俳優の堺雅人が主演を務めるTBS系連続ドラマ『VIVANT』（日曜午後9時）の第9話が、10日に放送された。今回は、テロ組織「テント」の歴史や、テントのトップ・ノゴーン・ベキ（役所広司）の半生が明らかになった。

　同作は、日曜劇場『半沢直樹』シリーズや『下町ロケット』シリーズなどの大ヒットドラマを手がけてきた福澤克雄氏の原作・演出による完全オリジナルストーリー。丸菱商事エネルギー開発事業部第二課・課長の乃木憂助が、1億ドル（約140億円）の誤送金問題の濡れ衣を着せられことからバルカ共和国に向かい、“世界中を巻き込む大きな渦”に関わってしまう。

（※以下、ドラマの内容に関する記述があります）

　政府非公認の「自衛隊の影の諜報部隊＝“別班”」を裏切り、テントに寝返った乃木は、約40年前に死んだはずの実の父親で、テントのトップ・ベキに再会。ナンバー2のノコル（二宮和也）らと行動を共にし始める。乃木はベキに、テントを立ち上げた経緯を尋ねた。

　島根県のたたら製鉄の御三家・乃木家に生まれた乃木卓（林遣都）は、東京大学を卒業後、警視庁の公安外事課で諜報活動を行っていた。明美（高梨臨）と結婚後、任務でバルカ共和国へ渡ることに。明美は公安としての任務を知った上で卓について行った。表向きは農業使節団としてバルカの砂漠地帯の緑地化事業に従事した卓は、バルカ政府から感謝状を贈られ、地元民からは「ノゴーン＝緑、ベキ＝魔術師」と呼ばれていた。

　その後、2人の間には乃木が生まれ、幸せに暮らしていた。乃木が3歳になった頃、民族間の均衡がくずれ、武装化した組織が各地を襲うように。その手は乃木たちが暮らすノバク村にも及んだ。卓は公安に救助を要請し、明美と乃木を連れ避難する。しかし卓を助けに来た公安のヘリコプターは途中で引き返し、3人は武装組織に拘束されてしまった。

　乃木は奴隷として売られてしまい、拷問を受けた明美は獄中で死亡。公安によって日本での存在を消されたことを知った乃木は絶望する。瀕死状態の卓を助けたのは、武装組織で雑用をしていた若かりし頃のバトラカ（林泰文）だった。

　バトラカによって生き延びた卓は、各地をまわって乃木を探していた。しかし探し続けて4年たった頃、日本人の子どもが売られた先で亡くなったという情報を得る。生きる気力を失った卓は、食事もとらず死人同然のようにうなだれていた。

　そこへ突如としてやって来た少年が、食糧を奪うため卓に銃を向ける。卓が少年にパンを渡すと、少年は息も絶え絶えに、「弟に何か食べさせてあげて……。ノコルをお願い」とたくした。少年が指さした場所へ向かうと、そこには赤ちゃんのノコルがいた。

　その姿に乃木を重ねた卓は、「この子を命に代えても守る」と誓い、ノコルの父親になったのだった。

　バルカの治安が悪化する中、卓はバトラカに諜報員としての身分を明かし、自分たちの力で武装勢力から身を守ることを決める。卓は仲間や子どもたちに銃の打ち方を教え、射撃技術が優れている当時12歳のピヨ（吉原光夫）も仲間に加わった。

　自衛できるようになった卓たちのうわさは周辺の村に広がり、護衛の依頼が来るように。とある村の護衛に成功した夜、卓は車の中に侵入していた少年と出会う。親を亡くしたその少年を仲間に入れた卓。その少年の名はアディエル（Tsaschikher Khatanzorig）だった。

　アディエルはノコルと兄弟のように育ち、結婚後はテントの活動に加わらなかったという。ベキはアディエルの結婚祝いに自宅をプレゼントしていた。第1話で乃木が介抱されたアディエルの自宅は、乃木自身が生まれた実家だったのだ。ベキは孤児がたくさんいる現状から、お金を稼ぎ孤児院を作ることを決めたのだった。

　ベキの過去が明らかになり、SNS上では「ベキの人生が壮絶過ぎ＆かわいそう過ぎてずっと泣いて見てた」「ベキの過去辛すぎない……？」「親子離れ離れになるシーン、ベキが息子を探し回るシーン、めちゃくちゃ泣けた」「胸がぎゅーっとなった」「ベキにとってノコルが生きる希望になったのか」と感情移入する視聴者が続出。

　また、第1話で乃木を助けたアディエルをベキが育てていたことが明らかになり、「ベキ、本当にみんなのお父さんじゃん」「アディエルとノコルが兄弟のように育った事実に胸熱」と感動の声も挙がっている。