『機動戦士ガンダム』ファンの心をつかんだジオン軍戦士 はかなく散った男たち
1979年より名古屋テレビにて放送開始されたアニメ『機動戦士ガンダム』には、魅力的なキャラクターが登場し人気を集めた。主人公のアムロ・レイが属する連邦軍だけでなく、敵側のジオン軍にもファンが注目した戦士が登場する。本記事では、戦死しながらも、ファンの心をつかんだジオン軍の3人を紹介する。
敵の死にざまが名作を生み出す
1979年より名古屋テレビにて放送開始されたアニメ『機動戦士ガンダム』には、魅力的なキャラクターが登場し人気を集めた。主人公のアムロ・レイが属する連邦軍だけでなく、敵側のジオン軍にもファンが注目した戦士が登場する。本記事では、戦死しながらも、ファンの心をつかんだジオン軍の3人を紹介する。
1人目は、第6話「ガルマ出撃す」に登場したガルマ・ザビだ。彼はジオン軍を指揮するザビ家の四男で末弟。地球方面軍司令を務め、主人公・アムロのライバルであるシャア・アズナブルとは、士官学校時代からの友人だ。第10話「ガルマ散る」でガルマは、連邦軍のホワイトベースとの戦いで苦戦を強いられるなか、ガルマのためにと地上戦を申し出たシャアの提案を好機とばかりにガウ攻撃空母で侵攻した。
しかし、そのシャアの提案はガルマを陥れる罠だった。ガウの後方から一斉砲火を受けながら、執念でホワイトベースにガウをぶつけようと突撃を試みるが、途中で機体は無惨に四散してしまうのだった。そんなガルマの死に、SNS上では「彼の死に様は初代ガンダムでも指折りに好きなシーン」や「死に際に泣き言を言わずに敵へ特攻する男らしさ」と彼を称える言葉があがる。友人に裏切られ、婚約者を置いて特攻したガルマは最後に男らしさを見せてくれたのではないだろうか。
そんなガルマの仇討ち部隊の隊長として登場したのがランバ・ラルだ。第19話「ランバ・ラル特攻!」では、ランバ・ラルとアムロの出会いが描かれている。レストランで偶然会ったアムロの態度に好感をもったランバ・ラルだったが、やがてアムロと戦闘することに。
アムロとの戦いの後、ゲリラ戦を得意とするランバ・ラルは、ホワイトベースに白兵戦を挑む。ホワイトベース艦内には少年兵ばかりで戸惑うランバ・ラルの前に現れたのがセイラ。ランバ・ラルは、自身の父親がセイラの父親であるジオン・ダイクンの側近であったことから、彼女とは幼少のころに面識があったのだ。セイラに会い立ちすくんでしまった隙にランバ・ラルは攻撃を受けてしまい作戦失敗を自覚。爆弾を抱えてガンダムに特攻し命を失うのだった。そんな彼の死にざまには「ランバ・ラルの死に様は泣きました」や「ランバ・ラルさん最期まで渋くて好き」と好意的な声があがっている。
また、ガルマの兄であるドズル・ザビの死に様も「敵ながらアッパレ」と多くのファンの心をつかんでいる。
もともと多くの部下に慕われ、家族を非常に大事にしているドズル。彼は愛妻家でもあり、連邦軍の宇宙要塞ソロモン侵攻に備えて、妻ゼナと大切にしている娘ミネバを脱出させる。
しかし、その後連邦軍の攻撃の前に追い詰められるドズル。彼は、自らビグ・ザムを操縦して連邦軍に立ち向かい、ビグ・ザムのビームで連邦側宇宙艦を次々と打ち破ることに成功するも、最後はガンダムの攻撃の前に力尽きてしまう。ビグ・ザムが倒されてなお、ライフルを手に捨て身で戦う姿にアムロも戦慄せずにはいられなかった。
SNS上では「男の死に様なんだよねドズル・ザビの死に方は」「直前の妻子との別れや部下を脱出させるところ含めてすごい泣ける」と、彼の男らしさに惹かれるファンも多いようだ。
今回紹介した3人の死は、令和の時代になってもファンの心に強く残っている。男として優れた人間でも戦死してしまう現実が悲しい。それが戦争の虚しさであり、恐ろしさということを我々は胸に刻まなければならないのかもしれない。