「これは発想の勝利」 規格外アスパラガス×チンアナゴ 農家が付けた絶妙ネーミングにSNS脱帽
商品のアスパラガスに付けた、思いもよらないネーミングが話題を呼んでいる。その名も、「チンパラガス」。水族館の人気者・チンアナゴの名前との絶妙な掛け合わせだ。背景には、味や食感は問題ない規格外品を手に取ってもらいたいという熱い思いがあった。仕掛け人の農家に聞いた。
正規品と同じ価格なのに「皆さんからたくさん買ってもらえて大変ありがたかったです」
商品のアスパラガスに付けた、思いもよらないネーミングが話題を呼んでいる。その名も、「チンパラガス」。水族館の人気者・チンアナゴの名前との絶妙な掛け合わせだ。背景には、味や食感は問題ない規格外品を手に取ってもらいたいという熱い思いがあった。仕掛け人の農家に聞いた。
畝の地面から力強く伸びたアスパラガス。本来は直立しているはずの茎の先が、お辞儀をするように曲がっている。規格外品として取り扱うことになるという。見た感じは、海の砂底からひょっこり顔を出すチンアナゴに確かに似ている。
「今年、曲がった規格外品アスパラを『B品』表示で売るのが忍びなくて『チンパラガス』という名前をつけて販売しましたが、正規品と同じ価格なのに皆さんからたくさん買ってもらえて大変ありがたかったです」。こうXにつづったのは、フルーツトマトのSOGA FARM(@pasmal0220)さんだ。「新潟で直売所を営むフルーツトマト農家です。基本はトマトですが、近年はアスパラガス栽培にも力を入れ始めています」という。
このユニークな名称と見た目のアスパラガス。Xの投稿で、「曲がっていますが、味はほぼ変わりません。むしろチンアナゴに見えてかわいいですね」と説明。アイデアを思い付いた発想について、「当農園はトマトが主力のため、あまりアスパラガスに栽培管理(時間とコスト)をかけることができず、真っすぐではない曲がったものが多くできてしまいます。その様子を見て私(代表)は昔から常々チンアナゴに似ていると思っていて、個人的に『チンパラガス』と命名して1人で楽しんでいました」と教えてくれた。
今回、創意工夫で販売を試みた。同農園ではアスパラガスは4月~5月の春しか販売しないそうで、価格は直売所で150グラム(太いもの2~3本)で500円。チンパラガスも同じ価格で、今年の春に実際に売ってみると、大好評。来年も4月頃から販売を予定しているという。
そして、驚きなのが、商標登録の実現だ。Xでも「チンパラガスで商標がとれました!」と、商標登録証の写真と併せて報告している。
珍ネーミングはネット上で大反響。6.6万件以上のいいね、2万件以上のリポストを記録している。「アイディアの勝利ですね」「ネーミングセンス最高です!」「洒落が効いててナイスな発想」「これは発想の勝利 食品ロス削減にもなって一石二鳥」などと驚嘆する人が続出している。
猛暑などの異常気象や資材高騰化の影響で、農家の運営は大変さが増している。こうした中で、より多くの消費者にいい野菜を届けるための発想力は大きな推進力になるだろう。フルーツトマトのSOGA FARMさんは今後の展望について、「チンパラガスはあくまで規格外品なので、わざと曲がるようには栽培していません。基本はやはりトマト農家ですので今まで通り、アスパラガスは時間とコストをかけずに栽培すると思います。将来は、春の風物詩のアスパラガスとして皆さんが笑顔になってくれればうれしいです」と前向きに話している。