【アフター・コロナ】コロナ契機に効率化推進で日本経済は“倍返し”で回復も可能!

緊急事態宣言が解除されたとたん東京は新規感染者数が増加し、早くも“東京アラート”が発動されてしまった。まだまだ自由な生活は遠そうだとガックリくる。日本はどうなっていくのか。感染も不安だが、経済も心配だ。マネックス証券チーフ・アナリストの大槻奈那氏にアフター・コロナの日本経済のゆくえについて寄稿していただいた。

大槻奈那マネックス証券チーフ・アナリスト【写真:山口比佐夫】
大槻奈那マネックス証券チーフ・アナリスト【写真:山口比佐夫】

上場企業の6割が業績予想示せず

 緊急事態宣言が解除されたとたん東京は新規感染者数が増加し、早くも“東京アラート”が発動されてしまった。まだまだ自由な生活は遠そうだとガックリくる。日本はどうなっていくのか。感染も不安だが、経済も心配だ。マネックス証券チーフ・アナリストの大槻奈那氏にアフター・コロナの日本経済のゆくえについて寄稿していただいた。

「自分がこの職業に就いている間にこんな数字を目にするとは思わなかった」――4月初旬、米国で新規失業申請者件数が1週間で700万件近くまで上った時のエコノミストの発言である。100年に一度の危機と言われたリーマンショックの10倍も悪い数字だったためだ。

 緊急事態宣言も世界各地で緩和され、ようやく少しずつ「アフター・コロナ」を語れるようになってきた。しかし経済活動については、依然こうした目を疑うような数字が相次いで発表されている。

 日本では企業決算がすさまじい。2020年3月期の決算で、ソフトバンクグループは1.4兆円、日産自動車は6700億円、丸紅は1900億円のそれぞれ大赤字となった。いずれも前の期は立派な黒字決算だった。これらの企業は決して特別ではない。前期はなんとかコロナ影響を抑えたものの、今期は一層不透明だとして、業績予想を示さなかった企業が上場企業全体の6割にも上っている。2011年の東日本大震災後の決算でも2割程度だったことを考えると、これもまた驚異的な数字である。

内部留保の蓄積と政府支援で持ちこたえるか

 一方、想定ほどには悪くない、あるいは、プラスに考えられる面もいくつかある。

 第一に、日本の企業倒産件数だ。2008年のリーマンショック時も世界中の企業が大きな痛手を受けた。しかし、当時、主に企業支援の役割を担ったのは、金融機関だった。ところが、当時は金融機関自体の体力が弱っていたので、企業に対しお金がうまく流れなかった。倒産件数は月々1200~1600件という水準が1年以上続いた(東京商工リサーチ)。

 その点、新型コロナ下での倒産件数は、4月一か月間で750件に止まる。もちろん今後の増加は必至だが、未曾有の外出制限を行った割には、踏みとどまっている印象だ。

 この背景には、民間も政府も前回の金融危機で知恵をつけたことがある。金融機関の資本力は当時から6割程度アップし、企業も「溜め込みすぎ」などと批判を受けつつ内部留保を蓄積した。さらに今回これまでとは違い、政府や政府系金融機関が、直接企業支援を行っている。銀行も既存の貸出の返済猶予などで企業を助けているが、それを安心してスピーディにできているのも、こうした政府の支援が大きい。地銀のもとには、5月中旬時点で10兆円を超える支援融資の相談が寄せられており、これらの4割程度は対応済みの模様だ。まだまだ遅い、との声もあるが、かつての銀行に比べれば考えられない即断即決ぶりだ。

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