嵐の二宮和也が、銃殺事件の容疑をかけられた記憶喪失の男・勝呂寺誠司として、フジテレビ系連続ドラマ『ONE DAY～聖夜のから騒ぎ～』（月曜午後9時）に出演する。10月9日からの放送を前に囲み取材会に出席し、撮影時に意識していることや共演者への思いを語った。

　本作は、人々が思い思いに過ごすクリスマスイブという“たった1日”の出来事を1クールかけて描く謎と愛と奇跡の物語。主人公は別々の人生を歩んできた、全く関わりを持たない3人の男女。ドラマで描かれる1日の中でも3人の物語が同時並行で進行していくが、次第に運命の交錯へと導かれていく。

　二宮は、3つの物語のうち【逃亡編】の主人公として出演。逃げる場面が多い役となるが、クランクインも走るシーンからの撮影だったようで「『疲れたな』っていう感想です。でも、今は疲れるだけですみますね（笑）。殴られていないから痛くもないし、走っているだけなので」と振り返った。

　一方で「物語の軸が3つあるということからも、撮影がサクサク進むようにできればと思っています。『ここがこうで、ああで』ってやっていると歪みが出てくる。スタッフさんたちは連ドラ1本を撮っているわけで。そのペースは守りたいなと」と現場への気遣いを忘れない。

　役作りについても「記憶喪失でなにも知らない役なので。怒るとか悲しむとかもなく、自分の名前すらも知らないところから始まる。（役作りよりも）他の2つの物語との対比を作る方が大事だと思っています。僕は役について知っていることに準じてやっていくだけ。どこまで寄り添って、どこで裏切るかを考えて作っていかないといけない。無下に裏切りたいわけではなくて、しっかり気持ちよくなれるスポットを見つけながら作っていくことになるんじゃないかなと思っています」と語り、広い視野で作品に向き合う。

　本作では、二宮が主に出演する【逃亡編】のほか【地方テレビ局編】【レストラン編】の3つの物語が同時並行で進行する。

「3つの物語が分離していて、ここまでどたばたしているイメージではなかったんです。逃亡編は『白黒でいいんじゃないのか』とか画質の話もしていました。でも、ここまで話が入り組むと、同軸感を出すには逆に白黒だと意味がないなということになったんです。衣装のイメージもそれぞれのカラーが出てきて、見ていくうちにわかっていくんじゃないかなと思います。でも、見る人の方が大変かもしれない」

　そんななかでも【逃亡編】のポイントを聞かれると「とくにないんじゃないのかな」と言いながらも、「台本に書いてある“説明”をどこまで減らせるかになってくると思うんです。3つの物語が同時進行の中で、説明だけで終わっちゃうとなにがやりたいんだってことになっちゃうので。でも削りすぎると伝わらないし、含みを持たせないと答えを言うことにもなるので、そこの裁量がどこまでできるかが課題なんじゃないかなって」と続けた。

　そして、【地方テレビ局編】では中谷美紀が、【レストラン編】では大沢たかおが主人公を務める。しかし、制作発表会でも「物語の中では会わない人もいる」と話していた。

「必然性があれば（共演したい）。単純に3人揃えただけなら、いらないと思います。整合性を高めないと揃ったことが視聴者にハマらないんじゃないかなって。（共演するかは）僕は期待せずにフラットに待っているだけです」

　一方で、二宮との共演を聞いた中谷と大沢は「とても自然なお芝居をなさる方」「信頼できる素晴らしい俳優」などと二宮を大絶賛。その言葉を受け、「褒めていただけるなんて、ありがたいことでございますよ。恐縮ですというか言いようがないというか」と照れ笑い。そして、「僕自身もお2人を見て育った世代なので、その人たちと一緒にものが作れるのは感謝ですし、うれしいです。同じ月曜9時という枠を背負わせていただいているというのは、下手なことはできない。【逃亡編】を見たときに『おもしろいね』って言っていただきたいですね。気が引き締まる思いの方が強いです」と胸の内を明かした。

　本作のメガホンを取るのは『HERO』シリーズ（2001年、14年）、映画『マスカレードホテル』シリーズ（19年、21年）などを手がけた鈴木雅之氏がメガホンを取り、『翔んで埼玉』（19年）で第43回日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞した徳永友一氏が書き下ろす。

　これまでに二宮は人気漫画を実写化した作品に多く出演してきたが、本作はオリジナル作品となる。「0から1を生み出す人は大変だと思います。大変なのはそこかなと。あとは、作品の面白さは原作がありなし関係ないと思っていますし、僕自身はあまり気にしていないです。見てくださる方の感情を動かせたら、エンタメとしてはいいのかな」と締めくくった。