【ブギウギ】異例の“ほぼ歌唱シーン”構成のワケ NHKの狙い「普通はやらないと思います」

NHKの連続テレビ小説『ブギウギ』(月~土曜、午前8時)の第49回が7日に放送され、主人公・スズ子(趣里)が戦死した弟・六郎(黒崎煌代)への思いが込められた楽曲『大空の弟』を披露する姿が描かれた。曲は作曲家・羽鳥善一(草なぎ剛)が作ってくれた設定だが、スズ子のモデルとなった笠置シヅ子さんも弟を戦地で亡くし、羽鳥のモデルとなった服部良一さんが同名タイトルの『大空の弟』を作詞、作曲している。NHKの制作統括の福岡利武氏が取材に応じ、スズ子の歌う『大空の弟』の舞台裏を紹介してくれた。

ステージに向かうスズ子(趣里=左)【写真:(C)NHK】
ステージに向かうスズ子(趣里=左)【写真:(C)NHK】

服部隆之氏の祖父・服部良一さんが作った『大空の弟』をアレンジ

 NHKの連続テレビ小説『ブギウギ』(月~土曜、午前8時)の第49回が7日に放送され、主人公・スズ子(趣里)が戦死した弟・六郎(黒崎煌代)への思いが込められた楽曲『大空の弟』を披露する姿が描かれた。曲は作曲家・羽鳥善一(草なぎ剛)が作ってくれた設定だが、スズ子のモデルとなった笠置シヅ子さんも弟を戦地で亡くし、羽鳥のモデルとなった服部良一さんが同名タイトルの『大空の弟』を作詞、作曲している。NHKの制作統括の福岡利武氏が取材に応じ、スズ子の歌う『大空の弟』の舞台裏を紹介してくれた。

「すごく難しい歌で、趣里さんも何度も練習していました。今までは観客に向かって思い切りパフォーマンスする歌でしたが、今回は亡くなった六郎への思いを込めて歌わないとなりませんので難しいと感じたと思います。第49回の歌は、そのままステージで録音しております。弟への気持ちをしっかり歌にしたいと考え、ステージで歌っていただいたまま撮影しています。その意味でも非常にエモーショナルな歌になったと思っております」

『大空の弟』は2019年に舞台で1度披露されている。当時は服部氏が作った未発表の曲と報じられた。

「楽譜が発見され、戦争の歌を作ることを苦手としていた服部良一さんが、弟への姉(笠置さん)の思いをくんで、これは歌にしなければという思いで作ったのだと思います。当時、戦争で家族を亡くした方はたくさんいたと思いますが、そういう方に寄り添ういい歌だと思います」

 劇中の歌は『ブギウギ』の音楽を担当する服部良一さんの孫・服部隆之氏が編曲したのか。

「そうです。祖父・良一さんの楽譜を見ながら祖父の思いをぐっと歌に込めつつ、少しだけご自分の思いを入れるような形でアレンジをしています。テンポを含めていろいろ考えていました。実際の音源はない曲ですので、たくさん議論して作ったシーンです」

 歌詞はどうだろう。

「歌詞については、『ブギウギ』バージョンと言いますか、ドラマにあわせて少し直しています」

 第49回はほとんど歌唱シーンだけだった。茨田りつ子(菊地凛子)が『雨のブルース』を歌い、スズ子が『大空の弟』『ラッパと娘』を歌った。朝ドラとしては異例。

「そうですね。普通はやらないと思いますが、歌への気持ちもしっかり描いていますので、いつもと違ったふうに歌を楽しんでもらえるのでは、という思いでステージシーンを長く描きました。歌を大事にしたい思いがあります」

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