高級タワマンでタクシーを15分待機させ…車寄せを独占する子育てママの身勝手な主張

タワーマンションをはじめとするプレミアムなマンションでは、エントランス前に屋根付きの車寄せが作られるなど、荒天の中でも住人の出入りがラクなよう設計されている場合が多い。しかし、自分自身で車を出し入れしたり、タクシーを呼んだりしなければならないことが多く、車寄せが混雑してしまうなど思いもよらないトラブルもあるという。

マンションの車止めの使い方を巡ってトラブルに(写真はイメージ)【写真:写真AC】
マンションの車止めの使い方を巡ってトラブルに(写真はイメージ)【写真:写真AC】

タワマンでタクシーを呼んだら…「文句を言われてしまったんです」

 タワーマンションをはじめとするプレミアムなマンションでは、エントランス前に屋根付きの車寄せが作られるなど、荒天の中でも住人の出入りがラクなよう設計されている場合が多い。しかし、自分自身で車を出し入れしたり、タクシーを呼んだりしなければならないことが多く、車寄せが混雑してしまうなど思いもよらないトラブルもあるという。

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 東京都港区の高級タワーマンションに住む真田優佳子さん(仮名・29歳)は、結婚を機に現在の住まいへ。昨年生まれた双子の育児に追われながらも、快適なタワマン暮らしを謳歌(おうか)していた。しかし昨年秋、同じマンションに住む中年女性から苦情が届き、優佳子さんの心は「引っ越したい」気持ちに傾いているという。

 原因となったのは、タワマンのエントランスにある車寄せの利用の仕方。優佳子さんはこう振り返る。

「双子を連れて毎日のお買い物や検診などに出掛ける際、必ずタクシーを利用しています。雨の日や風が強いときでも、エントランスのすぐ目の前までタクシーをつけてもらえるので、ありがたいな、と思っていました」

 優佳子さんはいつも、タクシーが到着したら自宅に電話をもらうようにお願いしていた。コロナ禍の中、子どもの安全をできるだけ担保したいというのがその理由だったが、タクシーからの連絡を待ってから双子をベビーカーに載せ、荷物を持ち、エレベーターを呼び――そうしてエントランスまで降りるとなると、どうしてもタクシーが到着してから10~15分ほど時間がかかってしまうという。

「タクシーは、迎車代金に加えて待ってもらう時間の分もお金を払うわけですし、私も夫もまったく問題ないと思っていたんです。でも、『あなたね、タクシーが到着するまでに下に降りるようにしていなさいよ。あなたのせいで、朝から車寄せが渋滞しているじゃないの!』って、文句を言われてしまったんです……」

 優佳子さんが住むタワマンの車寄せは、車2台は同時に通れるスペースがあるが、通勤や通学などの時間帯になると混雑してしまう。その中で15分もスペースを独占することは、確かに他の居住者から見て不満を感じるポイントになるのかもしれない。

「ケチをつけられた感じなので、もっと広い車寄せがある物件に引っ越したいと、夫に相談中です。私は双子の育児で忙しいのに……日本って、ほんと子育てママに対して冷たい国ですよね」

バレーサービス付きのマンションが増加中

 20年以上のキャリアを持ち、業界に精通した不動産のプロである中目黒「コレカライフ不動産」の姉帯裕樹さんは、この事例にどんなアドバイスを送るのか。優佳子さんの悩みは、実は「あるある」な問題なのだと姉帯さんは語る。

「ホテルライクをうたうタワマンが増えたことが原因かもしれませんが、タワマンの居住者の中には、ホテルライクな生活を『あたりまえ』のことだと認識している方が見受けられます。でも、実際のところホテルとは違うわけで。子育て世代かどうかなどは関係なく、居住者一人一人が譲り合って、みんなが快適に暮らせるよう努力をしなければなりません」

 では、どうすればトラブルを回避できるのか。

「これは僕自身の考えにはなりますが、タクシーを10~15分待たせるのは、いくら双子のお子さんがいたとしても『待たせすぎでは?』と思います。月に1度程度の利用であればそこまで気になることもないと思うのですが、毎日となると不満をためる住人が出てきても仕方ないことだと思います。

 エントランスに降りるまでに10~15分かかるのであれば、タクシーを頼んだらすぐにエントランス横のロビーまで降りているくらいの気持ちを持ったほうが、トラブルが少なくて済むのではないでしょうか。広くゆったりとした車寄せを持つタワマンに引っ越すというのも、解決策の1つになるかもしれません。

 海外の高級住居なら必ずといっていいほど存在する『バレーサービス』が、日本でも一部高級マンションで提供されています。よりホテルライクなサービスを望むのであれば、そうしたタワマンを選ぶのも手。ご主人と相談して、ぜひ、こうしたサービスが付いた物件を探してみてください」

□姉帯裕樹(あねたい・ひろき)「株式会社ジュネクス」代表取締役。宅地建物取引士の資格を持ち、不動産取り扱い経験は20年以上を数える。独立した現在は目黒区中目黒で不動産の賃貸、売買、管理を扱う「コレカライフ不動産」として営業中。趣味はおいしいラーメンの食べ歩き。

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