日本テレビ、ジャニーズへの忖度を認める「怒らせたら面倒」「競合タレントはキャスティングしない」

日本テレビは4日、夕方の『news.every』で時間を割き、ジャニーズ事務所の性加害問題について行った社内調査の結果を発表した。同調査では、20年以上過去にさかのぼり、報道局の記者、ジャニーズ事務所と向き合っていた番組制作の担当者、編成担当者や各部署の幹部らにヒアリング。週刊文春がジャニー喜多川氏による性加害を報じた1999年当時の同事務所との関係については、当時の編成幹部は「ジャニーズ事務所からはっきり通達 こんなことはしないでほしいと言われたことはない (ジャニーズ所属タレントの)対抗馬となる子たち 他のスターをつくらなかった これも直接言われたわけではないが、『怒らせたら面倒くさいな』ということ」と証言したことを紹介。95年以降、ジャニーズ事務所のタレントが出演してきた『24時間テレビ』については、「チャリティーパーソナリティーを別の事務所の女性グループにした際はジャニーズ事務所から出演がなかった」などと話したことを明かした。

日本テレビ【写真:ENCOUNT編集部】
日本テレビ【写真:ENCOUNT編集部】

『news.every』で20年以上過去にさかのぼった社内調査結果を発表「思考停止の状態」

 日本テレビは4日、夕方の『news.every』で時間を割き、ジャニーズ事務所の性加害問題について行った社内調査の結果を発表した。同調査では、20年以上過去にさかのぼり、報道局の記者、ジャニーズ事務所と向き合っていた番組制作の担当者、編成担当者や各部署の幹部らにヒアリング。週刊文春がジャニー喜多川氏による性加害を報じた1999年当時の同事務所との関係については、当時の編成幹部は「ジャニーズ事務所からはっきり通達 こんなことはしないでほしいと言われたことはない (ジャニーズ所属タレントの)対抗馬となる子たち 他のスターをつくらなかった これも直接言われたわけではないが、『怒らせたら面倒くさいな』ということ」と証言したことを紹介。95年以降、ジャニーズ事務所のタレントが出演してきた『24時間テレビ』については、「チャリティーパーソナリティーを別の事務所の女性グループにした際はジャニーズ事務所から出演がなかった」などと話したことを明かした。

 当時の芸能デスクも「ライブなどの取材や新曲のインタビューもあり、外されるのは怖い。実際にやられている雑誌を見ているので突っ込みにくかった」と話したことも明らかにした。その上で、番組キャスターの藤井貴彦アナウンサーは「日本テレビでは20年以上前からジャニーズ事務所に対して怒らせるとキャスティングができなくなるでは、取材ができなくなるのではといった認識や雰囲気が生まれていました」とコメントした。

 2000年代のジャニーズ事務所との関係については、当時の編成幹部2人が「競合するタレントはキャスティングしないというのが不文律 ジャニーズ事務所が司会の番組でイケメンは出しにくい」「はっきり言われたことは1回もないけど 嫌みのように言われたことがある人はいっぱいいると思う みんなを見てそういうものだと学んだ」と証言している。

 ジャニー氏の性加害問題については、当時の編成幹部が「ジャニー氏のペントハウスに行くと 簡単なレッスンルームがあり そこにジュニアの子がいつも何人かいてパジャマで出てきたことがあった 子供たちは小中学生だった」と証言。「ジャニー氏の男の子好きは広く知られていた ただ見ないようにしていただけだ 余計なことを言って もめたくないと思っているから それだけ事務所に力があるから 忖度していたのは間違いない」「彼らのバックヤードまで探ろうということはなかった 芸能人としての役割を果たしてくれればいいという考えだった」「性加害への認識が甘かったことについては反省すべきだ」とする証言も伝えた。

 ヒアリングの結果について、ゲストコメンテーターで出演した東京大大学院の田中東子教授は「忖度(そんたく)はあった。日本テレビの方が考えない、見ないようにして思考停止の状態にあった」などと厳しく指摘した。その流れで藤井アナは「日本テレビ社内ではジャニーズ事務所を特別扱いする空気が20年以上前から醸成されていきました」とコメント。NEWSの小山慶一郎を2010年から『news.every』で、嵐の櫻井翔を06年から『news zero』でキャスターに起用していた中、18年にジャニーズ事務所の所属していたタレントが強制わいせつ事件で書類送検(不起訴)になったことを把握しながら、必要以上に慎重になって他社よりも放送が遅くなった事実を認めた。そして、当時の報道幹部による「忖度かと言われればそれは忖度だと思う」との証言も伝えた。

 これらのことも踏まえ、同局の伊佐治健報道局長は「報道局内にもこのような空気が根付いていたことに重い責任を感じます。ジャニーズ事務所や社内から『やめろ』という圧力はなかったとはいえ、どこか『触ってはいけない』という思い込みがありました」「所属タレントにキャスターをお願いするなど、ジャニーズ事務所との長い歴史の中で知らず知らずのうちに言うべきことが言えなくなっていた。そんなことがあったのではないか。厳しく見つめ直さなければなりません。性加害はもちろん、どんな相手のどんな不正でも許さない。強い姿勢で今後も臨んで参ります」とコメント。そして、編成責任者の森寶陽三コンテンツ戦略局長は今後の番組作りについて「人権意識をしっかり持つ事を大切にしたいと思います。キャスティングにおいてもより公正に自律性を持って改善し、内外からの知見を得て健全な番組制作、番組編成に生かせるように対応して参ります」などと宣言した。

 一方で、今後のジャニーズ事務所に所属するタレントの報道番組出演について、伊佐治局長は「日本テレビは出演が決まっているタレントについては変更はないとしています」。局の方針通りならば、当面、櫻井は『news zero』に出演し続けることになる。

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