俳優の中村倫也が主演を務めるテレビ朝日系連続ドラマ『ハヤブサ消防団』（木曜午後9時）が14日に最終回を迎えた。今回は、「映子さん」と呼ばれる謎の老婆（村岡希美）の正体が明らかになった。

　同作は、『半沢直樹』『下町ロケット』シリーズなどで知られる人気作家・池井戸潤氏の最新小説（集英社）が原作。中村演じる主人公のミステリー作家・三馬太郎が、亡き父の故郷・山間部の“ハヤブサ地区”に移住し地元の消防団に入ったことから、怪事件や巨大な陰謀に巻き込まれていく。

（※以下、ドラマの内容に関する記述があります）

　ハヤブサはある日突然、観光客であふれかえるようになった。その観光客の正体は、宗教団体「アビゲイル騎士団」の元信者たちだった。

　アビゲイル騎士団は、教祖と教団幹部たちが信者12人を拷問して殺害した事件を起こし、解散。しかし顧問弁護士の杉森登（浜田信也）の指揮のもと、ハヤブサで「聖母アビゲイル教団」として復活を目論んでいた。ハヤブサがアビゲイルの教義を生んだ“聖母アビゲイル”の生誕地であることから、復活の地をハヤブサに選んだのだ。その聖母アビゲイルの正体は、三馬の父親が約30年前に撮影したという謎の女性・山原展子（小林涼子）だった。

　三馬の自宅には以前、映子が侵入していた。映子は、三馬が過去に山で遭難しかけた際に“幽霊”と見間違えた謎の老婆だった。映子は三馬の自宅に飾ってある展子の写真をつかむと何か言いたげだったが、教団メンバーに連れて行かれてしまっていた。無表情で言葉を発さない映子の姿は不気味に映る。

　しかし映子は再び三馬のもとを訪れ、聖母アビゲイルとされる展子について、真実を語り始めた。映子は展子の幼なじみだったのだ。

　ハヤブサで生まれ育ち、幼い頃によく遊んでいた2人だが、“妾の子”だった展子はとある街の江西家に引き取られてしまう。展子は江西家で虐待を受けながらも、当時高校生だった江西家のひとり息子・佑空（麿赤兒）からは妹のようにかわいがられた。しかしその後、不運が重なり、すさんだ生活を送った展子は病におかされる。そして入院先で知り合った患者から、後のアビゲイル騎士団につながるサークルに誘われた。

　余命少ない展子は幹部に“聖母”と祭り上げられた。見舞いに来た佑空に展子は、「私、死んだらハヤブサに帰りたい」と伝えて亡くなったが、遺骨はアビゲイルが持ち帰り、教団に飾られたのだった。

　映子は、「展ちゃんと再会したんは、大人になってからや」と振り返る。一緒に登山した際、展子は石楠花（しゃくなげ）が好きな花だと言い、「高山植物で厳しい環境でも育つから。花言葉はね、威厳、なの」と語った。そして自分がアビゲイルにいることも伝えていた。

　その後、自分の人生に迷った映子は、亡くなった展子の話を思い出しアビゲイルに入信。しかしそこで見た“聖母アビゲイル”の写真が展子だったことから困惑する。幹部は聖母アビゲイルが、「円の調和を乱す者に石楠花を贈ることで警告。改めぬ者に鉄槌（てっつい）をくだす」と説明した。「展ちゃんは……そんなことせん」と心の中で反論する映子。しかし信者は聖母アビゲイルの存在を信じていた。

　幹部に話をしに行った映子は、そこで杉森の指示によって信者への拷問が行われていることを知る。杉森に見つかった映子もまた、監禁され暴行を受けたのだった。教団の監視下に置かれた映子は、“心を閉ざした振り”をして過ごしてきた。映子は三馬に、「聖母アビゲイルなんておらん」と伝えた。

　映子の正体が明らかになり、SNS上では「映子さんが謎だったけど、幼馴染の無念を悔やんでたのね」「映子さん、普通に話せるんだね」と驚きの反応が。また「映子さん、ホラーみも感じたんだけど、神々しさみたいなのもあって。軟禁に耐えた末、報われて良かったよ……」といった声も。

　その後、三馬たちの奮闘によりハヤブサからアビゲイルが退去し、佑空と映子が展子の遺骨を散骨した。このラストシーンに「展子さんハヤブサに帰れてよかった」「展子さん、おかえり」「辛い人生だった展子にも、江西和尚と映子がいたことが救いだったと思う」「展子さん、映子さん、住職の関係性に泣けた。『最後はハヤブサに帰りたい』って言ってたもんね」と感動の声が挙がっている。