【DDT】53歳クリス・ジェリコが日本のリングで“大暴れ” 天龍源一郎は「最高のボス」
DDTが12日、「秋のビッグマッチ『Ultimate Party 2023』を開催した。今年2回目となる両国国技館大会には豪華メンバーが集い、白熱した戦いを見せた。その中でも「ダブルメインイベントI ドラマティック・ドリームマッチ」と名付けられた、クリス・ジェリコvsKONOSUKE TAKESHITA(竹下幸之介)の一戦は、本物の「ジ・アルファ(頂点)」が誰かを証明する大事な試合として注目されていた。
プロレスキャリアにおける忘れてはいけない場所・日本へのジェリコの思い
DDTが12日、「秋のビッグマッチ『Ultimate Party 2023』を開催した。今年2回目となる両国国技館大会には豪華メンバーが集い、白熱した戦いを見せた。その中でも「ダブルメインイベントI ドラマティック・ドリームマッチ」と名付けられた、クリス・ジェリコvsKONOSUKE TAKESHITA(竹下幸之介)の一戦は、本物の「ジ・アルファ(頂点)」が誰かを証明する大事な試合として注目されていた。
TAKESHITAがAEWと正式契約を交わし、DDTとの「2団体所属」となったのは2022年10月のこと。それ以前にスポットでAEWに参戦していたときから、TAKESHITAに注目していたのがジェリコだった。
ジェリコの初来日は1991年。大仁田厚が立ち上げたFMWに参戦し、当時素顔だった故ハヤブサさんとも対戦している。その後、天龍源一郎率いるWARに「ライオン・ハート」のリングネームで参戦し、故冬木弘道さん率いる冬木軍に「ライオン道」として合流。その後はECW、WCW、WWEで数多くのベルトを巻き、近年はジュニアヘビー級時代に参戦経験のある新日本プロレスに参戦し、オカダ・カズチカ、内藤哲也、ケニー・オメガらと激闘を繰り広げた。
そのジェリコ、現在はAEWにおいてTAKESHITAが所属するドン・キャリスファミリーと抗争中。そのアメリカの現在進行形の抗争劇が、そのままDDTの両国大会に持ち込まれた形だ。9.24DDT後楽園ホール大会におけるジェリコが“挑戦”表明したビデオレターに対し、「ジェリコがDDTのリングに上がることではなく、ジェリコにDDTのリングで勝つことこそ、ドラマティック・ドリーム」とTAKESHITAは勝利を誓った。
前日に行われた公開記者会見において、ジェリコは「“両国でTAKESHITAと試合をする”ために日本に戻ってきた」と発言し、これまで日本で対戦した選手や、試合で訪れた地名を多数挙げ、日本へのリスペクトを隠さなかった。
ジェリコ、TAKESHITAのすべてを受け止めたうえで勝利
ジェリコは自身がボーカルを務めるハードロックバンド・FOZZYの『Judas』に乗って入場すると、サビの部分ではファンも「Judas in my mind」という歌詞を大合唱。これにはジェリコもニンマリした表情を浮かべる。続いてTAKESHITAの入場でも、その存在感に観客から大歓声が。
ゴングが鳴り試合がスタートすると、ジェリコが観客とTAKESHITAをあおりながら試合を進める。クローズラインでTAKESHITAをリング下へ叩き落とすと、1階マス席へTAKESHITAを連れ出し殴り合いを展開。しかし、ジェリコはマットをはがした場外で、TAKESHITAの強烈な垂直落下式ブレーンバスターを食らってしまう。
リングに戻ってからもTAKESHITAが試合を優位に進め、エルボーの連打でジェリコをダウンさせる。しかしジェリコは徐々に盛り返し、ザーヒー(走りこんでの膝蹴り)を回避しウォールズ・オブ・ジェリコ(逆エビ固め)へ。この技はTAKESHITAも若手時代好んで使用し、ウォールズ・オブ・タケシタと呼ばれていた。ここはTAKSHITAがプッシュアップで返すも、場外へ逃げたTAKESHITAにジェリコはコーナー最上段からダイブ。53歳と28歳という、25歳という年齢差を感じさせないファイトを見せる。
しかし、スタミナで上回るTAKESHITAは雪崩式ブレーンバスターでジェリコを叩きつけ、観客からは「This is awesome!(こりゃすげえ!)」コールが。ブルーサンダーからのフライングボディプレスをかわしたジェリコは、ライオンサルトを発射。そしてジューダス・エフェクト(カウンターのバックエルボー)を発射するもかわされてしまい、TAKESHITAがウォールズ・オブ・タケシタへ。ジェリコはロープブレークするも、TAKESHITAはジェリコを場外に落としトペ・コンヒーロを敢行! ここで「Fight forever!(ずっと見ていたいぜ!)」コールが起こる。
ジャーマンを狙うTAKESHITAに対し、ジェリコは2度目のウォールズ・オブ・ジェリコ。これを返したTAKESHITAは人でなしドライバーからのジャーマン・スープレックス、ザーヒーを連射。この怒涛(どとう)の攻撃をカウント2でクリアしたジェリコは、カウンターのコードブレイカー。しかしTAKESHITAはカウント1でキックアウト。
20分経過。ジェリコは雪崩式フランケンシュタイナーを狙うも、TAKESHITAは抜け出しなんと雪崩式のブルーサンダーを敢行!かろうじてジェリコはカウント2でキックアウトするも、TAKESHITAは秋山準直伝のジャンピング・ニーを連発。しかしジェリコはこの攻勢を切り抜け、3度目のウォールズ・オブ・ジェリコ。TAKESHITAはロープに逃れようとするも、リングの中心に引きずられ無念のタップアウト。23分32秒、ジェリコがTAKESHITAのドラマティック・ドリームを打ち砕いた。
試合後、ジェリコは鳴り響く勝利者曲をストップさせ、TAKESHITAに握手を求める。2人は握手を交わし、それぞれのコーナーからリングを後にした。
バックステージでジェリコは「TAKESHITAに初めて会ったときからその才能は感じていた。世界でも最高クラスのレスラーだが、今日の相手はクリス・ジェリコ。TAKESHITAが勝てなかった理由はそれだけ」と絶賛。また「赤井沙希の引退セレモニーの中で偉大なるボス・天龍さんの映像が流れたのがうれしかった。今回タイミングが合わず会えなかったが、天龍さんに『あなたは最高のボスだ』と伝えてくれ」と報道陣に伝言を残した。
一方TAKESHITAは「ウォールズ・オブ・ジェリコ? ジェリコの“壁”は想像以上に高かった。この結果にがっかりしたファンもいるかもしれないが、これからも上を目指すから見ていてほしい」と語った。