どうするジャニーズ、社名継続なら海外進出NGの現実 東山紀之社長に求めたい“負の遺産”の放棄

ジャニーズ事務所の謝罪会見から3日が経った。1962年6月設立の同事務所にとって初で、4時間12分に及んだ会見。創業者であるジャニー喜多川元社長による性加害を認め、新社長の東山紀之は「あの人は誰も幸せにしなかった」「やっていることは鬼畜の所業」と言った。一方で、ジャニーズ事務所の社名変更はしないと明言し、大きな波紋を呼んだ。「ジャニーズ」に慣れ親しんだタレント、ファンを思ってのことだが、国内外で「変えるべき」「あり得ない判断」の声が高まっている。文字通り、タレントたちの可能性が狭まっている状況。会見の終盤、東山は「社名変更の再検討」を口にしており、決断を迫られている。

東山紀之社長【写真:山口比佐夫】
東山紀之社長【写真:山口比佐夫】

謝罪会見から3日 高まる「ジャニーズ社名変更すべき」の声

 ジャニーズ事務所の謝罪会見から3日が経った。1962年6月設立の同事務所にとって初で、4時間12分に及んだ会見。創業者であるジャニー喜多川元社長による性加害を認め、新社長の東山紀之は「あの人は誰も幸せにしなかった」「やっていることは鬼畜の所業」と言った。一方で、ジャニーズ事務所の社名変更はしないと明言し、大きな波紋を呼んだ。「ジャニーズ」に慣れ親しんだタレント、ファンを思ってのことだが、国内外で「変えるべき」「あり得ない判断」の声が高まっている。文字通り、タレントたちの可能性が狭まっている状況。会見の終盤、東山は「社名変更の再検討」を口にしており、決断を迫られている。(取材・文=ENCOUNT編集長 柳田通斉)

 ENCOUNTの取材によると、ジャニーズ事務所は5月から社名問題を議論し、当初は「社名変更はやむなし」で進み、新社名も一本化していた。だが、8月になって「社名継続」の声が高まってきたという。結局、完全一致はないままに会見当日に。その状況から周囲は「社名変更は『検討中』で回答する」と見ていた。

 会見が始まると、早々に東山が「社名継続」を明言した。「ジャニーズというのは創業者の名前であり、初代のグループの名前でもありますが、これまでタレントさんが培ってきたプライドでもありますので、その表現は1つあってもいいと思います」。ジャニーズに慣れ親しんだファンへの思いも口にした。

 その後、報道陣から「性犯罪者の名前を冠詞にするのは非常識。ヒトラー株式会社、スターリン株式会社もない」「ジャニーズの名前を聞いただけで、フラッシュバックする被害者もいる」などと指摘された。そして、会見の終盤に「社名を変更する検討の余地はありますか」と聞かれ、東山は「あります」と返した。

 表情に戸惑いが見えた。これだけの不評、反発は考えていなかったのだろう。かといって、すぐに「もう少し考えます」とは言えず、「再検討」を口にするまで約4時間を要した。

 確かに「社名変更」は簡単ではない。ジャニーズ事務所には、「ジャニーズ」の名が付いた関ジャニ∞、ジャニーズWESTが活動し、多くのジャニーズJr.がいる。変更となれば、長く続いたブランドをリセットすることになる。だが、問題の重さはその枠を越えてきている。世界がジャニーズに「NG」を突き付けているからだ。

 3月のBBC報道を機に再注目されたこの問題は、ジャニーズ事務所が「性加害は事実」と認めるに至った。外国メディアも問題の経緯と内容を詳報。「ジャニーズ=性犯罪」のイメージがさらに強くなり、海外と取り引きのある企業の幹部は私に「ジャニーズの名前が付いている限り、所属タレントの海外進出は無理な状態です」と明かした。

 国内でも大手企業が、続々とジャニーズ事務所との契約見直しを発表している。それは世界からの「見え方」を意識してのことだ。ジャニーズではTravis Japanが世界デビューしているものの、所属タレントの大半が国内で活躍。一方で、世界進出に憧れるタレントたちもいる。同世代のK-POPグループ、アーティストが続々と世界で評価され、活躍している現実もあるからだ。

 振り返ると、ジャニー氏と姉のメリー喜多川氏はインターネットに否定的で、タレントの画像をネット掲載することを許さなかった。縛りは2018年途中まで続き、その間にK-POPグループの事務所がネットを駆使。惜しみなく、画像、動画を配信し、情報とともに、グループの人気は国境を越えた。つまり、世界への出遅れもジャニーズ「2大権力」による“負の遺産”。それを感じている事務所関係者も少なくない。

 ネット社会はさらに進み、ジャニーズのタレントたちもSNSを活用するようになった。かつてとは違い、自由さも増している。なにわ男子の道枝駿佑の人気が韓国で高まるなど、世界への扉も開こうとしていた。だが、タレントたちはさらなる“負の遺産”を突き付けられてしまった。

 それでも、「ジャニーズ」を継続するのだろうか。社名を変えても即座にイメージを払拭はできないだろうが、それが“変化の象徴”にはなり得る。切磋琢磨し、努力を惜しまない約300人の集団。私は彼らのうちだれかが、世界でも輝くところを見てみたい。そのためにも、東山らにタレントの可能性を広げる選択をしてほしく思っている。

トップページに戻る

あなたの“気になる”を教えてください