鳴海唯、無名新人時代に朝ドラで鮮烈デビュー 『どう家』で大河初出演…25歳の芝居論

俳優の鳴海唯(25)が松本潤主演の『どうする家康』(日曜午後8時)でNHK大河ドラマ初出演を果たした。徳川家康の家臣・本多忠勝(山田裕貴)の娘、稲(いな)役だ。初の大河ドラマで感じたことは?

朝ドラと大河ドラマの違いを経験した鳴海唯【写真:冨田味我】
朝ドラと大河ドラマの違いを経験した鳴海唯【写真:冨田味我】

大河出演で“親孝行”「父が地上波の全国放送しか見ない人なので」

 俳優の鳴海唯(25)が松本潤主演の『どうする家康』(日曜午後8時)でNHK大河ドラマ初出演を果たした。徳川家康の家臣・本多忠勝(山田裕貴)の娘、稲(いな)役だ。初の大河ドラマで感じたことは?(取材・文=平辻哲也)

 2019年、NHK連続テレビ小説『なつぞら』では無名の新人ながら、ヒロインなつ(広瀬すず)の妹・明美役に抜てきされた鳴海。今回でNHKの2大ドラマ枠に出演したことになる。

「出演は本当にうれしかったです。特に、父が地上波の全国放送しか見ない人なので、恩返しできました。ファンの皆さんからの祝福の言葉も心に残っています」と喜ぶ。

 演じるのは家康の最強家臣と言われた本多忠勝の娘で、後に真田信之(吉村界人)に嫁ぎ、小松姫として知られる稲だ。父に似て、頑固で肝が座った女性だ。

「実際にいた人物で、非常に人気のあるキャラクターだったので、大きな責任と期待に応えないといけないと感じました。父は最強の武士のような存在です。その血をしっかりと受け継いで、自分で甲冑を着て戦いに出るくらいの女性。男勝りと言われることが多いですが、実際にはとても上品な着物の座り方をしている。ただ、大人になった後の史実は多いけれど、若い頃のエピソードは少ないので、自分の想像も結構入れています」

 少女時代はおてんばだったという鳴海。「私自身も男勝りな部分や気が強い部分を持っているので、その部分を取り入れて演じたいと思っています。父・忠勝役の山田とは、『なつぞら』でも共演。このときは山田はなつの親友で菓子店『雪月』の跡取り息子、雪次郎役だった。

「山田さんとは、本当に父と娘のような関係で共演させてもらっています。『なつぞら』では一緒のシーンは少しでしたが、今回は親子役でガッツリ絡みます。山田さんはアイデアマンで、セリフの読み方や演技に対するアプローチが独特。山田さんのアイデアでシーンが増えたり、親子の関係性が深まったりしたので、視聴者にも楽しんでもらえると思います」と手応えを感じている。

 忠勝のキャラクターも実父を思わせる部分もあるのだという。

「忠勝は天邪鬼で、素直に感情を出せないところがあるのですが、私の父も似ている部分があります。外向きには素直に感情を表現しないんですけど、本当は私の活躍をとても喜んでくれています。私と兄を育て上げるために頑張ってきた人で、本当に尊敬しています」

 大河ドラマの現場は、朝ドラとはまた違った雰囲気だという。

「時代劇のため、セットやスタジオでの撮影が多いです。カメラが本当にたくさんあり、長いシーンもワンカットで撮影するのはNHKならでは。200年前の言葉使い、所作などを意識しながら演技するのは難しかったです。衣装を着て、カツラをかぶると本当にスイッチが入るような気がします。重たいカツラをかぶると、あの時代の人はこんな髪の毛で生きていたんだなと感じます。それだけで背筋が伸びる感じがしています。カツラや衣装の力は本当に大きいですね」

俳優として「すごく視野が広がった」と変化を実感している【写真:冨田味我】
俳優として「すごく視野が広がった」と変化を実感している【写真:冨田味我】

 19年に『なつぞら』でデビューし、今年で俳優活動は5年目になった。今年4月には広末涼子、有村架純ら数多くの俳優が所属する事務所に移籍し、心機一転で臨んでいる。

「『なつぞら』も大切な作品ですし、北村有起哉さん主演の『ムショぼけ』では娘役、阿部寛さん主演の『すべて忘れてしまうから』では阿部さんが通うバーの店員役をやらせていただきました。大先輩の背中を見せていただくと、お芝居は一人でできるものではないんだなと感じます。最近は環境も変わり、仕事の仕方も変わってきました。先輩方の背中を見て、頑張らなきゃと感じることが増えました。そして、たくさんの人に支えてもらっていることを実感し、チームとして頑張らなければと思うようになりました」

 役者として心がけていることはチームプレーだ。

「芝居をはじめてすぐは、自分の芝居のことだけを考えていたのですが、2年前ぐらいから考え方を変えたら、すごく視野が広がった気がします。自分は作品の一部だと意識するようになってからは、もっと作品作りが楽しくなりました。これからも、一人でも多くの方に希望を与えられるような女優になりたいと思います。それには、目の前の仕事を楽しく丁寧にやることが大事だと思っています。お笑いや芸人さんも大好きなので、コメディーにも挑戦したいですね」と笑顔を弾けさせた。

□鳴海唯(なるみ・ゆい)1998年5月16日、兵庫県出身。NHK連続テレビ小説『なつぞら』でドラマデビュー。POPEYE“ガールフレンド特集”号の表紙やレバテックをはじめ多数のCMに出演。身長156センチ。趣味は運動や洋服。水族館とお笑いを愛する。『1st写真集 Sugarless』が発売中。Disney+で配信のドラマ『すべて忘れてしまうから』(金曜深夜24時52分)がテレビ東京系で10月13日にスタートする。

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