「不良が格闘技の質を下げている」発言 「かわいいよりも闘いを」発言が賛否のSareeeが理解
「Sareee-ISM~Chapter3~」(2024年1月16日、新宿FACE)の会見が16日、猪木元気工場で行われ、SareeeVS橋本千紘(センダイガールズプロレスリング/仙女)を含む全5試合が発表された。両者の対戦は今年5月に実現したが、その際はSareeeが敗れており、今回はリベンジマッチに挑むことになる。会見後、Sareeeを直撃。橋本戦に賭ける思いを聞いた。
事実上の「女子プロレス最強決定戦」
「Sareee-ISM~Chapter3~」(2024年1月16日、新宿FACE)の会見が16日、猪木元気工場で行われ、SareeeVS橋本千紘(センダイガールズプロレスリング/仙女)を含む全5試合が発表された。両者の対戦は今年5月に実現したが、その際はSareeeが敗れており、今回はリベンジマッチに挑むことになる。会見後、Sareeeを直撃。橋本戦に賭ける思いを聞いた。(取材・文=“Show”大谷泰顕)
「私は負けたままでずーっとモヤモヤしていたので、今回、橋本ともう一度やるチャンスを手に入れたからには必ずリベンジしなきゃなぁとは思いますね」
今春、WWEとの契約期間を終えたSareeeは、5月に「Sareee-ISM」(5月16日、新宿FACE)なる自主興行を立ち上げた。その際の相手に選んだのが橋本千紘だった。Sareeeは橋本と過去に何度か一騎打ちを行い、お互いをライバルと認め合っていたが、結果、Sareeeは橋本に敗れ、凱旋帰国の初戦を白星で飾ることはできなかった。
敗因についてSareeeは「帰国したばかりでコンディションが悪かった。今は半年前のコンディションとはまったく違う感じです。心身ともに」と意気込む。
日本に復帰して半年。「半年かぁ……。もっと経っている感じがしますね」と振り返りつつ、Sareeeは「この半年間は駆け抜けてきた感じはします。ベルトも腰にありますし」と、中島安里紗から、文字通り「死闘」の末に奪い取った“強さの象徴”SEAdLINNNGのシングル王者としての強い自覚を持っている。5日には、後楽園ホールでノンタイトル戦ながら仙女のシングル王者・岩田美香にも勝利した。
つまり橋本との再戦は、日本最大の女子プロレス団体スターダム勢こそ関わっていないものの、事実上の「女子プロレス最強決定戦」との見方も強く、18日のチケット発売初日には、最前列席と1、2列目が即完売。注目度の高さをうかがわせた。
ちなみにSareeeが3月に「Sareee-ISM」の会見を実施した際、「キラキラしてかわいいとかキレイもいいですよ。でもプロレスなので“闘い”でなければ嘘はバレてしまう」と発言。女子プロレス界に物議を醸したが、実は最近、格闘技界でも似たような発言が話題になった。
4日、アゼルバイジャンでのタイトル戦に勝利し、RIZINフェザー級王者に成り上がった鈴木千裕が「最近は不良やヤンキーが格闘技の質を下げている」と発言したことで賛否が飛び交っているのだ。
Sareeeにこの話をぶつけると、「鈴木選手とはパーソナルトレーナーが一緒なんですよ。まだ若い(24歳)ですよね」と答えた後、「(鈴木の気持ちは)わかりますよ、やっぱり」と続けた。
今までとは違った、ドロドロとしたSareeeVS橋本戦が見られる
「格闘技と真剣に向き合っているからこそ言えることですよね。鈴木選手も格闘技が大好きで、一生懸命に取り組まれていると思うし、私も(女子プロレスに対して)そう思っているし。でも、なんだろうな。(プロレスや格闘技が)広まることだったり、認知されることはすごくいいことだと思うんですけど、私や鈴木選手からしたら、『これがプロレス』とか『これが格闘技』って呼ばれることが悔しいってことですよね、きっと」と、鈴木の発言に理解を見せる。
さらにSareeeは「(鈴木が)それを言ったことによって批判みたいなものがあるってことですか?」と賛否があることに対する疑問を口にした。おそらく不良にしろ、キラキラかわいいにしろ、それぞれが真剣に取り組んでいるかどうかは、各々の言い分はあるだろう。
「そりゃあそうですよね。みんな一生懸命やってリングに立っているわけだから……。だから難しいですよね、そこは」(Sareee)
それでも、「一緒にされたくない」との思いが強いのは、Sareeeや鈴木のように、自らの属するジャンルへの矜持を常に背負ってリングに立っている者に違いない。裏を返すと、その思いが根底にあるからこそ、生ぬるい試合はできないという意識を強く持ちながらリングに立つことができるのだと思う。
そんなところで橋本戦に話を戻すと、Sareeeとしては、今までの橋本戦とは何かが違うと感じている。それが証拠に、橋本はSareeeを「かわいいだけの女子プロレスラーとレベルが違う」と突き放した物言いをしたかと思うと、会見の際に公開されたコメントでは「お前とのライバル関係は終わりにしてやる。いつまでも同じレベルでいると思うなよ。この日も結果は同じ、私が“ギュン”と勝ちます」と宣言した。
これに対しSareeeは「軽い発言じゃないですか。今までにも何度も熱い試合をしてきて。5月には『2人で東京ドームでやりたい』って橋本が言っていたのに、半年間でそんなライバル関係は終わりとか、自信ないのかな。もっと大きなレスラーだと思っていたのに……」と複雑な表情を見せる。
Sareeeとしては、橋本に対し、小さくまとまってほしくない思いがある。
「今さらそんなこと言い出して。何が起こったのかと思いますね。今まではお互いを認め合って、正々堂々闘ってきたんですけど、今回、橋本にケンカ腰に来られてカチンときましたし、一番言われたくない言葉(かわいいだけの女子プロレスラー)を言われた。(橋本が)強いってことはわかってますから、私はそれ以上に強くなりたいんです」
Sareeeとしても、橋本のそんな雰囲気を十分感じた結果、「これは今までとは違ったSareeeVS橋本になるんじゃないかな。ドロドロした女子のああいうのが入ってくるんじゃないですかね」との覚悟もすでに決まっている。
おそらくSareeeは、これまで以上の“怒り”を持って橋本と対峙するはず。仮の話、それが「ドロドロした女子」特有の“狂気”につながっていくとしたら、これから本格的に慌ただしくなる年末年始のマット界の先にある、事実上の「女子プロレス最強決定戦」は、いったいどんな結末を迎えるのか。試合結果はもちろん、その内容が気になってしかたがない。