大河に2連続出演 飛躍の北香那が振り返る10代「承認欲求が満たされずバイトの日々」

内野聖陽(55)主演の映画『春画先生』(公開中、塩田明彦監督)で、風変わりな春画先生に弟子入りするヒロイン弓子を演じたのが俳優の北香那(26)だ。小6から子役として活動し、最近ではNHK大河ドラマ『どうする家康』での側室・お葉役が注目を集めた実力派若手。下積み時代も語ってくれた。

インタビューに応じた北香那【写真:荒川祐史】
インタビューに応じた北香那【写真:荒川祐史】

北香那インタビュー 内野聖陽主演の映画『春画先生』でヒロイン弓子役

 内野聖陽(55)主演の映画『春画先生』(公開中、塩田明彦監督)で、風変わりな春画先生に弟子入りするヒロイン弓子を演じたのが俳優の北香那(26)だ。小6から子役として活動し、最近ではNHK大河ドラマ『どうする家康』での側室・お葉役が注目を集めた実力派若手。下積み時代も語ってくれた。(取材・文=平辻哲也)

 本作は、春画一筋に情熱を傾ける変わり者の春画先生、芳賀一郎(内野聖陽)と、しっかり者の弟子、弓子(北香那)のユニークな師弟愛を描く。役はオーディションで勝ち取った。

「脚本を読んだ時に弓子を演じたい、絶対に面白い作品になると感じていました。自分にとても近いなと感じましたし、好奇心旺盛な部分や情熱的な部分が重なりました」

 春画先生との対比で、一見まともに見える弓子だが、実は個性的なキャラ。回転ベッドでの体当たりの演技もある。

「弓子というキャラクターは演じるうえで、抵抗はありませんでした。でも、過去に演じたどの役よりも弓子のことを深く考えましたね。撮影が終わっても彼女の存在が頭から離れなくて」

 役作りはモデルになりそうな身近な人を見つけて、まねをすることから始めることが多いそうだが、今回は違った。

「監督からは『暖流』(1957年、増村保造監督)の左幸子さんの演技を参考にしてほしいと指示がありました。クランクインの前から何度も観ましたが、明確なモデルを出していただいたので、それはすごく助かりました。本作は初めての挑戦がたくさんありましたが、監督から求められるお芝居の仕方を体に落とし込むのが難しかったです」

 内野聖陽とは『罪の余白』(2015年)以来の2度目の共演となる。

「その時は本当にワンシーンの一瞬だったので、今回こんなに濃厚にご一緒させていただき本当に幸せです。リハーサルの時から、集中力や役に対する情熱を感じ、私自身が感化されました。一瞬一瞬を大切にしている姿を撮影中ずっと見ていて、とても勉強になりました」

北香那はヒロイン弓子を演じる【写真:荒川祐史】
北香那はヒロイン弓子を演じる【写真:荒川祐史】

小6の時に原宿でスカウト 当時は「シャイで人見知り」

 北は小6の時に原宿でスカウトを受けたことをきっかけに子役として活動した。

「美しい人が好きで、承認欲求が強かったんです。でも、シャイで人見知りだったので、学芸会などで前に出ることができなかった。スカウトを機に自分を変えたかったんです。でも、実際は承認欲求が満たされない時期の方が長く、高校卒業でみんなが進路を決めていく中、自分には明確な進路がなくて、バイト生活の毎日だったので、すごく虚しかったです」

 そのバイト生活が実を結んだのが、2017年、テレビ東京系ドラマ『バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~』で愛らしい中国娘ジャスミン役だ。

「高校3年間でやっていたバイトがお弁当を作る工場でした。中国人の方がたくさん働いていて、その経験がジャスミンにつながりました。キャラクターが膨らんで、嫌味のない憎めない中国人の女の子として演じました」

 最近ではNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に続き、『どうする家康』でもお葉役が話題を集めた。そして、体当たり演技を見せた本作と勝負作が続く。

「『春画先生』は私にとって新たな始まりのような作品でした。映画でこういった素晴らしいキャストの方々とヒロインとして演じることができ、新たな挑戦と感じました。最近は少し自信を持って役に取り組めています。今後も、さまざまな役に挑戦してみたいと思っています。特に社会問題を題材にした作品や、人間のさまざまな面を描いた役に挑戦してみたいです」と意気込む。これからも多彩な役を見せてくれそうだ。

□北香那(きた・かな)1997年8月23日生まれ、東京都出身。2017年、TVドラマ『バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~』(テレビ東京)でジャスミン役に抜てきされ、注目を集める。18年、アニメ映画『ペンギン・ハイウェイ』で声優初挑戦ながら主演を務める。主な出演作に、ドラマ『アバランチ』(21/フジテレビ)、『恋せぬふたり』(22/NHK)、『拾われた男』(22/Disney+・NHK)、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(22/NHK)、『ガンニバル』(22/Disney+)、『インフォーマ』(23/カンテレ)、大河ドラマ『どうする家康』(23/NHK)、主演ドラマ『東京の雪男』(23/NHK)、『口説き文句は決めている』(23/ひかりTV・Lemino)、映画『中学生 円山』(13)、『バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~』(21)、『なんのちゃんの第二次世界大戦』(21)など。

次のページへ (2/2) 【写真】北香那が公開したメガネ姿の制服ショット
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