東出昌大、大先輩・松山ケンイチから“落語デビュー”の勧め「表現の幅が広がると」

俳優の東出昌大が19日、東京・新宿末廣亭で20日まで行われている9月中席「古今亭志ん生没後50年 追善興行」のトークショーにゲスト出演した。

トークショーにゲスト出演した東出昌大(中央)【写真:ENCOUNT編集部】
トークショーにゲスト出演した東出昌大(中央)【写真:ENCOUNT編集部】

風間杜夫の落語は志ん朝の完コピ「僕は嫌な客なんです」

 俳優の東出昌大が19日、東京・新宿末廣亭で20日まで行われている9月中席「古今亭志ん生没後50年 追善興行」のトークショーにゲスト出演した。

 志ん生の息子で誰しもが認める名人だった古今亭志ん朝が大好きだという東出のために、古今亭菊之丞が急きょお囃子にリクエストした志ん朝の出囃子「老松」が鳴り響く中、11、12月に上演される舞台『ハイ・ライフ』で筋金入りのジャンキーを演じるため、口ひげに、髪はロン毛を後ろで束ねるというワイルドな雰囲気で、東出は登壇した。

「(末廣亭の)楽屋は取材で一度来たことがありました。火鉢の前は大師匠しか座れない場所ですが、『きょうはゲストだから座ったら』と言われて、ずっと座っていました」と笑顔で報告。「前座さんが着物の着方をベテランの師匠に注意されていましたが、(落語家の)一挙手一投足が粋でいいなと思いましたね」と、特別な場所での貴重な滞在時間をしみじみと語った。

 父親に勧められ、埼玉から東京への通学電車で落語を聞いていたという生粋の落語ファン。隣に並んだ金原亭馬生は「噺家になっていただきたかった」と悔しがり「今ごろ落語協会の会長になっていた」とリップサービスで客席を笑わせた。

 自身は聞く一方だが、「落語をしゃべらないか?」と東出に勧めた俳優がいたという。

「大先輩の松山ケンイチさんに、落語やった方がいいよって。落語やったら表現の幅が広がると言われたことがあった」と明かす。

 とはいえ、本人は慎重で、「落語は芸なんですよ。お芝居は芸というよりチームワーク。一人で磨けるものではないので(落語とは違う)」と、自身が落語の実践に踏み出さない理由を伝えた。

 東出の考えとは違い、芸能界には自ら落語をしゃべることをよしとする俳優が何人かいる。圧倒的技量で独演会を開いたり、プロの落語家の会にゲスト出演している俳優の風間杜夫は、まさに代表格だ。

 風間の落語を聞いたことがあるという東出は「僕は非常に嫌な客なんですけど、志ん朝とまったく同じテンポで、同じフレーズなんです」と風間の完コピぶりをチクリ。

「嫌な客なんです」とエクスキューズをはさみつつ、「おひとりでこんなにお上手になるのはどういうことだ? 志ん朝のまねではなく、修行をする中で自分の中に噺を入れてけいこをする芸人と、役者が形態模写でやるのには大きな違いがある」と、芸人のしゃべる落語と俳優の余興的落語の違いを冷静に分析。これには馬生も納得顔で、「弟子にしたい」と東出を持ち上げた。

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