下半期5本の映画出演、来年はハリウッド進出する倉悠貴 意外すぎるデビュー前の素顔

今年下半期に2本の主演作を始め5本の映画に出演し、大注目なのが俳優の倉悠貴(23)だ。主演映画『OUT』(公開中、品川ヒロシ監督)では、伝説のヤンキー、井口達也を好演。来年2月からディズニープラスで独占配信のオリジナルシリーズ『SHOGUN 将軍』にもメインキャストで出演する。その意外な素顔とは。

取材に応じた倉悠貴【写真:ENCOUNT編集部】
取材に応じた倉悠貴【写真:ENCOUNT編集部】

倉悠貴インタビュー、映画『OUT』で主人公役

 今年下半期に2本の主演作を始め5本の映画に出演し、大注目なのが俳優の倉悠貴(23)だ。主演映画『OUT』(公開中、品川ヒロシ監督)では、伝説のヤンキー、井口達也を好演。来年2月からディズニープラスで独占配信のオリジナルシリーズ『SHOGUN 将軍』にもメインキャストで出演する。その意外な素顔とは。(取材・文=平辻哲也)

 NHK連続テレビ小説『おちょやん』で杉咲花演じる主人公の弟役で注目を浴びた倉は、大阪出身の23歳。2018年に男性ファッション誌『MEN’S NON-NO』のヘアスナップ企画に載った倉を見た事務所スタッフに口説かれ、芸能界入り。翌19年に月9ドラマ『トレース~科捜研の男~』(フジテレビ)で俳優デビューした。

 古着やファッションに興味があったことから、『MEN’S NON-NO』に登場したが、芸能界や俳優業には興味がなかったのだという。高校は5年制の高等専門学校に進学した。

「将来の夢はいい家庭を築くことだったんです。そこを目標に考えたら、手に職をつけて、就職できたら、と思ったんです。学校では、上場企業のインターンにも行ったことがあります。安定を求めていたんですね。それがギャンブルしてしまいました」と笑う。

 スカウトを受けた時も、断ってしまうのは失礼だろう、という思いだった。

「こういうチャンスは誰でもあることではないし、1 回試しにやってみようかという思いだったんです。休学もできたので、この間に結果が出なかったら、戻ればいい、という気持ちだったんです」

 始まりは軽い気持ちだったが、俳優としての面白みに気づいていく。月9に続いて出演したのが、メ~テレ製作の『his~恋するつもりなんてなかった~』(2019年4月期放送)。『パンとバスと2度目のハツコイ』『愛がなんだ』の今泉力哉監督が、湘南を舞台に描くボーイズラブの青春ストーリーだった。

「『his』が初めてオーディションに受かった作品だったんです。その頃はまったく知られていなかったので、『この人だれ?』みたいに注目を浴びて、反響も大きかったです。実際、この作品がきっかけで、東京で1人暮らしを始めたので、生活も変わりました」

 2020年には池田エライザが監督した『夏、至るころ』でスクリーンデビューも果たし、一層注目を集めるようにもなり、出演オファーを受けるようにもなった。そして、俳優生活4年目の今年は下半期だけで5本の映画に出演した。

 橋本環奈&重岡大毅主演のホラー『禁じられた遊び』では橋本の同僚である映像ディレクター役、『こいびとのみつけかた』ではコンビニ店員(芋生遥)に恋する想像力たくましい主人公、馬場ふみか主演『コーポ・ア・コーポ』(公開中)では昭和レトロのアパートに住むガテン系青年、『市子』(12月8日公開予定)では杉咲花演じる主人公・市子の学生時代の恋人役。ジャンルの異なる作品で多彩な顔を見せている。

「今年後半はたまたま出演映画が重なってしまったんです。いろいろとやらせてもらっています。ただ、自信は全然ないんです。大したことできてないですから。やっぱり人と比べちゃうこともあるんだと思います。たくさん素晴らしい俳優さんがいる中で使っていただいているわけですけども、『本当に俺で大丈夫なのかな?』と常々感じますし、毎回反省してしまうんです。自己肯定感は低いですね。でも、自信を持てないこともある意味、自分にとっては強みかと思っているんです」

 そんな言葉とは裏腹に次々と実績を積み重ねている。ハリウッド製作ドラマ『SHOGUN 将軍』(全10話)の出演もつかんだ。

 1980年にアメリカで実写ドラマ化され、高視聴率を記録したジェイムズ・クラベルのベストセラー小説『SHOGUN』が原作。戦国時代を舞台に、将軍の座をかけた陰謀と策略が渦巻く戦国ドラマシリーズで、主演は真田広之。戦国最強の武将、吉井虎永(真田)の息子、吉井長門役を演じる。約10か月にも及ぶ撮影には大いに刺激を受けた。

「やっていることは同じでも、見えている世界が違うんです。規模は大きかったですし、例えていうなら、スポーツのジャンルが違うような気がしました。10か月いたので、英語も多少、身についたと思います。こんなふうに今後も、国の内外関係なく、演じられるような俳優になったら素晴らしいんだろうなっていうのは思ったりしますね。もちろん、ミニシアター系の作品も大好きですので、規模の大きさには関係なく、いろんな作品に挑戦したいと思っています」と倉。来年は国内だけでなく、世界からも大きな注目を集めそうだ。

□倉悠貴(くら・ゆうき)1999年、大阪府出身。2019年、俳優デビュー。池田エライザが初監督を務めた映画『夏、至るころ』(20)に大沼翔役で主演、話題を呼ぶ。以後も『スパゲティコード・ラブ』(21/丸山健志監督)や『衝動』(21/土井笑生監督)、ドラマ「犬と屑」で主演、ドラマ「生き残った6人によると」(22/MBS・TBS)や映画『窓辺にて』(22/今泉力哉監督)などでも印象深い芝居を見せる。今年は『禁じられた遊び』(9月8日公開/中田秀夫監督)、主演作『こいびとのみつけかた』(10月27日公開/前田弘二監督)、『コーポ・ア・コーポ』(11月17日公開、仁同正明監督)『市子』(12月8日公開、戸田彬弘監督)がある。

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