スーパー×IGFのコラボ総菜制作秘話 際どい金額設定に担当者「我々の利幅は少ないかも」

関東地方を中心にスーパーマーケットを展開する株式会社ベルク(埼玉県、鶴ケ島)にて、猪木元気工場とのオリジナルコラボ商品が共同開発され、9月5日~10月4日までの期間限定で販売されている。今回はこれにまつわる話を記述する。

試食会に参加した面々(左からアントキの猪木、Sareee、アントニオ小猪木)
試食会に参加した面々(左からアントキの猪木、Sareee、アントニオ小猪木)

異例のスピード商品化

 関東地方を中心にスーパーマーケットを展開する株式会社ベルク(埼玉県、鶴ケ島)にて、猪木元気工場とのオリジナルコラボ商品が共同開発され、9月5日~10月4日までの期間限定で販売されている。今回はこれにまつわる話を記述する。(取材・文=“Show”大谷泰顕)

「怒(いか)りの鉄拳制裁 ~七味&タバスコ~(税込み431円)」
「マヨわず喰えよ! 焼鯖明太高菜巻(税込み399円)」
「ボンバイエ! タコスサラダ(税込み431円)」
「チャー州コノヤロー!!(税込み647円)」

 現在、絶賛販売中の商品は上記の4品。どれもアントニオ猪木の世界観を意識した商品名が目を引くが、そもそもの疑問として、これらの商品を販売するきっかけはいったいなんだったのだろう?

 これに関しては、株式会社ベルク・デリカ部長が答える。「6月末くらいにマーケティング部のほうから『興味ある?』って聞かれて、是非やらせてくださいと、あまりよく分からないままお受けさせていただいたのがはじまりでした」。

 そこからリサーチを含め、具体的に商品の制作に取りかかってからは、ほぼひと月で商品化にこぎつけた。この時期の発売になったのは、やはりアントニオ猪木が亡くなった、10月1日から丸1年にあたるためだろう。

「もちろん、商品開発は3か月くらいで販売することもあるんですけど、通常は半年から1年くらいは商品化に時間がかかります。来月のものをパッと考えるっていうのはあまりないですね」(デリカ部長)と異例のスピード商品化が実現した。

 商品コンセプトとしては、「凝ったものよりは、単純で分かりやすいものにしたいと思いました。ネーミングだとか、お客さんが耳なじみで、商品が思い浮かぶものにしたかった」(デリカ部長)とのこと。「もちろん凝ったものも作れるんですけど、そうではなくて、ある程度単純明快で伝わりやすいもの、という意味で知恵を絞りました」(デリカ部長)という。

「ネーミングと猪木さんの歴史、あー、そういうところか、と関連づけるのは、苦労したというより悩んだ部分ですね。猪木さんには語録もヒストリーもいっぱいあるから、そこからどう選ぶのか。だから無茶苦茶大変な思いはありませんでした」(デリカ部長)

 例えば丼タイプの「チャー州コノヤロー!!(税込み647円)」に関して、「普通はご飯の量は180グラムなんですけど、これに関しては400グラムもご飯が入っていますし、チャーシューに関しても100グラムを入れました」(デリカ部長)と他ではできない取り組みにも挑戦したが、値段に関しても、かなり際どい金額設定にした。

「もう少し値段は高く売らないといけないのかもしれないですけど、せっかくこうしてコラボさせていただいて、お互い売れてナンボっていうのはあると思うので。我々の利幅としては少ないかもしれないですけど、これで行こうと決めましたね。普通はこの値段での了承は得られないですね」(デリカ部長)

 ちなみに、他のものに関しては一般的な価格設定だという。

通常の2倍以上(400g)のご飯が入った「チャー州このヤロー‼」
通常の2倍以上(400g)のご飯が入った「チャー州このヤロー‼」

次回作は年内に商品化予定

 5日に実施された試食会に参加した女子プロレスラーのSareeeは、「チャー州コノヤロー!!」を口に運びながら、「おいしい! 食べやすくて、これなら試合前に食べたい」と感想を述べていたが、それを聞いたアントニオ小猪木は「えっ!? これ試合前に全部食べるの?」と驚いていた。それでもSareeeは「はい! 私、試合前にすごい食べるタイプで」とニコリ。

 他にも「マヨわず喰えよ!」からはじまって、アントニオ猪木に所縁のあるタバスコに七味を加えて“燃える闘魂”を表現したり、メキシカンストレッチをモチーフにメキシコの「タコス」を用いたサラダがあったりと、プロレスファンなら「ああ!」とうなってしまう商品名も売りになっている。

 ネーミングに関して言うと、過去に全国規模で展開した「猪木酒場」では、「オクトパスホールド 卍固め」なる薄切りタコのポン酢や、「馬鹿になれ!!」という馬刺し・にんにく醤油といったネーミングのメニューも存在したが、今回の商品に関しても「一部それを参考にさせてもらいましたね」(デリカ部長)という。

 なお、ベルクでは新商品は毎月販売されており、お弁当類だと3、4品は存在する。「売れるのは米飯のカツ重、おはぎ、強いて言うなら海鮮丼、唐揚げ、トンカツ……」といった一般的なもの。それだけに、もし今回の商品でヒット作が生まれることがあれば、我々としても嬉しい限りだろう。事実、「そうなってほしい」(デリカ部長)と願っている。

 今回の販売期間は10月4日までになるが、好評であれば次回作も考えられるのか?

「11月か12月に、という話はすでに出ています。その際は、今回の商品の継続販売もひとつの選択肢ではあるんでしょうけど、できるならガラッと変えても面白いと思います。同じお弁当でもコンセプトが違って、魚、納豆、チーズ……、コアなファンなら分かる、ちょっとクスッとするようなエッセンスが得られれば」(デリカ部長)との話も出ている。

「猪木元気工場さんからアイディアも出していただける話もあったので、打合せもしながら商品化していけたら。でも、商品やコンセプトづくりを楽しんでできるのがこの企画ならではですね」(デリカ部長)

 ともあれ、販売から2週間ほど経つが、売れ行きは好調だという猪木元気工場とベルクのコラボ商品。近所にベルクがある方は、是非一度はいずれかを口に運んでもらえば、ひと味違ったカタチで“燃える闘魂”を偲べるのは間違いない。

次のページへ (2/2) 【動画】Sareeeらがベルクと猪木元気工場のコラボ商品の試食会に参加した実際の映像
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