「クレベルにわざと絞めさせた」 快挙達成のベテラン・金原正徳が放った衝撃のひと言【RIZIN】

格闘技イベント「RIZIN.44」(埼玉・さいたまスーパーアリーナ/ABEMA PPV ONLINE LIVEで生中継)が24日、行われた。メインカードに登場した金原正徳(リバーサルジム立川ALPHA)がRIZINで日本人相手に負けなしだった“鬼神”クレベル・コイケを撃破。大“金”星に会場は大きく沸いた。試合後、金原がクレベル攻略方法を明かした。

クレベル・コイケにわざとギロチンチョークに入らせた金原正徳(右)【写真:(C)RIZIN FF】
クレベル・コイケにわざとギロチンチョークに入らせた金原正徳(右)【写真:(C)RIZIN FF】

見る人に伝えたのは格闘技の「奥深さ」

 格闘技イベント「RIZIN.44」(埼玉・さいたまスーパーアリーナ/ABEMA PPV ONLINE LIVEで生中継)が24日、行われた。メインカードに登場した金原正徳(リバーサルジム立川ALPHA)がRIZINで日本人相手に負けなしだった“鬼神”クレベル・コイケを撃破。大“金”星に会場は大きく沸いた。試合後、金原がクレベル攻略方法を明かした。

 RIZINフェザー級で6つの一本勝ちをしているクレベル。日本人相手には14年負けがなかった。この男に引き込まれたら最後、誰もクレベルのホーム・グラウンドで積極的に勝負をしてこなかった。そんな圧倒的な極めでファンを魅了していた選手相手に40歳の金原はほとんど何もさせなかった。

 金原はこのカードが決まると、その勢いでタイ修行へ。自分の目指す最強との対戦に向けて単身で渡った。ここ最近は自分の持っているものを70%にするキャンプを行っていたが、この試合へは120%を出す練習をした。「1日1人で2、3回もう体がボロボロになるくらい練習したのはもう10年ぶりくらい。あそこが痛い、ここが痛いって言いながらやっていた日々が辛くて。でもクレベルに勝つためだと自分に言い聞かせていました」。

 今年で格闘家生活20年目。付け焼き刃でつけた技術ではない。打・投・極、コツコツと積み上げてきたものがある。だからこそ他の選手ではできなかった選択ができた。「クレベルにビビらないこと」を目標に打撃ではボディー、フックと散らしプレッシャーをかけ、自らタックルを仕掛け、テイクダウン。有利なポジションをキープしグラウンドパンチを放つなどクレベルを漬けていた。

「大きくイメージしすぎていました。1回組んでみた感じとしてはグラップリングでも勝負できるなと、2、3R目を勇気を持っていけました」

金原正徳は会見が終わると穏やかな表情をしていた【写真:ENCOUNT編集部】
金原正徳は会見が終わると穏やかな表情をしていた【写真:ENCOUNT編集部】

 勝負できると確信した攻防は1Rの残り2分の場面で訪れたピンチだった。金原は膝蹴りを顔面に被弾し一瞬ガクンと落ちる。スクランブルのなかでギロチンチョークに入られた。

「自分は覚えてないんですけど、1R目に膝蹴りでダウンしたみたいなんですよ。そのときにクリンチというか組みにいったときにクレベルがギロチンにいったと思う。この展開になったときにトップゲームで勝負できるなと。だから2、3Rはテイクダウンにこだわりました。突っ込んできたクレベルにテイクダウンを合わせようと2R目から意識し始めました」

 クレベルがギロチンチョークで金原を引き込んだシーンに会場は歓声ではなく、悲鳴を上げていたが、仕掛けられている本人は余裕。冷静そのものだった。

「全く大丈夫です。クレベルは正直ギロチン得意じゃないと思います。それはハマったときに分かった。それよりもその後に右手首を持たれて三角絞めに移行されることのほうを気を付けていました」

 他のRIZINファイターでは言えなかった言葉が飛び出した。

「最初、クレベルに“わざと”(ギロチンチョークに)入らせて、絞めさせて、ちょっと力を使わせて弱ってきたのが分かった。絞められていても、自分の中では次の二手三手を考えていました。」

 3Rの序盤にはテイクダウンからバックサイドポジションを奪うもボトムのクレベルに回転され足関節を狙われた。

「足関節を逃げちゃうとバックを取られたりする攻防になるので、わざと膝に入らせて足首を取らせました。その方が自分はトップを取りやすい。それでそのあとトップ取れたので。組みをやりながら先手を取れたし、余裕が持てた」

 会場は打撃の攻防だけでなく、この寝技の攻防に拍手喝采。「金原コール」が起きるなど大きく盛り上がった。大きな勝利を勝ち取った金原は「すごくみんなが盛り上がってくれたからうれしい。寝技の攻防を理解してくれたのはうれしい」とほほを緩ませた。

 クレベル攻略法とは何なのか。

「『何か月頑張りました』でどうにもなるような話じゃないので、やっぱり本当にコツコツやってるやつの方が強い。そこは柔術だったり、グラップリングをたくさんやってください。MMAをたくさんやってください。それくらいのアドバイスしかできないです」

 格闘技の「奥深さ」を教えてくれた金原。打・投・極の何かひとつが抜けていればいいわけではない。レベルが上がるにつれ、MMAの完成度が試されると40歳のベテランが自分の身で示していた。

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