【映画とプロレス #18】「ゾンビランド:ダブルタップ」劇中でヒッピーが歌うのはテリー・ゴディの入場曲
ゾンビに浸食された世界を独自のルールでサバイバルする「ゾンビランド」(2009年)。数あるゾンビものでも出色の出来だったが、10年後の19年、まさかの続編「ゾンビランド:ダブルタップ」が登場。主要キャスト全員の再登板はうれしいけれど必ずしも続編が必要な作品というほどでもなかっただけに、観る前はなにを今更の感がなきにしもあらずだった。ところが、実際に本編を観てみると、これが前作以上の痛快作に仕上がっていたから狂喜乱舞だ。終末世界を描いておいて、この清々しさはたまらない。
映画「ゾンビランド:ダブルタップ」からつながるテリー・ゴディの物語
ゾンビに浸食された世界を独自のルールでサバイバルする「ゾンビランド」(2009年)。数あるゾンビものでも出色の出来だったが、10年後の19年、まさかの続編「ゾンビランド:ダブルタップ」が登場。主要キャスト全員の再登板はうれしいけれど必ずしも続編が必要な作品というほどでもなかっただけに、観る前はなにを今更の感がなきにしもあらずだった。ところが、実際に本編を観てみると、これが前作以上の痛快作に仕上がっていたから狂喜乱舞だ。終末世界を描いておいて、この清々しさはたまらない。
なんと言ってもウディ・ハレルソン(役名タラハシーが「棚橋」に聞こえる)、ジェシー・アイゼンバーグ、エマ・ストーンがいい意味で全然変わっていないのが素晴らしい。エマ・ストーンは「ラ・ラ・ランド」(16年)でアカデミー賞女優にまでなっており、3人が3人ともステータスをアップさせキワモノゾンビ映画の続編に出演しているのだから、前作ファンにはなおさら奇跡のような展開だ。
対照的に最年少のアビゲイル・ブレズリンただひとりが激変というのも(女優としての彼女の行く末を心配してしまうと同時に)、そこにかえってたまらない愛おしさを感じてしまうのである。
あくまでもコメディに徹した世界観もパワーアップ。「ターミネーター2」(91年)のパロディを筆頭に、ブレズリンが口にする「地獄の黙示録」(79年)キルゴア中佐のセリフもサイコーだ。
ブレズリンが惚れてしまったヒッピーがオリジナルと偽って唄う名曲。この中に、あるプロレスラーの入場テーマ曲が含まれている。テリー・ゴディが全日本プロレスで使用した「フリー・バード」である。
これはアメリカのロックバンド、レーナード・スキナードが74年にリリースした彼らの代表曲。アメリカのブルースロック、サザンロックを象徴する名曲でもある。映画でも使われることが多く、近いところでは「キングスマン」(15年)で使用され、「フォレスト・ガンプ/一期一会」(94年)、「デビルズ・リジェクト~マーダー・ライド・ショー2~」(05年)、「スピード・レーサー」(08年)などあらゆる時代でジャンルを問わず耳にすることができるのだ。
全日本に来日したゴディは、このテーマ曲とともに日本でもスターレスラーとなった。「フリー・バード」はマイケル・ヘイズとのファビュラス・フリーバーズでテーマ曲に採用。ユニット名も彼らがこの曲のファンだったことに由来している。また、日本でのミル・マスカラス「スカイ・ハイ」のように、アメリカで入場時に音楽がかけられる先駆けとも言われているのだ。