中国のEV車に「脅威を感じました」の声 日本市場での勝算は? “ドリキン”も評価 今後の展望を分析
日本で中国の電気自動車(EV)はどこまで普及するのか? 東京モーターショーから衣替えした「ジャパンモビリティショー 2023」(東京ビッグサイト)が5日に幕を閉じた。各自動車メーカーがEV戦略を披露する中、勢いを見せたのは、中国のEV最大手BYDだ。グローバルではEVの販売台数で米テスラを猛追する2位と躍進。イベント初出展にもかかわらず、高い注目を集めた。2月に初進出した日本市場での勝算と今後の展望を検証する。
「ジャパンモビリティショー」閉幕 注目を集めた中国BYD
日本で中国の電気自動車(EV)はどこまで普及するのか? 東京モーターショーから衣替えした「ジャパンモビリティショー 2023」(東京ビッグサイト)が5日に幕を閉じた。各自動車メーカーがEV戦略を披露する中、勢いを見せたのは、中国のEV最大手BYDだ。グローバルではEVの販売台数で米テスラを猛追する2位と躍進。イベント初出展にもかかわらず、高い注目を集めた。2月に初進出した日本市場での勝算と今後の展望を検証する。
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「東京モビリティショーを見ましたが、一番人が集まっていたのが中国のBYD。脅威を感じました。デザインも悪くない。もともとバッテリーメーカーだったBYDが自動車事業に参入したのが2003年のちょうど20年前。今やEVで世界トップ。自動車産業が大きな変化の真っただ中にいることを実感する時間でした」
2日、こうSNSに書き込んだのは、国民民主党の玉木雄一郎代表だった。画像には、BYDが来春に日本で発売予定のバッテリーEV車「シール」を添えた。日本市場では、「アット3」「ドルフィン」に続く3車種目で、同社が本格的な日本市場開拓を目出す1台だ。
2月に日本進出を果たしたBYDは、モビリティショー開幕の時点で、全国に49か所の拠点を構える。担当者は「私たちが思っているより、かなりペースが早い。予定としては2025年末までに全国に100店舗をイメージしている。実店舗も続々とオープンしていて、北海道から南は沖縄まで契約しているお店があります」と、話す。販売網を急拡大していることが分かる。
EVメーカーの中には販売店を持たずに、オンライン上やスマートフォンの操作ですべてを完結させるメーカーもある。しかし、BYDは客と直接コミュニケーションを図ることを重要視しているという。
「オンラインはやっていないです。というのは、日本のビジネスは自動車ディーラーがあって、アフターサービスがあって、“人と接する大切さ”というところを重んじている。私自身、車を買うと思ったら壊れたときのことを考えます。修理できるところが近くにないと困る。実店舗があるのはお客様にかなり安心していただけるアドバンテージになります。気になることがあれば電話で問い合わせもできます。ネット販売をディスるわけじゃないですけど、車はアフターサービスが大事」と、説明した。
日本式の販売方式を導入することで、文化の面からも溶け込もうという意思が垣間見れる。
世界的にEV導入の流れが加速する中、日本はEV後進国とやゆされる。インフラへの不安や気候の寒暖差が大きいこと、雪上走行時の脆弱性などが、普及をさまたげる理由として挙げられている。そのため、エンジン車への信仰が根強い。だが、BYDはそうしたEVの抱える問題を解決できると考えている。
「中国の自動車に対する開発姿勢は非常に真面目です。これはこういう不具合があるからこういうふうにしてくださいと言うと、翌日にすぐできちゃう。開発スピードはかなり速い」。バッテリーの冷却技術に長け、航続距離も長い。価格は他メーカーに比べれば割安感がある。従来のEVのイメージを打破する要素がそろう。
“ドリキン”土屋圭市氏が断言 「安っぽさがない。質感も高い」
期間中、トークショーを開いた“ドリキン”こと土屋圭市氏は、BYDについて、「だいたいどこの自動車メーカーに行ってもおっさんが多いでしょ。BYDは若いエンジニアがすごく多くて、それを邪魔するおっさんがいないんですよ。面白いからやってみようという、そういう夢がある」と、指摘した。
そして「今までBYDが日本に進出してこない理由としては、インフラが発達していないということがあった。海老名のサービスエリアに行っても(充電器が)3台しかない。連休やお盆に入っていったらもう5台も並んでいる。30分の急速充電に5台も並んでいたらもう帰りますよ。そういうのが今年からインフラがどんどん発達してきて、日本市場に出してもいけるなって読んだから、BYDは出てきたと思いますよ」と、分析。車のクオリティーにも太鼓判を押し、シールについては「安っぽさがない。質感も高い」と断言。「世界で勝負できる航続距離を持った500馬力のこんなおとなしそうなセダンですからね。それはウケますよ」と、評した。
グループとして、「地球の温度を1度下げる」という壮大なビジョンを掲げ、バッテリーの再利用にも取り組む姿勢を示すBYD。
モビリティーショーに外国車メーカーで出展したのは他に、BMW、メルセデス・ベンツのみ。かつての盛況ぶりを知る前出担当者はさびしさをにじませつつも、「買わなくていいからとにかく来て、乗って、うちのメーカーでなくてもいいから、EVに興味を持ってほしいというのがBYDジャパンの全員の気持ち」と、日本市場攻略に自信を見せた。