朝ドラ『まんぷく』ヒロイン親友役で注目度上昇 呉城久美が挑戦する映画初ヒロイン

俳優の呉城久美が『さよなら ほやマン』(11月3日公開、庄司輝秋監督)で、映画初ヒロインを務めた。呉城は京都大法学部在学中に演技を始め、舞台俳優から映像の世界に幅を広げた。NHK連続テレビ小説『まんぷく』(2018年)では主演・安藤サクラ(37)が演じるヒロインの親友役で注目を集めた。

映画『さよなら ほやマン』でヒロインを熱演した呉城久美【写真:矢口亨】
映画『さよなら ほやマン』でヒロインを熱演した呉城久美【写真:矢口亨】

映画『さよなら ほやマン』で初ヒロイン

 俳優の呉城久美が『さよなら ほやマン』(11月3日公開、庄司輝秋監督)で、映画初ヒロインを務めた。呉城は京都大法学部在学中に演技を始め、舞台俳優から映像の世界に幅を広げた。NHK連続テレビ小説『まんぷく』(2018年)では主演・安藤サクラ(37)が演じるヒロインの親友役で注目を集めた。(取材・文=平辻哲也)

 本作は、宮城県石巻市の島でほや漁を営む半人前の漁師の兄弟アキラ(アフロ)とシゲル(黒崎煌代)、都会からやってきたワケアリの漫画家・美晴(呉城)が奇妙な共同生活を始める物語。石巻市出身の庄司輝秋監督の長編監督デビュー作で、人気ラップグループMOROHAのアフロが映画初主演を務めた。

「役は去年7月ぐらいにオーディションで決まりました。なんとなく役が自分に合っている気がして、久々に強気な気持ちで臨んだら、決まって、ちょっと驚きました。この前に三浦大輔さん演出の舞台(『裏切りの街』、22年3月)で、急きょ、ヒロインを演じることになって、やり遂げたことが自信になっていたかもしれません」

 演じたのは、ふらりと島にやってきた漫画家・美晴。借金苦に陥っている兄弟に、現金をちらつかせ、「1000万円で、この家を買いたい」と言い出す。漁にも出られず、借金苦のアキラは50万円の頭金を受け取り、3人の共同生活が始まっていく……。髪を真っ青に染め、一見きつい性格に見える美晴も、過去に葛藤を抱えている。

「髪の色はすてきでしたが、髪はかなりダメージを受けました。青い髪でもう少し普段の生活を楽しみたかったですが、時間がなかったのが残念でした。役作りについては、自分の内面からキャラクターの要素を引き出すように心がけました。他の役柄に憑依するというアプローチはあまり好まなかったんです。自分が生きてきた経験と個性を大切にしました」

 撮影は昨夏、石巻市沖の網地島でオールロケ。同じ宿に泊まり、撮影後も、共演者と役について話し合った。

「演じること自体が楽しく、この役に選ばれたことはありがたい機会でした。現場では仲間として尊重し合っていました」

 完成作は試写会で何度も鑑賞したが、大きな画面の自分を見るのは慣れない経験だったという。

「こんなにガッツリ出ているのは初めての経験で、最初は自分の演技が直視できなかったんです。多分、舞台経験が長いせいで、映像が正視できないんでしょうね。もっとこうしたらよかった、と思ってしまうんです。何回も試写を見る回数もあったので、自分を慣れさせるためにも、何回も見ました」

『さよなら ほやマン』は大切な作品になったという。

「作品を撮って終わりという話ではなくて、みんなでどう宣伝しようかと夜中まで話し合って、題名も決め直したりしました。これからも、ずっと心に残る作品になったと思います」と自信を見せた。キャリアの中でターニングポイントは「まだない」と語っていたが、振り返れば、本作が転機になるかもしれない。

□呉城久美(くれしろ・くみ) 2016年からNHK連続テレビ小説を立て続けに出演。『べっぴんさん』『ひよっこ』、そして、『まんぷく』では主役を親友として支え続ける大きな役割を担った。22年の舞台『裏切りの街』(作・演出:三浦大輔)では高い評価も得る。今年は日本テレビ系ドラマ『大病院占拠』のレギュラー出演など。映画では『来る』(中島哲也監督)、『浅田家!』(中野量太監督)、『流浪の月』(李相日監督)、『エゴイスト』(松永大司監督)など注目監督の作品に出演。

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