「ママ、知らないおじちゃんが…」タワマンの共用施設に居つく男性 正しい対処法は?
パーティー用のラウンジ、コンシェルジュ常駐のエントランス、保育施設、フィットネスジム、スパ施設にゲストルーム……近年、高級ホテル並みの共用設備がそろうタワーマンションが続々誕生している。共用設備の充実はとても魅力的に感じるものだが、住人によっては設備そのものが「害悪」となってしまうこともあるという。
子ども向けライブラリーに思わぬ“住人”が…
パーティー用のラウンジ、コンシェルジュ常駐のエントランス、保育施設、フィットネスジム、スパ施設にゲストルーム……近年、高級ホテル並みの共用設備がそろうタワーマンションが続々誕生している。共用設備の充実はとても魅力的に感じるものだが、住人によっては設備そのものが「害悪」となってしまうこともあるという。
関東某所のタワーマンションに住む加藤恵梨佳さん(仮名・35歳)は、小学校4年生になる長男と同2年生の長女、幼稚園年長の次女の3人の子どもに恵まれた専業主婦。地元に建ったタワマンに夫の希望で入居したのは、今から2年ほど前のことだった。
タワマン内にキッズルームはないが、代わりに「ライブラリー」が設置されている。子どもたちが寝転がって本を読めるようクッションフロアが敷かれ、ソフトな壁で覆われていることから、恵梨佳さんもそのタワマンへの引っ越しに賛成したという。
「学校や幼稚園から帰ってきた子どもたちを連れて、よくライブラリーに遊びに行きました。絵本や児童書がそろっているので、子どもを連れて図書館に行かずに済むのがいいんですよ。子どもが3人いると、自転車で移動するのもワンオペで車で出掛けるのも厳しいですからね。エレベーターを降りるだけで利用でき、子どもたちだけで遊びに行かせることができるこうした施設は本当にありがたいと思っています」
ところが、最近になってこのライブラリーに異変が起きているという。
「ここ1年くらいのことなのですが、30代くらいの男性が、ライブラリーに居つくようになってしまったんです。子どもたちがすぐに戻ってきて『ママ、知らないおじちゃんがライブラリーの中で寝てるんだけど』と長男から聞かされたことが始まりでした。同じマンションで同様にお子さんを持つママ友に聞いたところ、どうやらその男性はコロナ禍でテレワークになり、暇を持て余している様子。さらに、家の中に居場所がないのでしょう。静かな上に寝転がることができるライブラリーに居ついているようで、午後1時ごろから5時ごろまでクッションフロアに転がり、iPadで動画を見たり昼寝をしたりしているようなんです。
子どもたちに『気にせず遊んでおいで』と言ったのですが、その男性があまりにも堂々と寝転んでいるので、子どもたちも気にしないわけにはいかないようで、シュンとした顔をしてすぐに帰ってきてしまいます。これって管理人に言えばいいんでしょうか。共用施設なので使用は自由でしょうし、子どもがいる以上、もめたくはないのですが……」
苦情を伝えるのはアリ、あとは管理組合の出方次第
どのように対処することが正しいのか、東京・中目黒で不動産業を営む「コレカライフ不動産」の姉帯裕樹さんに聞いた。
「そうですね。まずは1度、管理人に現状を伝え、その男性が寝ているところを見てもらった方がいいと思います。そもそも、クッションフロアが敷いてあり、子ども向けの本がそろえられているということは、メインユーザーを『子ども』に設定してあるはず。そこを大人が専有することは、ルール違反とまでは言いませんがマナー違反にはなるでしょう。
子どもたちが遊べるスペースが専有され不自由しているということは、住人として不利益を被っていることに間違いありません。管理人に苦情を申し立てること自体は、問題のある行為ではないと思います。ただ、対応してもらえるかどうかはその管理人や管理会社、または管理組合の状況次第になります。また、相手が女性ということで上から見てくる人も少なからずいるので、夫に前に出てもらって、苦情を申し立ててもらうのもアリかもしれません」
いっそのこと、子どもたちにうるさいくらいにライブラリーで遊ばせたら、相手も逃げるのではないかとも思うが、恨みを買う可能性がある行為は「悪手」であると姉帯さんは語る。
「マンション内のトラブルは、基本的に管理会社が対応するものになります。まわりくどいし、解決までに時間がかかるかもしれませんが、ご自身や子どもたちに危険が及ぶことのないよう、必ず管理会社を通して解決するようにしてください」
□姉帯裕樹(あねたい・ひろき)「株式会社ジュネクス」代表取締役。宅地建物取引士の資格を持ち、不動産取り扱い経験は20年以上を数える。独立した現在は目黒区中目黒で不動産の賃貸、売買、管理を扱う「コレカライフ不動産」として営業中。趣味はおいしいラーメンの食べ歩き。