村上春樹氏初アニメ映画『めくらやなぎと眠る女』が24年初夏公開 舞台は2011年の東京
小説家・村上春樹氏原作の長編アニメーション映画『めくらやなぎと眠る女』(ピエール・フォルデス監督)が2024年初夏に劇場公開されることが16日、分かった。併せて本編の場面写真も解禁された。
アニメーション映画化されるのは初
小説家・村上春樹氏原作の長編アニメーション映画『めくらやなぎと眠る女』(ピエール・フォルデス監督)が2024年初夏に劇場公開されることが16日、分かった。併せて本編の場面写真も解禁された。
同映画は、音楽家でアニメーション作家のピエール・フォルデスが村上氏の6つの短編『かえるくん、東京を救う』『バースデイ・ガール』『かいつぶり』『ねじまき鳥と火曜日の女たち』『UFOが釧路に降りる』『めくらやなぎと、眠る女』を翻案した作品。なお、村上氏の作品がアニメーション映画化されるのは初となる。
舞台は、2011年の東京。東日本大震災から5年後、刻々と被害を伝えるテレビのニュースを見続けたキョウコは、置き手紙をのこして小村の元から姿を消した。妻の突然の失踪に呆然とする小村は、図らずも中身の知れない小箱を女性に届けるために北海道へと向かう。同じ頃のある晩、小村の同僚の片桐が家に帰ると、そこには2メートルもの巨大な「かえるくん」が彼を待ち受けていた。かえるくんは迫りくる次の地震から東京を救うため、こともあろうに控えめで臆病な片桐に助けを求めるのだった。
監督にとって初の長編アニメーションで、昨年6月、世界最大のアヌシー国際アニメーション映画祭でプレミア上映された本作は、同映画祭で審査員特別賞を受賞。今年3月に新しく始まった新潟国際アニメーション映画祭で第一回目のグランプリに輝いた。
審査員を務めた映画監督の押井守さんは受賞理由として、「現代文学を表現する最適のスタイルなんじゃないかということで、3人の審査員の意見が一致した、唯一の作品」とコメントしている。
以下、日本公開にあたって、ピエール・フォルデス監督からのコメント全文。
「『めくらやなぎと眠る女』が日本で公開されると聞いて、とても幸せな気分です。この映画は、純粋なひらめきと野心の両方から生まれました。史上最も偉大で最もインスピレーションに溢れた作家の作品から得たひらめきと、アニメーションにおいてテクニックだけではなく語り方をも一新しようとした野心の産物なのです。様々な物語とキャラクターを絡み合わせつつ、この映画は、様々な物語とキャラクターを絡み合わせつつ、2011年の地震と津波という大きな出来事が、登場人物たちをいかに目覚めさせ、自分の人生を生きようと試みさせるのかを探っていきます。
私が村上春樹の小説を読んでいるときに感じたような、そしてこの映画を作っているときに感じたような大きな刺激を、観客に感じてほしいと思っています。私にとってこの映画は、控えめに言っても近年作られた最も革新的な長編アニメーションなのです。この映画が、優れたアニメーションを生み出すことで知られた国で公開されることに興奮しています。私はこの映画の脚本を、新幹線の中でお弁当を食べながら書き終えたのですから、なおさらです!」