ミュージシャンのあのが13日、都内で行われた映画『鯨の骨』の公開初日舞台あいさつに落合モトキ、大江崇允監督と共に登壇した。本作にからめて、自身の人気などについて客観的に語った。

　あのは、ARアプリの中のカリスマ少女「明日香」を演じたことを振り返って「『この明日香という役をやってほしい』と言われて、なんかすごくすっと入ってきた。明日香が、自分とは遠いとは思えない。けっこう共感する部分だったり、自分がやることでもしかしたら説明しなきゃいけないことだったり、そういう難しい部分も、自分がやることで、それが必要なくなるんじゃないかな、というくらい、けっこうなんかヒットしてると思った。それが最初の印象でした」と述懐。

　さらに「僕も何年かこういう活動をしている中で、世の中の人とか見ている人の“あのちゃん”像というのが、人がいる分あって、『それぞれぜんぜん違う印象もってるな～』とか僕は客観的に見て思った。で、そのアイコンとして見られやすい自分と、現実の自分だったりとか、そこでの乖離（かいり）がとかが、ずっとそこに対してけっこう向き合う場面があったり、ギャップを感じたりとか。そういう本当の自分はどこまで出していいのか分からないとか、そういうことに対して苦悩した時期とかもあったりした。すごく明日香も、もしかしたら同じ気持ちだったのかな、とそういう共感性がある。そういう部分が似てるなと思いました」と話した。

　本作は、濱口竜介監督と共同執筆した『ドライブ・マイ・カー』が米アカデミー賞脚色賞にノミネートされ、配信ドラマ『ガンニバル』の脚本も手がけた大江監督が、ARを題材にリアルとバーチャルが混濁する世界を描くサスペンスフルな意欲作。W主演を、あのと落合モトキが務める。あのは主題歌も担当した。

　結婚間近だった恋人と破局した不眠症の間宮は、マッチングアプリで唯一返信をくれた女子高生と会うが、女子高生は間宮のアパートで自殺してしまう。うろたえて山中に埋めようとするも、気がつけば死体は消えていた。間宮はARアプリ「ミミ」の中で、死んだ女子高生と瓜二つの少女・明日香を発見する。彼女の痕跡を追いかけるうちに、現実と幻想の境界か゛曖昧になっていく間宮。いったい明日香とは何者なのか？　明日香は死んだはずの少女と同一人物なのか……というストーリーが展開される。