一緒にゴルフに行くときも電車で寝ています。乗り物に乗ると寝ちゃう人なんです。普通の番組は居眠り姿を放送しませんが、我々はトイレに行く時も追いかけて撮影し、いつもの処方薬を飲む姿も撮影します。我々は紀行番組でありながらドキュメンタリーだと思って作っています。立ち寄るお店も徳光さんの好きな所に寄ってもらい、自分で撮影交渉もしてもらいます。我々は徳光さんについていくスタンスで撮影しています」

『路線バスで寄り道の旅』のロゴ【写真:(C)テレビ朝日】
『路線バスで寄り道の旅』のロゴ【写真:(C)テレビ朝日】

他のバス旅番組との違いとは

 他のバス旅番組との違いも聞いてみた

「マツコ・デラックスさんがこの番組は『徳光さんを見て楽しむ番組』と言っていました。私も年齢は60代ですが同窓会に行くとみんな見ていると言います。徳光さんの同級生たちも見ています。旅のゴールや寄り道先はおまけ。徳光さんが何をするかを楽しむドキュメンタリー番組。元気な82歳に見ている人も元気が出ますし、勇気をもらえると思います」

 あらためて徳光の魅力を聞いてみた。

「長い付き合いの私と昨日入った新人とも同じように接する優しい人です。裏表がなく、人と接することが苦にならない人。ギャンブルで熱くなる時以外は優しいです(笑)」

 最後に徳光の意外な素顔も明かしてくれた。

「徳光さんは多分この番組を見ていないと思います。裏番組に競馬中継があるからです(笑)。昔、箱根駅伝の裏番組として5時間の枠で放送したことがありましたが、徳光さんはすべての大学がゴールインするまで駅伝を見ていました。しかも茅ヶ崎を走る時には沿道に応援に行っていました(笑)」

 番組内の音楽は大垣氏自ら選曲し、これまで約3000曲になるという。大垣さんの机はザ・ピーナッツやピンキーとキラーズなど懐かしいCDが山積み状態だった。中高年を楽しませたい思いにあふれていた。

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