麻木久仁子、4月入学の放送大学で全科目「マルA」取得 60歳で学び直し「学べば必ず人は変わる」

タレントの麻木久仁子(60)が、2023年4月に入学した放送大学で受講した全科目の単位を取得し、さらに最高評価の「マルA」を取得。60歳からの挑戦となった“学問の世界”に足を踏み入れた感想を語った。

放送大学で”食”について学ぶ麻木久仁子
放送大学で”食”について学ぶ麻木久仁子

放送大学に入学

 タレントの麻木久仁子(60)が、2023年4月に入学した放送大学で受講した全科目の単位を取得し、さらに最高評価の「マルA」を取得。60歳からの挑戦となった“学問の世界”に足を踏み入れた感想を語った。

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 麻木は2010年に脳梗塞を経験し、12年に初期の乳がんが見つかった。食生活を見直し、国際薬膳師、国際中医師、温活指導士の資格を取得。食を通して「体を温め、免疫力を高める」という考えなどを多方面で提案し、60歳になったことがキッカケで漠然と学びたいと思っていたことを「いつかやろう」ではなく「今やろう」と決意。放送大学の門戸を叩いた。

 放送大学(文部科学省・総務省所管の通信制大学)は、4月と10月の年2回、出願書類による選考で入学可能。BS放送、ラジオ、ネットなどを通じて好きな時間に学習できることが特徴で、大学卒業(学位取得)を目指す「全科履修生」(最大10年間まで在学可能)、好きな科目だけ学べる「選科履修生」、「科目履修生」がある。

――前期の過程を終えました。実際に入学してみた放送大学の印象を聞かせてください。

「“大学感”がありました。カルチャーセンターとは違って『まさに大学だな』と感じました」

――講義はどうでしたか。

「『食と健康(’18)』『食の安全(’21)』は化学や生物などの基礎的なことを理解する必要があったので、最初は少しあたふたしてしまったのですが、回を重ねるごとに“食”について理解を深めることができました。実生活の中でも、普段何気なく接していたニュースや情報に対するリテラシーがあがったと思います。例えば、CMや情報番組などで『体にいいですよ』と言われたとき、入学前は漠然と『そうなんだ』と聞いていたのですが、『こういうふうに摂取されて、こうやって代謝されるから体にいいのかな』と思えるようになりました。いい意味で批判的に見ることもできるようになりましたし、日常生活に直結して役に立っているなと感じます。安全係数というものもどう測定して、添加物の基準はどうなっているのかも分かるようになったので、スーパーで食材を買う時にラベルをちゃんと見るようになりました。ラベルに書かれている情報に触れたとき、『先生がおっしゃっていたのはこのことかな』と連想できるようになりました。自分自身の“食”というテーマに沿って役に立ちそうな講義だけを選んだのですが、『間違いなかった!』という実感があります」

――単位の取得状況を教えてください。

「おかげさまで全部取得することができました。60点以上を取れば合格なのですが、4科目とも90点以上を取ることができました。80点以上が「A」判定で、私はすべて『マルA』をいただきました。興味のある科目に絞って集中して勉強できたのが良かったのだと思います」

――経験を積んだ麻木さんだからこそ、学ぶことの奥深さを実感されているのかもしれませんね。

「若いときは社会経験が浅いので学んだことと生活が結びつかなかったのですが、この年まで生きて、がんも経験してみると、放送大学で学んでいることが色々なことにつながっていくことを感じています。生活の中でさまざまなことを感じても、それらは理論にはなっていなくて、印象や感覚でしかなかったのですね。それが学問の世界に足を踏み入れてしっかりと学ぶことで、理論として理解することができ、『私の印象は間違ってなかった』とか、逆に『そんなこと知らなかった。私の感覚はぜんぜん違ってたんだ』と気づくことができます。人生の中で積み上げてきた経験がいろいろなことに結びついていくことって面白いですね」

――生活への影響はありましたか。

「私は講義を聴講(ちょうこう)するだけなので、すでに確立した知識を受け取るだけなのですが、この講義の上流では学者の方が日々研究を重ねて学説を生み出しているのだと思います。そういうことの恩恵が連鎖して、現実の人々の生活に落とし込まれて、スーパーの売り場の構成になったり、私たち消費者の行動に影響しているのだと想像することができるようになると、学問の世界に対する尊敬の念が生まれました。放送大学に入学する前は“学問と生活の中で感じることが結びつく”という感覚がなかったのですが、例えばフードロス問題の解決には心理学も関連してくるとか。日々の生活をより良きものにするためには、理論やエビデンスが大切で、それをもとにさまざまな社会のシステムが構築される。その中で私たちの意識も変わり、生活も変わるんだなと。若い人は『大学の勉強なんて役に立たない』と思うかもしれませんし、近頃は『直接利益を産むような研究以外は無駄だ』というような風潮もあるようです。でも、学問が生活に結びついていることに気づくと学ぶことが面白くなるし、人の世の森羅万象(しんらばんしょう)あらゆることに研究する意義があるのだなと感じるようになりました」

――麻木さんの世界がどんどん広がっていきそうですね。

「今はまだインプットを始めたばかりなのですが、前期の科目を受けたことで視野が広がりました。後期の科目を受講することでさらにたくさんのことを学びたいと思っています。そうやってどんどん知識と視野を広げていけば、“食”に関するアプトプットにつなげることができるんじゃないかなと思っています。例えば今後“食”に関する発信をするときも放送大学に入学する前とは違った視点を持った発信ができればと思っています」

最高評価の「マルA」で単位を取得した
最高評価の「マルA」で単位を取得した

2023年4月に入学し、話題に

――4月に「入学のニュース」が出ましたが、周りからの反響を教えてください。

「子育てや仕事が一段落したり、定年退職した人など私の周りには時間ができて学びたいと思っている人がたくさんいます。そういう人たちから『放送大学って大学だから入学したら語学から何から全部やらなきゃいけないんでしょ?』、『大変すぎて私には無理』と思っている人が多かったみたいです。『自分の好きな科目だけ受講することなんてできるの?』とたくさん聞かれました」

――多くの方が放送大学はハードルが高いと誤解されているようですね。

「私自身も以前はそう思っていましたから。でも実際には自分の生活に合わせて、科目数も、時間も、分野も自由にセレクトできるので、ハードルは高くはない。むしろ思い立ったときこそが始めどきです。ですので『ぜんぜん大変じゃないですよ』『自分のペースに合わせて負担のない形から始めることができますよ』と答えています。実際の講義自体は濃密なのですが、そこは“知の世界”ですから、大いに楽しんでいただければと思います」

――麻木さんにとっての放送大学の一番の魅力はなんですか。

「オーダーメイドできるところです。週に1科目だけを受講することもできますし、“全科履修生”になって学位取得を目指すことも可能です。自分のやりたいことに合わせて利用できる点がいいですね」

――麻木さんのこれからのご活躍がさらに楽しみになりました。

「しっかり学んで、学んだことをアプトプットしていきたいです。まだ学び始めたばかりなので『こうなります』と具体的にお話しすることはできないのですが、学べば必ず人は変わると思います。ドラスティックに変わることはないかもしれませんが、私の生活はすでに少しずつ変わっています。年をとってもいくつになっても、学べば人は変われると思いますし、だからこそ学ぶことは楽しいと感じています」

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