スバル、“空飛ぶ車”を極秘開発 完全非公開の飛行実験は成功…狙うは「世界最先端」
「東京モーターショー」から名前を変えた「ジャパンモビリティショー 2023」(26日開幕~11月5日まで、東京ビッグサイト)のプレスデーが25日に始まり、各自動車メーカーが会見を開いた。大きな注目を集めたのは、SUBARU(スバル)ブースの発表。極秘に進めていた“エアモビリティー”を世界初公開し、報道陣の驚きを誘った。“空飛ぶ車”と話題沸騰のコンセプトモデルは、実用化のめどは立っていないものの、飛行実験にはすでに成功。モビリティーの可能性を明るく照らした。
強烈インパクト! 「研究をひたすら極秘にやっていました」
「東京モーターショー」から名前を変えた「ジャパンモビリティショー 2023」(26日開幕~11月5日まで、東京ビッグサイト)のプレスデーが25日に始まり、各自動車メーカーが会見を開いた。大きな注目を集めたのは、SUBARU(スバル)ブースの発表。極秘に進めていた“エアモビリティー”を世界初公開し、報道陣の驚きを誘った。“空飛ぶ車”と話題沸騰のコンセプトモデルは、実用化のめどは立っていないものの、飛行実験にはすでに成功。モビリティーの可能性を明るく照らした。
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スバルはこの日、最初にスポーツタイプのBEV(バッテリー電気自動車)の試作車を披露。そして、直後に登場したのが、エアモビリティーのコンセプトモデルだった。ブース後方の壁が大きく横に開くと、まるでUFOのような巨大な物体が空中で動いている。空の移動革命を起こすべく作られたエアモビリティーの姿に、報道陣は騒然となった。
サイドに設置されたビジョンには、実際に屋外で空に浮かぶ実験中の映像が流されていた。数メートルは飛んでいるように見える。映像の中のエアモビリティーは、厳密にはコンセプトモデルと異なるというものの、全長6メートル、幅4.5メートルのサイズは同じだという。
大崎篤社長は、「みなさん、いかがでしょうか」と、笑顔を浮かべ、「スバルが目指す、より自由な移動の未来を示したコンセプトモデルです。現在、航空宇宙と自動車のエンジニアが協力し合い、飛行実証を進めています」と、説明した。
車なのか、飛行機なのか。スバル関係者は、「あえて車という言い方はしていないですね。このモデルにはタイヤはついていなくて、どちらかというと、ドローンに近い」と、話す。
水面下で進められてきたサプライズだった。別の関係者は、「社内の試験場で飛ばしています。今日までこの形も全く出していないですし、スバルとして(プロジェクトに)取り組んでいます、ということも公表していなかった。動画も初めてです。研究をひたすら極秘にやっていました」と、舞台裏を明かした。
発表後、囲み取材に応じた大崎社長には、展示車ではなく、エアモビリティーに対する質問が相次いだ。
実用化のめどについては、「今いろいろ実証実験をやっていますけど、まだもう少し時間がかかるかなと思います」と、現時点では未定とした。「当然、安全に気をつけなきゃいけないというのは第一ですけど、いろんな性能を上げていくには相当試験を繰り返さなきゃいけないですし、一方で、ああいう大きなものがみんなの頭の上を飛ぶということに対する社会の受容性みたいなものも、もう少し煮詰めていかないと、なかなか実用化までには時間がかかるのかなという感じがします」との考えを示した。
プロジェクトがいつから開始され、国内のどこでやっているのかも詳しくは不明だ。何人乗りかもはっきりとは分からない。
とはいえ、実験ではモビリティーが宙に浮いており、着実に努力を重ねている様子もうかがえる。
「人が1人、2人乗れるような大きさになっている。実際先ほど動画で見ていただいたようにちゃんと飛ぶところまでは来ているので、実証実験をこれからも続けていきたいですね」。スバルの持つBEV技術やカーボンを利用しての徹底的な軽量化を図り、将来の実用化を視野に入れている。
社内に高まる「世界最先端を狙おうぜ」という機運がプラスに
陸ではなく、空という空間を利用すれば、現代社会が抱えるさまざまな課題を解決できる可能性も広がる。
「過疎地域における移動手段の大きなチャンスになると思いますし、また日本の産業がどんどん発展をしたり、人口の偏在みたいなものも軽減をしたりする。そういう意味ではすごく大きな意義のある取り組みだなと思っています」と、大崎社長は胸を張った。
スバルは8月に新経営体制における方針を発表した。「少しずつですけど、やってやろうぜと。世界最先端を狙おうぜという機運は高まってきていて、一部そういう動きがどんどん起きている。かなりいい形で動き始めていますので、ぜひこれから期待してほしいです」。その勢いを感じさせるコンセプトモデルだ。
前出の関係者は、プレスの反応について、「これをボンと出したことによる反響はやっぱり大きいなと思います。囲み取材もそうですけど、質問の大半がこれに集中していました」と、喜びの表情。ガソリン車からEVへ、自動車の大変革期と言われる中、こんな挑戦があってもいいかもしれない。