RIZINがドーピング検査結果を公表できなかった理由「お抱えの選手ならできるんだけど」

格闘技イベント「RIZIN」が2日、都内で会見を実施。木村"フィリップ"ミノルのドーピング検査の結果が「陽性」だったと発表した。榊原信行CEOはRIZINのドーピングへの姿勢を明らかにした。

囲み取材に応じた榊原信行CEO【写真:ENCOUNT編集部】
囲み取材に応じた榊原信行CEO【写真:ENCOUNT編集部】

ドーピング検査は1人につき約10万円「本格的にやるとなると数億円規模に」

 格闘技イベント「RIZIN」が2日、都内で会見を実施。木村”フィリップ”ミノルのドーピング検査の結果が「陽性」だったと発表した。榊原信行CEOはRIZINのドーピングへの姿勢を明らかにした。

 榊原CEOは、日本のドーピング事情についてこう明かす。

「米国は政府機関でのアスレチックコミッションがある。そこが第三者機関としてドーピングのチェックをしています。五輪に基づくものはアンチ・ドーピング機構が抜き打ちでやっています。でも僕らがステロイドの検査をしたいといっても日本国内に民間の検査機関はないんです。発展途上です。サッカーも野球も独自のルールでやっている。格闘技に関してはなにか連携してやっているものはない」

 その上でRIZINでは、2015年の旗揚げ以来、タイトルマッチやグランプリ出場選手に対しドーピング検査を「抜き打ち」で行ってきたと公表した。今後はこの2つに関しては検査結果を発表することも明言された。仮に陽性が出た場合は罰金と無効試合になる。規定はオリンピックに使用しているものに準じているという。

 木村は半年間の出場停止処分。さまざまな団体の選手が参戦できる「FEDERATION」という体制を取っているからこその難しさについてこう語った。

「一切の行動を禁止できればまた違うんだけど……。選手は生きていくために試合をしなければならない。FEDERATIONという立ち位置になると選手たちに寄り添った契約にもなりきれていない。お抱えの選手ならケアもできるんだけど、それぞれの団体の考え方もある」

 またこれまで公表してこなかった理由を「FEDERATIONでいろんな団体に所属していたり、そことの長期契約があったりする選手が単発であったり複数試合の契約で(RIZIN)に出場しています。RIZINで一方的に検査して、『陽性出ました』というような警察機関でもないですし、公にはせずに契約のなかの罰則規定で対応してきた」と説明した。これまでに「陽性」が出ていた外国人選手はいたという。

 一人の検査を行うのにかかる費用は約10万円。経済的にもマンパワー的にも全ての選手に検査を実施することは難しい。日本と世界のズレも指摘していた。

「国レベルの問題なんですよ。僕らが検体を取ってお金を払っても、日本のアンチ・ドーピング機構は検査してくれない。だから米国の受けてくれるところまで送らないといけないんです。本格的にやるとなると数億円規模になる。米国は賭けになっていることが前提にあるので、第三者機関がドーピングをさせないことになっている。他のスポーツもやっているだろうけど聞いたことない」と訴えた。

 そして「こういう形で公表させていただくことによって選手、関係者も含めてドーピングがダメだということを意識してもらう機会にもなる。抑止力になる施策を行っていきたい」と語り、講習会の実施などの考えを明かした。

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