SMILE-UP.（旧ジャニーズ事務所）の井ノ原快彦副社長は8日、同社から独立した形で設立するタレントのマネジメントなどを担う新会社の名称を「STARTO ENTERTAINMENT（スタートエンターテイメント）」とすると、ファンクラブ向けの動画で発表した。社長（CEO）には、俳優・のんがエージェント契約しているコンサルティング会社スピーディの社長、福田淳氏が就任した。動画には福田氏も登場し、井ノ原と明るくやり取り。社長就任の経緯、約160人のタレントたちと面会したこと、自身の歯が「人工ダイヤモンド」であることなどを明かした。

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　約18分の動画の冒頭。井ノ原が登場し、ファンに向けて「みなさまにお伝えしたいことがあります。みなさまがいたことで僕らは励まされました。皆さんがいたからこそ、みんなの声援なくしては我々の存在はとっくになくなっていたかもしれません」などと感謝の言葉を並べた。

　そして、「誰がやっても非難される状況で引き受けてくださいました」と言い、福田氏を紹介。白く長い髪の同氏は薄紫のジャケット姿で登場。「ファンの皆さまにやきもきさせて申し訳ありません」とあいさつし、これまでの流れを説明した。

「10月2日の（ジャニーズ事務所の）会見までは、この問題について批判的な者の1人でした。ジャニー（喜多川）さんは天才的な人でしたが、彼がやったこと（性加害）は決して許されることではない。ただ、会見を見て少し驚きました。ジュリーさんの手紙に人間味を感じたからです。廃業を決心されて補償するということですが、これだけ半世紀以上も続いたエンターテインメント企業を廃業する決断に驚きました」

　その後、NPO法人の友人の紹介でSMILE-UP.を訪問。SMILE-UP.オーナーの藤島ジュリー景子氏、社長の東山紀之、井ノ原と面会した際、東山から「エージェントはどのような仕組みでやればいいのか」と問われ、7年前から、米国で進んでいるタレントとのエージェント契約を自身が国内で進めてきたことを説明したという。

　そして、10月中旬には東山が「（SMILE-UP.で）補償に仕事に集中したい」と、新会社の社長になることを辞退。SMILE-UP.側からは当初、「社外取締役で」と打診を受けていたものの、東山の決断を踏まえて井ノ原が福田氏に「社長をお願いしたい」と依頼されたという。

　就任には「『はい、喜んで』とは言えず、葛藤もあった」と振り返ったが、「東山さんは（インタビューで）90歳までやると話されていたのに、補償に専念する決意をした。批判の渦にはあるけど、この素晴らしい歌や踊りやコンテンツをなくしていいのか、惜しいな」という思いもあって受諾。木村拓哉を含めて約160人の所属タレントと面会し、「いい意味で普通の人間ではない、鋭いし、状況判断に的確。大変な中で勝ち抜かれたトップガンみたいな人ばかりでエネルギーをもらった」と感じたことも明かした。

　井ノ原はやり取りの中で、「（福田氏と会った）後輩が『思ったより歯が白かった』と言っていました」と明かすと、福田氏も「ジルコニアです。人工ダイヤモンドです。ダイヤモンドより硬いです（笑）」と身を乗り出して説明する一幕もあった。

　社名については、ファンから集まった公募14万156件から、「STAR（スター）＋と（未来へ向かう）」の意味を込めて、「STARTO　ENTERTAINMENT」に決めたことを発表。福田氏は「結構、目を通してピンときました。プロの方にも見ていただいて、絞り込んで、ブラッシュアップもしましたが、（スタートエンターテイメントは）11件あった」と明かした。

　そして、CEO（最高経営責任者）福田淳、COO（最高執行責任者）井ノ原快彦、CFO（最高財務責任者）辰喜一宏、CCO（最高コンプラアンス責任者　和田美香）の経営陣を発表した。今後については、「前よりもいっそう応援してもらうにはどうすればいいか」を考え、経営のフレームを作っていくし、「これから新しい社屋、経営のことをやらないといけないので、来年春ごろに稼働します」と宣言した。

　井ノ原が「それまではまずは目の前にあること続けて一生懸命やる。タレントとしてもですね」と確認すると、福田氏は「新会社としてスタートできるのも、みなさんの支援があったからこそです。ぜいたくを言うなら、これまで以上に応援してください。私も頑張りますので、よろしくお願いいたします」とファンに呼び掛けた。

　その後、同社の公式サイトが立ち上がり、会社が10月17日に設立され、社外取締役に佃慎一郎氏が就任していることも発表された。