IWGP世界ヘビー級王者・SANADAをつけ狙うEVILは傍若無人の悪行三昧まさにやりたい放題

「キング・オブ・ダークネス」EVILのやりたい放題が止まらない。新日本プロレス10・9東京・両国国技館大会で、IWGP世界ヘビー級王者・SANADAに挑戦するEVIL。8・13両国大会ではG1クライマックスの決勝戦が控える栄光のリングを汚す暴挙を連発。SANADAをロープで十字架刑に処し、失神してしまった王者に罵詈雑言を浴びせかけた。その上、ベルトを強奪して行った。

SANADAの元にベルトは戻って来るのか【写真:柴田惣一】
SANADAの元にベルトは戻って来るのか【写真:柴田惣一】

毎週金曜日午後8時更新 柴田惣一のプロレスワンダーランド【連載vol.162】

「キング・オブ・ダークネス」EVILのやりたい放題が止まらない。

 新日本プロレス10・9東京・両国国技館大会で、IWGP世界ヘビー級王者・SANADAに挑戦するEVIL。8・13両国大会ではG1クライマックスの決勝戦が控える栄光のリングを汚す暴挙を連発。SANADAをロープで十字架刑に処し、失神してしまった王者に罵詈雑言を浴びせかけた。その上、ベルトを強奪して行った。

 G1後、初の国内シリーズでも大暴れ。傍若無人の悪行三昧。ベルトを手にし、まるで自分が王者のごとく振る舞う始末。連日、SANADAをいたぶり続けている。

「SANADAよ、テメエなんて誰もチャンピオンだなんて思っていない。正式な王者はオレだ」とその舌ぽうは激しくなるばかり。実際に当たり前に反則プレーを繰り出し、圧倒している。言いたい放題、反則し放題、やりたい放題のまさに無法地帯だ。

 もちろんSANADAも黙ってはいない。「EVILがベルトを盗んでいるのはおかしい」と怒りを爆発させている。

 さらにEVILの「HOT(HOUSE OF TORTURE)」とSANADAの「J5G(Just 5 Guys)」の軍団抗争の頂上決戦でもあるから、事態はいよいよ悪化の一途なのだ。

 9・24兵庫・神戸ワールド記念ホール大会で、HOTのSHOが、J5Gの「KOPW2023保持者」タイチに挑むのだが、SHOもタイチのベルトをわが物の様に扱っている。異常事態といっていい。

 HOTの凶器を手足のごとく操る殺法にJ5Gが押され気味なのは、誰も否定できない。栄光の証であるベルトもHOTにかかれば、もはやJ5Gを痛めつけるための「金属製凶器」に過ぎないのだから、どうにもならない。

 SANADAの兄貴分「闘う区議会議員」西村修は「人間は生まれてから死ぬまで一人。仲間なんかいらない。何ものにも頼ってはいけない。まさに禅だ。あなたが生きるのは群れないこと。一人で生きていきなさい」とメッセージを送る。

 タイトルマッチでは1対1の男の勝負をお願いしたい。西村の思いだろうが、HOTのメンバーが受け入れるとは考えにくい。

 SANADAは全日本プロレス、WRESTLE―1、海外マットを渡り歩き、新日本にやってきた。海外時代には「グレート・サナダ」に化身するなど、さまざまなキャリアを積んでいる。EVIL制裁、HOT退治に奥の手を用意しているのかも知れない。

 かたやEVILは新日本に入門し海外修行を経てのし上がってきた。こちらもトップ戦線に一気にのし上がってきたわけでない。辛酸をなめた時期を乗り越えてきた強さがある。

 SANADAとEVILはかつてIWGPタッグ王座を2度獲得、WORLD TAG LEAGUEも2回制覇する名コンビだった。互いによく知る仲であるだけに、より憎悪が深まっているのだろう。

 EVILもIWGP世界王座の前身IWGPヘビー級王座を腰に巻いている。ただし1回防衛して王座を失ってしまった。たった1か月半の短期政権に終わっている。王座奪取を果たせば、一新されたベルトを第8代王者として腰に巻くことになる訳で、虎視眈々と狙っている。

 個人闘争でもあり軍団抗争でもある。お互い「決着戦」になるという意気込みはヒシヒシと伝わって来る。セコンドの介入もあるだろう。火花散る軍団抗争のあおりもあるだろう。

 それでも、35歳のSANADAと同世代のEVIL。プロレスラーの全盛期は35歳からと言われる。キャリアも積みインサイドワークも身に着け、駆け引きにもたけ、総合的に充実する時期だ。実りの秋を迎え、脂が乗った同世代のライバル同士の激闘。今年のベストバウトを狙う激闘を期待したい。

次のページへ (2/2) 【写真】EVILはSANADAから不法に奪ったベルトを高々と掲げた
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