窪塚洋介、『IWGP』当時は「浮き足立ってた」 デビューから28年「芯の部分は変わらない」

俳優の窪塚洋介がPrime Videoで11月2日よりプライム会員向けに世界独占配信されたAmazon Original映画『ナックルガール』に出演している。デビューから28年が経過し、長男の窪塚愛流もモデル、俳優として活動している。レゲエDeeJayや腸活などさまざまな舞台で活躍してきた窪塚に、これまでの活動やまな息子への思いを聞いた。

インタビューに応じた窪塚洋介【写真:ENCOUNT編集部】
インタビューに応じた窪塚洋介【写真:ENCOUNT編集部】

Amazon Original映画『ナックルガール』で犯罪組織のボスを熱演

 俳優の窪塚洋介がPrime Videoで11月2日よりプライム会員向けに世界独占配信されたAmazon Original映画『ナックルガール』に出演している。デビューから28年が経過し、長男の窪塚愛流もモデル、俳優として活動している。レゲエDeeJayや腸活などさまざまな舞台で活躍してきた窪塚に、これまでの活動やまな息子への思いを聞いた。(取材・文=猪俣創平)

 映画『ナックルガール』は、モデル・俳優の三吉彩花が主演を務める日韓共同作品。原作は同名の韓国人気Webコミックで、日韓のクリエイター陣と日本の俳優陣がタッグを組んだクライム・アクション作だ。

 窪塚は本作で、主人公の妹が失踪した事件に関与する謎の犯罪組織のボス・白石誠一郎を演じた。出演の決め手は、「Amazon Original」と「日韓共同作品」ということに興味が湧いたことだった。実際に撮影に入ると、チャン監督と「すごく仲良くなって、ご飯も行くようになったんだけど、すごくやりやすかったですね」と言うほど、クリエイティブな現場だったと振り返る。

 2023年の窪塚といえば、ドラマ『池袋ウエストゲートパーク(IWGP)』で演じたカリスマ的な不良・キングを思わせる姿でCMに出演し、話題となった。しかし、「自分的には体を張ったギャグなんで」と笑う。

 当時と比べても違和感のない姿に見えたが、「あの格好をしたらちょっと戻ってくる感覚はあったけど、もう1回やれって言われたら『いやいやいや!』ってなりますね(笑)。あの役を、あの年齢のままやれって言われてもできないから。そこはやっぱり圧倒的に20数年という歳月が隔てたものもありますし」と笑顔で否定する。

 今年初めには『IWGP』がNetflixで配信され、「年始にインスタグラムのフォロワーが急に増えたなと思って。ただの数字といえばそれまでなんだけど、なんかいい流れなのかなっていう気はちょっとありました」と反響も実感した。

『IWGP』の出演は20歳の頃。くしくも長男・愛流も現在20歳で、インタビュー時に放送中だった日本テレビ系連続ドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』に出演していた。同じ俳優として活動する息子に話が移ると、「彼は彼なんで。特に(自分と)比べなくていいかなとは思っていて、中身も全然違うし、背も俺より大きいし。きっと見てる夢だったり、求めてる場所だったりも違うと思いますから」と自身との比較には慎重な姿勢を示した。

 もっとも、愛流が出演した『最高の教師』はチェック済み。「久々に民放のテレビドラマを見ました。芦田愛菜さんと松岡茉優さんがすごくいいなと思って、引き込まれるものがありました」と語る。愛流の演技には「なんて言うのかな、ちょっと鼻につくところはあるけど、最後に告白するシーンがあって、そこの“ある瞬間”はすごくいいところがあったんで、それは素直に『いいと思ったよ』って言いました」と、役者目線の感想を伝えた。

長男・愛流との関係についても明かした【写真:ENCOUNT編集部】
長男・愛流との関係についても明かした【写真:ENCOUNT編集部】

『IWGP』出演当時を回顧「頭でっかちだった」

 同じ俳優である父に対して、愛流から演技についてもよく質問があったといい、親子のコミュニケーションの一例を教えてくれた。

「俺が酒を飲んでいるところに、あいつが聞きたいことを聞きに来てました。でも、俺がしゃべり出したら止まんなくなっちゃうから、向こうはもう『うわぁ~』ってあくびして眠そうになってるとかは、ままありました。『もう寝たい』、『寝させない』って感じで、酒のアテにしてました(笑)」

 ちゃめっ気たっぷりに話す姿に親子の仲むつまじい様子をうかがわせつつも、「もっと本読んだ方がいいんじゃない? ってことは思う」と助言を贈っていた。

「20歳当時の俺に比べると、圧倒的に言葉を知らなすぎている。演技をする、表現をするってことじゃなくて、自分自身を言葉で表現することができなさすぎているから、そういう話はこの間ちょっとしました」

 もっとも、自身も『IWGP』出演時は「本当に若かったし、経験値もすごく低かったし、頭でっかちだったから、浮き足だってた部分はすごくあった」と回顧する。1995年のデビューから28年が過ぎ、「気づいたら俺がガキの頃に思ってた“おっさん”っていう枠になってるから、おっさんなりのやり方をやれるじゃないかなっていう気はしてます」と気概も示す。

 窪塚といえばレゲエDeeJayとしても活動していた。俳優業とは「同じ種、同じ根っこから生えてる違う花」と言い表し、「自分的にはどっちも表現なんで」と通底する部分があるのだと説明する。最近では腸活も行い、「まだ言えないんだけど」と、新たな分野での活動も始めていることを示唆した。多岐にわたる活動の行動原則は「心のままに」だという。

「楽しい、胸のドキドキするような、ワクワクするようなことをしていたい。もちろんバランスを取ることも必要だし、我慢することもあるけど、なるべく自分に素直に、自分と向かい合うよりは、自分に寄り添うっていう感じで歩いていますね」

 デビューから現在までの道のりで、「芯の部分は変わらないと思うんですけど、年輪みたいな感じで細かった芯が太くなって、幹が太くなっているのは体感としてあります」と自らの成長を分析する。

 そのうえで「より自分らしくなっていく」感覚があるのだと語った。「若い頃は自分探しとか言って、自分の答えを外側に求めるけど、そうじゃないのが分かっているから」と地に足をつけ、目の前の仕事に集中してきた。これからも窪塚は映画やドラマだけでなく「心のままに」多彩な分野で活躍の舞台を広げていく。

□窪塚洋介(くぼづか・ようすけ)1979年5月7日、神奈川県出身。95年にドラマ『金田一少年の事件簿』で俳優デビュー。その後、『GTO』『池袋ウエストゲートパーク』などのヒットドラマに出演。2002年、映画『GO』で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を史上最年少で受賞。17年にはマーティン・スコセッシ監督作『沈黙-サイレンス-』でハリウッドデビュー。近作はNetflix『GIRI/HAJI』、高崎映画祭最優秀助演男優賞を受賞した映画『最初の晩餐』『スイート・マイホーム』、アニメ『火の鳥 エデンの宙』ほか。俳優業のほか、レゲエDeeJay、執筆などでも活躍。

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猪俣創平

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