女子刑務所が舞台のサイコホラー、撮影は実在の廃病院 主演・夏子も「ビクビク」鑑賞
俳優の夏子(27)が映画『女囚霊』(公開中、鳴瀬聖人監督)で長編映画初主演する。原作は伝説のホラー漫画『女囚霊 ~塀の中の殺戮ゲーム~』。女子刑務所を舞台にしたサイコホラーサスペンスだ。「人間ドラマの要素もある」と話す夏子に見どころを聞いた。
公開中の映画『女囚霊』で長編映画初主演
俳優の夏子(27)が映画『女囚霊』(公開中、鳴瀬聖人監督)で長編映画初主演する。原作は伝説のホラー漫画『女囚霊 ~塀の中の殺戮ゲーム~』。女子刑務所を舞台にしたサイコホラーサスペンスだ。「人間ドラマの要素もある」と話す夏子に見どころを聞いた。(取材・文=中村智弘)
女子刑務所という密室で、究極の人間模様を描いた同映画。原作は「あまりにも怖すぎて正視できない」と口コミで話題となった伝説的なホラー漫画だ。夏子が演じるのは元議員秘書の美山役。信頼していた議員の殺人罪を被り、刑務所に入れられている。4人部屋の雑居房で一緒に過ごす囚人たち。ある出来事をきっかけに精神を錯乱させていく。
「(試写で観たときは)怖かったです。私、ホラー作品が元々得意じゃないんです。だから、結構ビクビクしながら客席で観ていました。囚人が洗脳されていく様子に、すごくゾクゾクした。漫画の魅力と映画ならではの表現が組み合わせって、新しい形になっていると思います」
撮影が行われたのは昨年1月。関東近郊で、1週間泊まり込みで行われた。撮影が行われた場所は実際の廃病院だった。
「ホラー作品なので、現場で何か起こるかもしれないとという恐怖はありましたね。廃病院の雰囲気も物々しくて、山の中での撮影もあったので、撮影のシチュエーションは全て怖かったです」
雑誌の専属モデルをきっかけに芸能界入り
俳優デビューして7年、今作が長編映画初主演となった。大学在学中に雑誌の専属モデルをしたことをきっかけに芸能界入り。順当にキャリアを積み、これまでフジテレビ系ドラマ『親愛なる僕へ撮影をこめて』や野田秀樹氏作、演出の舞台『赤鬼』などの話題作に出演してきた。
「実は人見知りで、人前に出るのが苦手なんです。今でも舞台に立っていると、時々ふっと、『ああ、怖い怖い』っていう風に思うんです。学生のときも、あまり教室で挙手したりできないタイプでした。でも、すごく負けず嫌いなので、できないことが嫌なんです。その意味で、この仕事を続けてこられた気がします。今はすごく楽しくなってきました」
できないことを克服することが、俳優をやる上での“原動力”だ。今回のホラー作品も「チャレンジでした」と振り返る。鳴瀬監督からホラーを観る上でのマインドセットを教えてもらい、苦手だったらホラー作品も「薄目を開けて観られるようになった」。囚人を演じるにあたって、プリズン(刑務所)ものの作品も観たという。特に参考になったのはドイツのサイコスリラー映画『es』だ。
「狭いところに囚われた人たちが、どんどん、狂気に走っていく様子は、今作と通じるものがあると思いました。ドキドキしたり驚いたりというホラーならではの魅力もありつつ、“人間の怖さ”という要素も入っています。決して特異な体験ではなくて、身近にも起こってもおかしくない話だなと思います」
テーマは人間の“罪の意識”や“洗脳”。新感覚のホラーサスペンスになっている。
□夏子(なつこ)1996年9月3日、東京都出身。2015年にモデルとして活動を始め、16年、俳優デビュー。19年、King GnuのMV『The hole』に出演。同年、初舞台となる『BACK BEAT』でヒロイン役に抜てきされる。22年、フジテレビ系『アイゾウ 警視庁 心理分析捜査班』で地上波連続ドラマ初主演を果たすなど、ドラマや舞台の出演多数。舞台『My Boy Jack』やフジテレビ系ドラマ『時をかけるな、恋人たち』など多数の出演作が待機中。