新王者・Sareeeが最初の大一番(安納&KAIRI戦)を前に断言「ウナギが負けなければ、絶対に負けない」
去る8月25日、後楽園ホールにて、激闘の末に“冷酷の悪魔”中島安里紗を破り、SEAdLINNNG(シードリング)シングル王座を奪取した“太陽神”Sareeeだが、早くも新王者にとって、次なる大一番がやってくる。今回はこれを中心に最新情報をお届けする。
9月いっぱいで無期限休業のKAIRIと闘うために
去る8月25日、後楽園ホールにて、激闘の末に“冷酷の悪魔”中島安里紗を破り、SEAdLINNNG(シードリング)シングル王座を奪取した“太陽神”Sareeeだが、早くも新王者にとって、次なる大一番がやってくる。今回はこれを中心に最新情報をお届けする。(取材・文=“Show”大谷泰顕)
新王者・Sareeeにとって最初の大一番は8日、東京・代々木第二体育館で行われる全日本プロレスでのスペシャルタッグマッチ、安納サオリ、KAIRI VS Sareee、ウナギ・サヤカの一戦になる。女子プロレス界では注目度の高い4人なだけに、このカードを目当てに会場に来る観客も多いだろう。
当初この一戦は、ウナギとしてはパートナーに元WWEスーパースターのKAIRIを考えていたが、8月6日の幕張大会でウナギがKAIRIを呼び込んだところ、見事に裏切られ、KAIRIは安納サオリと組むことを決めた。そのため、ウナギのパートナー「X」は見つかっていなかった。
「女子プロレス最強カードのために、うなは今はもう1人を真剣に考える」
ウナギは自身のSNSにそう投稿したが、18日には安納が自身のSNSに「ねぇねぇウナちゃん、KAIRIさんと私と戦う、ウナちゃんの最高のパートナーみつかったん??」と投稿したのに対し、「最高の人見つけたから。あのたん(安納サオリ)の女子プロレス最強カードになるよ。この組み合わせになったこと、あのたん後悔するかもね。でもあのたんが対角っていうのは、うなの中でも絶対条件」と返答していた。
このやりとりについてSareeeは、「(ウナギが)パートナーを探すみたいに書いてあったので、自分的にはKAIRIさんと『Sareee-ISM2』(8月4日、新宿FACE)で組ませていただいて、タッグを組めたけど、次は対戦したいと思っていたんですよ。そう思っていた中で、KAIRIさんがああいう発表(9月末で無期限休業)をして、9月いっぱいだったらもう時間ないじゃん、みたいな」とその時の心境を告白。
「だったら、そこに枠が空いてるってことは、そこに私が入るしかKAIRIさんと戦う方法はないし、でも絶対にやってみたかったので、今しかないなと思ったし、私から連絡して。そしたらウナギ選手も、ちょうどオファーしようと思ってました、みたいな感じですかね」(Sareee)
つまり両者の思惑が一致した結果、女子プロレスの大一番が実現することになったのだ。
「(KAIRIと)組んだからには、次は戦いたいし、リングの上で肌を合わせたからこそ分かることがあると思う」
「いかにたくさんの方に見てもらうか」
ちなみに「Sareee-ISM2」でSareeeとタッグを組んだKAIRIを見る限り、独特の間合いで戦う印象を受けた。
「KAIRIさんは全てではないけど、やっぱり所々アメリカンプロレスらしい戦いをしますよね。間の取り方や見せ方だったり。表現力、入場とかもすごいです。とにかく華がすごい」
そんなKAIRIに、Sareeeが決めてやろうと考えている技はあるのだろうか。
「なんだろう……? とくに考えてはいないですけど、ただ単に、KAIRI選手とリング上で会いたいなって思いますね。そして、負けられないですよね、もちろん。勝負にはこだわっていきたいです。勝ちにこだわってこそプロレスだと思うし、負けたくない」
ここまで話すとSareeeはこう続けた。
「ウナギ・サヤカが負けなければ、絶対に負けないと思うので。そこだけは、絶対に負けるなよっていう感じですよね」
そう言ってSareeeは新王者になった自信をのぞかせる。
また、安納に対してSareeeは「過去に自分が対戦していたとしても3年以上前の話なので、今(の実力)は分からないですね。でも、女子プロレス界のなかでは人気のある選手ですし、ウナギ選手もそうですけど、すごい話題を持っていくのが上手じゃないですか。それがすべてじゃないし、プロレスは強さだと思うし、私は戦いだと思うからそれが一番だと思うけど、プラス話題をつくるって誰もができることじゃないし、才能ですよね、その辺は」と、いかに世間の耳目を集めるか。そのための話題作りは必要である、という考えを示した。
実際、Sareeeは中島戦の試合後、インタビュースペースで次のように話している。
「強いだけでは見せられないものがあると私は思います。それは、私にはできると思うから、私がもっともっと女子プロレス界を明るく、このベルトを巻いたことによって、より輝かせていけたらなと思っています」(Sareee)
これに関してSareeeは、「いくら強くたって、リングで負けないぞって戦ってたって、見てくれるお客さんがいなければそれは誰にも伝わらない」とコメント。
「ってことはお客さんが見たいなって思うような発言だったり、行動ですよね。リング外の行動っていうか話題をつくるというか、どうやったらお客さんが喜んでくれるだろうかとか、お客さんが見たいなって思うカードとか。そういうことを考えて、いかにたくさんの方に見てもらうっていうのが大事だと思います」(Sareee)
それは新王者となった今、Sareeeが注目を集めるための努力にも力を入れて行きたい旨を改めて言葉にした瞬間だった。
Sareeeの「1、2、3、ダー!」が次に見られるのは…!?
「その上で強さとかそういうもの(戦い)をリングで見せられるわけじゃないですか。お客さんのいないところでやっても寂しいし、誰にも伝わらない。自分たちの自己満足じゃないし。そういうのをすごい感じますよね」(Sareee)
ここまで話を聞いた限り、Sareeeが新王者として、強さはもちろん集客や話題作りに関しても気を配っていく必要性を、より実感しているのが分かる。当然のことながらベルトを巻いた者の責任とトップに立った自覚がその根底にはある。
「天は二物を与えないって言いますけど、二つを持っている人って、なかなかいないですよね。話題はあるけど、試合の結果がついてこないとか。でも、私はどちらも持つことができるかな!?(笑)って思う。まだまだこれからですけどね……」(Sareee)
実際、それを現実化したのが、Sareeeも影響を受けた、“燃える闘魂”アントニオ猪木だった。
「そこは対団体とかじゃなくて、一人でも猪木さんみたいな存在が生まれることによって、もっと女子プロレスが底上げされると思うし、そこを狙って行きたいですよね。私はまだまだです。そこをもっと極めて行きたい、とは思ってます。今、それができている人は誰一人いないと思うから……」
たしかに、過去をひも解いていけば、日本の女子プロレスにはビューティー・ペアやクラッシュ・ギャルズをはじめ、強さと人気の双方を兼ね備えた幾多のスターが存在した。だが、令和の女子プロレス界を見渡す限り、Sareeeは決して悪くない位置にいると思う。今後はさらに上を目指していけるかどうか。すべてはそこにかかっている。事実、そのための「ツール」と言っては語弊があるが、Sareeeには、是非とも「Sareee-ISM2」で見せた、「1、2、3、ダー!」を再びリング上で見せてもらいたい。
「この前はSEAdLINNNGの8周年大会だったので、そこでで『1、2、3、ダー!』をやる精神的強さはなかったんですけど(笑)」
そう言ってまたニコリと笑ってみせたSareee。これは“私見”になるが、リング上で「1、2、3、ダー!」をやることは誰でもできる。ただ、観客に共感されるかどうか。そこはまた話が別になる。
とはいえ、Sareeeに関しては猪木ファンから許されつつある存在になってきていると思う。それは3月13日を手始めに、何度か「猪木元気工場」で会見をし、その後、「アントニオ猪木展」(8月3日~15日まで京王百貨店で開催)でも話題を振りまいたSareeeだからこそ。
であるなら、Sareeeにはまず遠慮することなく、すべてのことを堂々と取り組んでいくことが肝要だと思う。アントニオ猪木の言葉を借りるなら、「迷わず行けよ、行けば分かるさ」。新王者・Sareeeにはそんな精神で、さらなる大一番への道を一歩ずつ歩んで行ってもらいたい。