東海テレビ「さよならテレビ」が映画化…テレビ報道の生々しい現場を映し出した問題作
2018年9月に東海テレビで放送され、全国のテレビ関係者を始め大きな反響を生んだ東海テレビ開局60周年記念番組「さよならテレビ」が22日、「あいちトリエンナーレ2019」の映像プログラムが開催中の愛知芸術文化センター アートスペースAで上映され、ディレクターの圡方宏史氏、プロデューサーの阿武野勝彦氏がトークイベントを行った。イベントでは77分の番組に新たなシーンを加えて、110分の映画として、来年1月2日から東京・ポレポレ東中野、名古屋シネマテークほかで順次公開されることが発表された。
昨年9月に放送され大反響…来年1月から東京・ポレポレ東中野などで順次公開
2018年9月に東海テレビで放送され、全国のテレビ関係者を始め大きな反響を生んだ東海テレビ開局60周年記念番組「さよならテレビ」が22日、「あいちトリエンナーレ2019」の映像プログラムが開催中の愛知芸術文化センター アートスペースAで上映され、ディレクターの圡方宏史氏、プロデューサーの阿武野勝彦氏がトークイベントを行った。イベントでは77分の番組に新たなシーンを加えて、110分の映画として、来年1月2日から東京・ポレポレ東中野、名古屋シネマテークほかで順次公開されることが発表された。
同番組は、東海テレビのドキュメンタリー班が約1年半をかけ、自社の報道部を密着取材したもの。テレビ局の顔であるアナウンサー、ベテランの外部スタッフ記者、若き契約社員の放送現場に同行し、視聴率とジャーナリズム、労働と人間疎外、過去の放送事故など、テレビ報道の生々しい現場を赤裸々に映し出す。放送後は録画DVDがテレビ関係者らの間で、“裏ビデオ”のように流通していた。
プロデューサーの阿武野氏は「(トリエンナーレでの上映の)話を頂いた頃は、局内に嫌なムードが漂っていた。内部からは『東海テレビのイメージを毀損した、貶めた』と結構批判された。OB会では、会長、社長に向かって『何を放送させたんだ』という声も上がった。こういうリテラシーなのねと思いましたが、呼応するだけの力がないので、ただウサギのように怯えていた」と冗談交じりに語った。放送後は反響が大きかったそうだが、「『お前らマスゴミだな』といった声はなかった。そういう意味では、長い間ドキュメンタリーを作っていく中で、東海地方の視聴者のコミュニケーションは取れていたと実感した」と話した。
「ヤクザと憲法」「人生フルーツ」など数々の話題作を生んできた東海テレビ
東海テレビではこれまで番組を再編集した12本のドキュメンタリー映画を製作。ヤクザと人権、放送コード問題に踏み込んだ「ヤクザと憲法」(2016)がスマッシュヒットし、さらには、老建築家夫妻の静かな生活にスポットを当て、樹木希林がナレーションを務めた「人生フルーツ」(2017)は全国100館以上で拡大公開された。映画化について、阿武野氏は「そのつもりはあったけれども、言おうものなら……。編成部には『再放送はないのか?』『全国放送はしないのか』という声が多数寄せられたけれども、いまだ再放送もない。放送以外では、名古屋テレビ、NHK、九州の民放労連が勉強会として上映会をやったと聞いている。私は、“裏ビデオ”とは呼ばず、“密造酒”と言っているが、寝かせていた密造酒がうまそうだなと思われたんだな」と笑っていた。