尚玄、妻のMay J.が第1子出産で「ニュースの見方変わった」「子どもに何を残すべきか」

沖縄出身の俳優・尚玄(45)が、沖縄で新たに開催される「Cinema at SEA-沖縄環太平洋国際フィルムフェスティバル」(23日~29日まで)のアンバサダーを務める。尚玄が第1子のパパになった思い、映画祭に込めた希望を語った。

インタビューに応じた尚玄【写真:ENCOUNT編集部】
インタビューに応じた尚玄【写真:ENCOUNT編集部】

出産に立ち合い「感動しました」

 沖縄出身の俳優・尚玄(45)が、沖縄で新たに開催される「Cinema at SEA-沖縄環太平洋国際フィルムフェスティバル」(23日~29日まで)のアンバサダーを務める。尚玄が第1子のパパになった思い、映画祭に込めた希望を語った。(取材・文=平辻哲也)

 自身と妻で歌手のMay J.(35)の誕生日だった昨年6月20日に結婚した尚玄。May J.が第1子を無事に出産したことを発表したばかり。「おめでとうございます」と言葉を向けると、うれしそうな顔を浮かべる。

「夏は海外で長期撮影していたのですが、無事に出産にも立ち会うことができ、感動しました。やはり我が子はかわいいものですね。眉は僕に似ています。オムツ替え、ミルクをやったりして、パートナーと一緒に育児をしています。成人する時は60歳を超えますので、もっと頑張らないといけないですね」と笑う。

 日本在住、インド人監督のアンシュル・チョウハンによる主演映画『赦し』(3月公開)では娘を殺された父親、最新作『彼方の閃光』(12月8日公開)では息子を持つ沖縄育ちの男を演じたが、自身がパパになったことで新たな価値観も芽生えた。

「パートナーとは長い付き合いなので、結婚してもあまり変化はないですが、子どもができたことで、仕事やニュースへの関心、見方は変わったように思えます。たとえ、自分があと数十年で死ぬとしても、子どものために何を残すべきかと先のことを考えます。最近では父親を演じることも増えてきましたが、今後、親を演じる時にも、また違った変化があるんじゃないかと思うんです」

 そんな中、自身も新たな映画祭を生み落とした。「Cinema at SEA-沖縄環太平洋国際フィルムフェスティバル」だ。沖縄を会場に、台湾や周辺の島々とともに、映画や海を通して、新たな価値観を生み出そうという試み。台湾出身で沖縄在住の映画プロデューサー、黄インイク氏から声をかけられ、二つ返事で快諾した。

「映画祭の時期に子どもが生まれることは分かっていたし、ずっと撮影も詰まっていたので、引き受けたら、大変なことになるだろうとは思っていたのですが、予想以上でしたね。でも、困難なこと、人が無理だと思うことには挑みたくなってしまうんです。ここ数年アジアで仕事をし、いろんな映画祭も回って、仲間も多いので、僕にしかできない役割があるんじゃないかと思ったんです」

 そこには、自身の子どもだけではなく、次世代の子どもたちに映画遺産を残したいという思いがある。

「僕自身、那覇高校時代はバスケと映画に夢中になっていましたので、沖縄の学生たちにも、映画館で映画を体験してほしいと思っているんです。10代の頃に見た作品は、友人や恋人と見たなど経験とひもづいて、鮮明に覚えていますよね」

 当時、印象に残っているのは『耳をすませば』(1995年)、『ギルバート・グレイプ』『ワイアット・アープ』(94年)、『ブレイブハート』(95年)、『タイタニック』(97年)など。いずれの作品も今も語り継がれる名作。そんな映画体験を、今の高校生たちにも味わってほしいのだという。

「僕らの映画祭は、ここでしか見られない作品も含めて37本を上映しますが、若い子たちに見に来てほしいと思い、学生料金を500円にしました。学生ボランティアも募集しましたが、予想以上に集まってくれました。今の時代、ボランティア活動としての証明書を出せば、内申書にプラスになるらしいですよね」

 ただ、生み出すまでには苦労も大きかった。広告塔的な存在に留まらず、プロデューサー的な役割も担い、資金集めにも奔走した。

「これには、プロデューサーも務めた『義足のボクサーGENSAN PUNCH』(主演作)での経験が活かされました。最初から賛同してくれたスポンサーの方々にも感謝の言葉しかないです。第1回ということで、作品集めに苦労しました。コンペ部門はジャパンプレミアを条件にしていたので、ハードルが高かったのですが、プログラムチームが環太平洋の国々から面白いセレクションをしてくれました。さらにはVR上映、企画のピッチング(開発)までやるので、かなり野心的なてんこ盛りのプログラムになっています」

 キャンプ場として有名なあざまサンサンビーチ(南城市)では、山下敦弘監督&脚本・宮藤官九郎のコンビが台湾の大ヒット作をリメイクした『1秒先の彼』(主演・岡田将生&清原果耶)などを野外上映する。

「沖縄のビーチは夜、入場できないところが多いのですが、ここはキャンプ場で手ぶらでバーベキューが楽しめる場所です。こういう場所で映画を楽しんでもらうのは特別な体験になると思うんですね」と尚玄。手塩にかけたこの映画祭を、沖縄の冬の風物詩にするつもりだ。

□尚玄(しょうげん)1978年生まれ、沖縄県出身。2005年、戦後の沖縄を描いた映画『ハブと拳骨』でデビュー。その後も映画を中心に日本で活動するが、08年に渡米。現在は日本を拠点に邦画だけではなく海外の作品にも多数出演。21年に主演・プロデュースを務めた映画『義足のボクサーGENSAN PUNCH』(ブリランテ・メンドーサ監督)が、釜山国際映画祭にてキム・ジソク賞を受賞。22年同映画祭でAsia Star Award を受賞。『彼方の閃光』(半野喜弘監督)、『すべて、至るところにある』(リム・カーワイ監督)などが公開を控えている。

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