バナナマン日村の取材成功率は「100%」 『せっかくグルメ!!』舞台裏の凄み「普通ならそこまでやらない」

注目番組や人気番組の舞台裏を探る企画。今回はTBS系『バナナマンのせっかくグルメ!!』(日曜午後7時)。お笑いコンビのバナナマンがMCを務め、日村勇紀やゲストが全国各地を巡り、そこで出会った地元の人がイチ押しする飲食店の料理を味わう番組。番組では地元の人に全く断られることなく撮影が行われているようにも見える。実際はどうなのか。また、日村が移動のために運転するかわいい黄色の車も気になる。総合演出のTBS・平野亮一氏に舞台裏の様子を聞いた。

『バナナマンのせっかくグルメ!!』の舞台裏に迫った【写真:(C)TBS】
『バナナマンのせっかくグルメ!!』の舞台裏に迫った【写真:(C)TBS】

ロケハンは人がいるかの確認程度 ロケの内容もほぼ100%放送

 注目番組や人気番組の舞台裏を探る企画。今回はTBS系『バナナマンのせっかくグルメ!!』(日曜午後7時)。お笑いコンビのバナナマンがMCを務め、日村勇紀やゲストが全国各地を巡り、そこで出会った地元の人がイチ押しする飲食店の料理を味わう番組。番組では地元の人に全く断られることなく撮影が行われているようにも見える。実際はどうなのか。また、日村が移動のために運転するかわいい黄色の車も気になる。総合演出のTBS・平野亮一氏に舞台裏の様子を聞いた。(取材・文=中野由喜)

 そもそも訪ねる場所はどう選んでいるのか。

「その時期に行きたくなる場所、観光で行くのに適している所が大前提としてあります。その街の魅力が一番出やすい時期に訪ねます。日村さんのロケに関しては、うちの街にも日村さんが来たと言ってもらえる面白さもあるので、行ったことのない所に行くようにしています。地域が偏らないようにバランスを考えています」

 1か所の街で日村は一日に何組の人に声をかけ、どのくらいの確率で取材OKとなるのか。

「1か所で4、5軒のお店に行きます。4軒だとしたら地元の人4組にお勧めのお店と料理を聞いて……という形がほとんど。地元の方の取材交渉成功率はほぼ100%です。ただ、お店が休みというケースもまれにあります。地元の方に聞いた店と料理に対し、我々が、これはアリ、ナシというジャッジはしていません。ロケの内容はほぼ100%放送されています」

 番組側がジャッジをしない理由は何だろう。

「我々の考えを入れすぎると普通のグルメ番組になってしまうからです。たとえば港町に行った時、魚介の料理に偏ったりする危険があります。聞き込みをすることで意外な料理と出会う可能性もありますから。そのワクワク感を大切にしています」

 日村は訪ねた店でほぼ完食しているように見える。

「1日4、5軒訪ねて完食することもありますが、スタッフと分けて食べていることもあります。我々の番組のマインドは“出していただいた料理を残して帰ることはしない”ということ。日村さん1人で食べきれない場合はスタッフで分けて平らげています」

 日村の印象的なエピソードも紹介してもらった。すると取材交渉成功率100%の要因があった。

「以前、おとなしそうな小学生の女の子に声をかけ、5分くらい話して打ち解け、結果、その子の家に行き、その時、不在だったお父さんの職場まで訪ねて行ってお父さんにお店を紹介してもらったことがありました。普通のタレントならそこまでやらないと思います。最初に出会った女の子で諦めるはず。日村さんに聞くと『感覚だけど、話したら大丈夫だと思ったんだよね』と。番組を長年やってきたからこそ、日村さんの中で距離を縮められるかどうかの肌感覚、アンテナがあるようです。そこが日村さんのすごさだと思います。人に興味があり、人と接することが好きな人です」

 現場で感じる日村のこだわりも尋ねた。

「偶然の出会いでしょうか。その面白さというか。たまたま出会った人と会話し、その人が教えてくれた店で食べたらうまかった、みたいな。すべてが偶然で、その偶然がいくつもつながっていくことを日村さんも面白がりながらロケをしています」

 事前に店のリサーチなどロケハンはしていないのか。

「ロケハンはしていて、何となくこういうお店があるという情報は入ってきます。ただロケハンで知ったお店に行こうと思い意図的に仕向けることはないです。ロケハンの一番の目的はここに行けば人がいるということの確認。地方に行くと、人がいる場所といない場所があり、聞き込みをする時間帯によっては人と出会えないこともありますから。地元の方に出会うことから全てが始まっていくロケスタイルなのでその確認だけは事前にしておきます」

 日村が街を移動する際に自ら運転する黄色の車についても聞いてみた。

「コロナ禍の時、街をブラブラすることが難しい時がありました。それでも街を感じたいと思い、日村さんが運転好きということもあって車を使うことにしました。そこでどんな車にするかと考えた時、まず黄色だと思ったんです。バナナマンですから黄色だと」

日村が運転する車にもこだわりが

 体格のいい日村には小さめの車に見える。

「ギューギューになって車の中でパンパンな感じで乗っているのがいいなと思いました。かわいらしく見えますから。番組の象徴的な色の黄色で小さくてかわいさを求めて調べたらフィガロという車を見つけました」

 フィガロは1990年代前半に販売された日産の車。30年以上前に短期間の販売。希少価値がありそうだが。

「日村さんも気にいっていてもう3年ほど乗っていますから愛着もわいているようです」

 最後に舞台裏の苦労を尋ねると、なかなか人と会えないことと紹介したが苦労と感じたことはないという。今後の展望にその気持ちが表れていた。

「普通のグルメ番組では行かないような田舎、地方に行ってグルメ探しをする機会も作りたいと思います。まさかここに来るとはと言われるような街に行ってみたいです。日村さんに出会うと皆さん喜んでくれるので、なるべく多くの地域にお邪魔して多くの方と出会える機会を作っていきたいです」

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