日大薬物事件で林真理子理事長「辞任は何度か考えた」も…「この案件で改革がちょっと滞っている」
日本大は4日、アメリカンフットボール部を巡る違法薬物事件に関し、東京・九段南の日大本部で記者会見を開いた。林真理子理事長、第三者委員会答申検討会議の久保利英明議長、同事件に関する調査及び再発防止検討委員会の益子俊志委員長が登壇。日大は今後の学校運営などについて説明し、いったんは廃部の方針が示されたアメフト部については「引き続き検討」と発表した。林理事長は自身の責任について、「処分の内容を重く受け止め、今後、改革を全うしていく」と続投を宣言した。
日大本部で会見
日本大は4日、アメリカンフットボール部を巡る違法薬物事件に関し、東京・九段南の日大本部で記者会見を開いた。林真理子理事長、第三者委員会答申検討会議の久保利英明議長、同事件に関する調査及び再発防止検討委員会の益子俊志委員長が登壇。日大は今後の学校運営などについて説明し、いったんは廃部の方針が示されたアメフト部については「引き続き検討」と発表した。林理事長は自身の責任について、「処分の内容を重く受け止め、今後、改革を全うしていく」と続投を宣言した。
会見では、林理事長が「改革」をうたいながら「悪化」しているとの指摘も記者から受けた。林理事長は「ご指摘は重く受け止めております」と言いながら、「改革は私が就任して1年間は着実に進んでいました。この案件があってちょっと滞っている」と回答。その上で「ムラ社会、組織風土」が改革が進まない要因に上げた。
「辞任を考えたことはあるか」の問いには、「何度か考えたことがあります。ただ、改革は途中です。それ以上は詳しくは言えません」とコメントした。
林理事長は昨年7月1日に女性として初めて日大の理事長に就任した。2018年に起きたアメフト部のタックル事件、その後に起きた田中英寿元理事長の脱税事件や付属病院をめぐる元理事らの背任事件で混乱を続けた大学を再建する改革を期待されていた。
<日大アメフト部薬物事件の経過>
22年10月29日 アメフト部保護者会開催後、保護者の方から「大麻を使用していないのか」と調査の依頼。
10月30日 部員121人に聞き取り調査。
11月下旬 部員の1人から「大麻と思われるとものを吸った」という自己申告があり、日大側がOBの警察官に相談。「物的証拠がない」「事実の証明ができない」「学生には厳重注意」などと指導を受けた。
23年6月30日 警察から「大麻を使用している可能性がある」と連絡。大学が調査も見つからず。
7月6日 警察から再度、「大麻使用の可能性がある」との連絡。持ち物検査の結果、所有者不明の不審物を発見。
7月18日 警察に相談(空白の12日)。
7月19日 警察が不審物を鑑定。
8月3日 学生寮が家宅捜索。捜索の後、不審物は違法な薬物であること判明。
8月5日 部員が警視庁に逮捕。
8月8日 記者会見。「空白の12日」について、澤田康広副学長が「まずは学生に反省をさせたいと思いましたが、本人が自首をできるような状況ではなかったので、私の責任で保管しました。7月で前期が終わる時期で、日中にヒアリングはできず、(大学として)調査を続けていたため、すぐに警察には相談できませんでした」と説明。林真理子理事長も「対応は適切でした」と言い切った。
10月16日 新たに別の部員が逮捕(2人目)
11月1日 事件への大学側の対応を調査してきた第三者委員会が調査報告書を公開し、林理事長や酒井建夫学長、澤田副学長ら執行部の「ガバナンスが全く機能しなかった」と厳しく指摘。日大の執行部の中では「責任の所在の明確化」や対応を検討する「ワーキンググループ」が作られ、同日午後、メンバーが酒井学長と澤田副学長に「混乱を生じさせた」との理由で辞任を勧告した。後に理事会からも勧告。
11月27日 新たに別の部員が逮捕(3人目)
11月29日 臨時理事会で酒井学長が来年3月31日付、澤田副学長が今年12月31日付で辞任することになり、林理事長を減給50%(6か月)とする処遇を決めた。
11月30日 新たに別の部員が書類送検。日大は文科省に『「学校法人の管理運営に関する適切な対応及び報告(指導)」に対する本法人の今後の対応及び方針』を提出したことを発表。報告書には事件と大学側の対応が不適切だったことについて「『日大内のことは日大内で収める』という強固なムラ社会の意識が大きな原因」とし、「このムラ意識は、秘密主義に直結し、法人内での情報伝達を阻害し、さらに澤田副学長の関与の下、報道機関への詭弁的な報告、さらには虚偽の報告を繰り返す結果を生みました」と記されている。また、同書にはアメフト部について「廃部方針が承認された」と記述。一方で、在学生や来年度の新入生に対して「教育的配慮として不利益が生じないよう対策を講じることを継続審議していくことについても承認した」と説明した。
12月1日 最初に逮捕、起訴された部員の初公判が東京地裁で開かれ、検察側は懲役1年6か月を求刑。部員は他にも「10人程度が大麻を使っていたと思う」と話し、学内調査で発覚した際には澤田副学長がもみ消すと思っていたことを証言した。