【VIVANT】第1話冒頭の“砂漠シーン”を最終回で伏線回収 ベキ「宗教」は乃木の第一声と連動

俳優の堺雅人が主演を務めたTBS系連続ドラマ『VIVANT(ヴィヴァン)』(日曜午後9時)の最終回79分スペシャルが17日に放送され、“考察”で取り上げられた数々の伏線がきれいに回収された。謎のテロ組織・テントとバルカ共和国政府の交渉や最高指導者ノゴーン・ベキ(役所広司)の復讐劇が描かれる中、多くの視聴者がベキのせりふをかみしめている。

『VIVANT』でノゴーン・ベキを演じた役所広司(中央)【写真:(C)TBS】
『VIVANT』でノゴーン・ベキを演じた役所広司(中央)【写真:(C)TBS】

大テーマは「拝金主義」「格差社会」「多様性の尊重」 日曜劇場だからできたドラマ

 俳優の堺雅人が主演を務めたTBS系連続ドラマ『VIVANT(ヴィヴァン)』(日曜午後9時)の最終回79分スペシャルが17日に放送され、“考察”で取り上げられた数々の伏線がきれいに回収された。謎のテロ組織・テントとバルカ共和国政府の交渉や最高指導者ノゴーン・ベキ(役所広司)の復讐劇が描かれる中、多くの視聴者がベキのせりふをかみしめている。

(※以下、ドラマの内容に関わる記述があります)

 バルカの地下に眠る鉱物資源「フローライト」の採掘権をめぐってバルカ政府と交渉するベキらテントの幹部。地下資源横取りのため計略をめぐらすバルカの外務大臣・ワニズ(河内大和)と苦しい立場の日本大使・西岡英子(檀れい)らを前にベキの熱のこもった演説が始まった。

 バルカの内戦に触れてバルカ政府高官の腐敗ぶりを批判したベキは「人間の欲望にはキリがない。愚かな生き物だ。今や世界中がそうだ。誰もが自分のことばかりを考え、持つ者と持たざる者の間に大きな分断が生まれた。日本もそうだ」と格差社会を嘆いた上で、「日本では古くからありとあらゆるものに神が宿っていると考えられてきた。神はひとつではないという考えがあることで相手の宗教にも理解を示し、違いを超えて結婚もする。日本には考えの違う相手を尊重する美徳がある」と自身の考えを語り、バルカについても「互いの宗教、民族を尊重する国にしていく」と信念を新たにした。

 ベキのせりふに現れる「宗教」という言葉は、第1話冒頭に登場した乃木の第一声と連動している。熱波の砂漠をさまよう乃木は「天照大御神、イエスキリスト、アブラハムアッラー、誰でもいいから助けてくれ」とつぶやいており、クリスマスのお祝いや冠婚葬祭などの儀礼に多くの宗教が混在している日本人の宗教観を体現していた。

 つまり、息子・乃木の救いを求める声が、最終回で父親・ベキのせりふによって回収されるという壮大な仕掛けがあったというわけだ。他にも、乃木がイスラムの礼拝堂にいたり、警視庁公安の中で鈴木だけ十字架を切ったりするシーンもそんな文脈に沿った演出だ。多額の製作費を投入し長期間に及ぶ海外ロケを敢行した日曜劇場らしいスケールの大きなメッセージだった。

 視聴者からは「ベキの説教には異なる宗教民族が共に暮らす理想があった」「お互いの宗教民族を尊重し、相手を敬い、分かち合うことを根付かせる。ベキ偉大だった」「日曜劇場らしくも壮大なスケール感を持ったストーリーでした」「現在の日本の大人たちには耳が痛い言葉ばかり」「違いを認め相手を尊重し合う世界、そんな理想を描いたことが日本だからこそ作れるドラマの意義だったのかな」などの感想が寄せられている。

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