ドアハンドルがない、どうやって車に乗り込むの? 日本の異業種タッグEV、車内は「まるでリビング」
日本を代表する企業同士が、“異業種タッグ”を組んだ最新鋭EV(電気自動車)に注目が集まった。「ジャパンモビリティショー 2023」(11月5日まで、東京ビッグサイト)で披露された、『アフィーラ(AFEELA)』。プロトタイプの1台は鮮烈なオーラを放ち、モビリティーの新たな未来を予感させている。
センサー顔認証でドア開閉、エンタメ満喫の新機軸
日本を代表する企業同士が、“異業種タッグ”を組んだ最新鋭EV(電気自動車)に注目が集まった。「ジャパンモビリティショー 2023」(11月5日まで、東京ビッグサイト)で披露された、『アフィーラ(AFEELA)』。プロトタイプの1台は鮮烈なオーラを放ち、モビリティーの新たな未来を予感させている。
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自動車メーカーの本田技研工業株式会社と、エンターテインメントやテクノロジーなど幅広く扱うソニーグループ株式会社が設立した合弁会社『ソニー・ホンダモビリティ株式会社』が開発したEV新ブランド。技術力と発想力に秀でる両者の強みを生かし、融合させ、最新技術を詰め込んでいる。
今回、今年1月に米国で初披露された後に米国巡業を終え、ついに日本凱旋(がいせん)となった。洗練されたボディー形状。担当者は「車が人を感じる、人も車を感じられる」というコンセプトを強調する。
ソニーが持つセンサー技術とホンダの安全技術によって、「安全安心な自動運転」の機能を搭載。車内外に設置された計45個のカメラ・センサーなどが安全性を担保する仕組みだ。
車内空間に情報・エンタメを拡張していく「拡張性」も大きな魅力。前面に「パノラミックスクリーン」と呼ばれるワイド画面、後部座席にも2つのディスプレイを取り付けている。映画・音楽・ゲームに加えて、旅先の天気情報やドライバーの趣味・嗜好(しこう)に合わせたニュース情報を提供。さらに、お気に入りのスポーツチームの勝敗結果なども教えてくれるといった気の利いたサービスも。担当者は「例えば、子どもたちは後ろで子ども向けのコンテンツを見て、前に座る大人は映画を鑑賞することもできます。もちろん、家族一緒に同じコンテンツを楽しむこともできますし、まるでリビングのような雰囲気を作ることができます」と説明する。
フロント部分に映像が流れる車の“自己表現”
また、外装に最大の注目点がある。フロント部分をぐるっと囲むように、特殊なモニターが設置。カラフルでスタイリッシュな映像が流れている。これは一体何なのか。「これはメディアバーと言って、『世界とつながる、人と車がつながる』というコンセプトがあります」と教えてくれた。車の“顔”を通して外に向けて映像・表現を発信するというアイデアは、広告掲出など今後の可能性が広がりそうだ。
よくよく見ると、ドアハンドルがない。どうやって車に乗り込むのか。「あらかじめ登録されている人物が近付くと、センサーの顔認証によって自動でドアが開く設計なんです。人に寄り添った車なんですよ」。ドライバーに快適さを与えるホスピタリティーには驚きだ。
世界のEV業界を見渡すと、競争は熾烈(しれつ)だ。先駆け的存在の米テスラ、勢いの増す中国のBYD、日本の国産メーカーも新車開発に力を注いでいる。アフィーラのような新鋭の登場は、業界全体の活性化につながるだろう。
再来年2025年前半に先行受注をスタートさせ、同年内に発売。26年の納車を予定。担当者は「走る楽しみはもちろんですが、走らない時間も楽しめる。そんな車のスタイルも考えています。将来的な完全自動運転を見据えて、乗る人が運転せずに移動する間、ゲームや音楽などエンタメを満喫できる、こうしたサービスを拡張できるよう、ソフトウェアや機能をアップデートしていきます」と声を弾ませた。
“運転しない車”のワクワクするような楽しみ方の新機軸。未来の夢がどんどん膨らんでいく。