NHK連続テレビ小説『舞いあがれ！』、ドラマ『わたしのお嫁くん』（フジテレビ系）、映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-／-決戦-』（英勉監督）など話題作に出演する俳優の高杉真宙が、ウィリアム・シェイクスピアの名作『ロミオとジュリエット』でロミオを務める。「いつかやってみたかった」と語る念願の作品。9月13日から始まる本番を前に「舞台を見て下さった方に、『価値観が変わった』と感じていただけるような演技を見せたい」と意気込んでいる。（取材・文＝西村綾乃）

　昨年は、映画『いつか、いつも……いつまでも。』（長崎俊一監督）で主演。ドラマ『PICU 小児集中治療室』（フジテレビ系）では、小児専門の集中治療室で奮闘するナイーブな医師を熱演した。役者の枠を飛び出し、レギュラーを務めたバラエティー番組では変顔も披露。今年は映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-／-決戦-』に、主人公の親友役で出演しファンを拡大した。

「いろいろなことを経験してみたいという好奇心が、自分を動かす力。期待に応えたいという思いが、自分を奮い立たせてくれます。基本的に人見知りで、現場では役者さんたちと話をすることが少なかったのですが、2年ほど前から“人見知りをやめようキャンペーン”を始めて、積極的に話しかけるようになって、自分が変わりました」

　主演映画の現場でも、ヒロインの関水渚が演技をしにくい場面がないかなど、やり取りを重ねたと語るなど、座長としての意識も芽生えてきた。

「はい。キャンペーンを続けて、自分を変えることの面白さに気が付いたんです。27歳ですし、性格なんて簡単に変わらない。そんなに器用にできないよと考えていたんですけど、気持ち1つで変えられるんですよね。まだ研究中なんですけど、今は私生活改めようキャンペーンを始めたところです」

　9月13日から、東京・有楽町よみうりホールで幕を開ける舞台『ロミオとジュリエット』では、俳優の藤野涼子が演じるジュリエットと激しい恋愛劇を披露する。

「本格的なシェイクスピア作品は今回が初めて。『ロミオとジュリエット』はやってみたいと考えていたのでうれしいです。以前、詩人役で出演した『カリギュラ』は不幸な運命に立ち向かうイメージで臨みましたが、“ロミジュリ”は理不尽な運命に闘うことさえも許されなかった切なさがあります。若さゆえの葛藤、不器用さを表現したい」

　上演時間は約3時間。「1日24時間のうち、8分の1も使ってくれるお客さんの、価値観が変わったと感じていただけるような舞台を見せたい」と意気込む。

「ドラマや映画などと違って、お客さんがいる前でセリフを言ったり、間（ま）やタイミングを共有する舞台には、独特な空気が生まれます。共演した相手や、お客さんに『伝わったな』と感じられる瞬間を重ねることで、僕自身の価値観も変化しました。その日、その回にしかない感覚を劇場で体感していただきたいです」

　デビュー14年目。来年は俳優の吉高由里子主演のNHK大河ドラマ『光る君へ』で、吉高演じる紫式部／まひろの弟・藤原惟規（幼名は太郎）を務めることが決定。すでに撮影も始まっている。

「大河への出演は『平清盛』（2012年）以来、2作目。衣装や所作など、ほかの現場と違う緊張感に背筋がピッとなります。勉強が苦手な惟規は、文学の才を持つ姉と比較されて過ごしますが、のんびりして、ひょうひょうとした性格。実年齢の半分以下にあたる、13歳から演じているので、注目してほしいです」

　舞台『ロミオとジュリエット』は東京のほか、大阪、富山、愛知、福岡、仙台でも上演される。

□高杉真宙（たかすぎ・まひろ）1996年7月4日、福岡県生まれ。2009年に舞台で俳優デビューした。18年には、主演した映画『笑顔の向こうに』が、「第16回モナコ国際映画祭エンジェルピースアワード」の最優秀作品賞を受賞。22年に出演した『いつか、いつも……いつまでも。』で映画主演を務めた。ドラマ『PICU 小児集中治療室』、『わたしのお嫁くん』、NHK連続テレビ小説『舞いあがれ！』、映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-／-決戦-』など多彩に活躍している。