時代を先取りしすぎた『バーチャルボーイ』 約30年前に発売の革新的なゲーム機

令和へ時代が進みVRなどの立体化できる技術が当たり前になったが、今から30年近く前に、任天堂が立体表現をゲームの世界に持ち込んでいたことはご存知だろうか? 1995年に発売された『バーチャルボーイ』(任天堂)は、PlayStationVR(ソニー)やMeta Quest(Meta)のようにゴーグル型の装置を覗き込み、完全立体表現を楽しめるゲーム機だ。

1995年に発売された『バーチャルボーイ』【写真:ENCOUNT編集部】
1995年に発売された『バーチャルボーイ』【写真:ENCOUNT編集部】

視差によって立体的な画像を見せる仕組み

 令和へ時代が進みVRなどの立体化できる技術が当たり前になったが、今から30年近く前に、任天堂が立体表現をゲームの世界に持ち込んでいたことはご存知だろうか? 1995年に発売された『バーチャルボーイ』(任天堂)は、PlayStationVR(ソニー)やMeta Quest(Meta)のようにゴーグル型の装置を覗き込み、完全立体表現を楽しめるゲーム機だ。

 今回は、当時のゲームファンからは「早すぎた」とも言われた『バーチャルボーイ』と、プレイできる代表的なゲーム3作品について振り返る。

 プレイヤーはスタンドに固定した本機器をテーブルに置いて使用する。ゴーグルの先はデュアルディスプレイ仕様になっており、左右の画面に異なる映像が表示されている。本機器は、異なる画像を同時に見ることで、視差によって立体的な画像を見せる仕組みだった。見える映像はカラーではなく、赤と黒のみで表現されているのも本機器の特徴だろう。この映像を見ると幼き日にデパートで見た試遊機が思い出される。

 本機器の発売に合わせ、同日に発売されたのが『マリオズテニス』(任天堂)だ。マリオやピーチ、キノピオ、ドンキーコングJr.など、7人のキャラクターを操作してテニスを楽しめる。本作は立体世界でテニスをプレイするため、ボールが頭上を越えたときには、思わず振り返ってしまうほどのリアリティーがあった。SNS上では「独特の距離感とふんわりした感覚が好きだった」「今やるとステレオ音響がとても立体的」と当時も今も感動したとの声が上がっている。

『マリオズテニス』の発売から約2か月後に発売されたのが『マリオクラッシュ』(任天堂)だ。マリオを操作し、高所にある足場から突き落とそうとする敵に対して、カメのこうらを投げてやっつけるアクションゲーム。立体技術により、手前と奥に行動範囲が広がり、2D映像のゲームとは違った感覚を楽しめた。実際に遊んだプレイヤーから「3D立体視に魅了された」「立体視を活かした唯一無二のマリオ」との声が見られる。

 最後に紹介する『バーチャルボーイ ワリオランド アワゾンの秘宝』(任天堂)は、ワリオを操作し、立体世界の中を手前に奥に行き来しながら、ステージを進めていくアクションゲーム。森や砂漠、海中などからなる全14面で構成され、より長く遊べる内容だった。SNS上では「奥行きを活かしたギミックも丁寧且つユニーク」「鉄球が奥と手前を行き来してたのがすごい」と好意的な声があがる。

 任天堂のホームページ内にある「社長が訊く『ニンテンドー3DS』」の岩田社長(当時)のコメントを見ると、『バーチャルボーイ』はなかなか市場に広がらなかった様子が伺える。それでも、この経験が後継機にも生かされているのであれば、素晴らしい挑戦だったと言えるだろう。

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