「ジャニーズ事務所」名称変更の是非、検証チーム・林座長「事務所において考えるべきこと」 ガバナンス欠如を糾弾
ジャニーズ事務所のジャニー喜多川前社長の性加害問題を巡り、事務所の対応などの調査・検証を行う「外部専門家による再発防止特別チーム」が29日、都内で記者会見を開いた。ジャニー氏によるジャニーズJr.タレントへの多数で長期間にわたる性加害があったことを認定した。ジャニー氏の名前を冠した「ジャニーズ事務所」の会社名について、座長を務める元検事総長の林眞琴氏は「変更するかどうかはジャニーズ事務所において判断し、考えるべきことです」と見解を述べた。
ジャニーズ事務所の隠ぺい体質を厳しく指摘 「解体的出直し」を提言
ジャニーズ事務所のジャニー喜多川前社長の性加害問題を巡り、事務所の対応などの調査・検証を行う「外部専門家による再発防止特別チーム」が29日、都内で記者会見を開いた。ジャニー氏によるジャニーズJr.タレントへの多数で長期間にわたる性加害があったことを認定した。ジャニー氏の名前を冠した「ジャニーズ事務所」の会社名について、座長を務める元検事総長の林眞琴氏は「変更するかどうかはジャニーズ事務所において判断し、考えるべきことです」と見解を述べた。
会見で、林氏はジャニーズ事務所の名称の是非についての質問に返答。「性加害が長期間にわたって継続してきた。その原因の中に、同族経営の弊害が原因の一つとして報告書で挙げています。加害者が一番のジャニー氏というトップであり、共同経営者がメリー喜多川氏という同族の人であり、この2人が圧倒的な力を持っていて、組織としてガバナンスを利かせられる状況ではなかった。そこについての同族経営の弊害を防止する策について報告書で述べていますが、名称の問題について、変更するかどうかはジャニーズ事務所において判断し、考えるべきことです」と語った。
林氏は会見で、「自宅や合宿所などで、多数の未成年者に対し、性加害を行っていたことを認めました」と言及した。さらに、ジャニー氏は1950年代から、ジャニーズ事務所においては70年代前半から2010年代半ばまでの間に「ほぼまんべんなく」性加害を繰り返していたことを強調した。ジャニーズJr.タレントたちの間にあった性加害に対する認識について、「性加害を受ければ優遇され、拒めば冷遇されるという認識が広がっていたという供述がありました。こうした被害者の心情につけ込んで行っていたということを評価しています」と指摘。事務所側が「(性加害の)隠ぺいを続けた」と糾弾した。
調査報告書では、藤島ジュリー景子社長の対応にも、厳しく言及。取締役就任時に「ジャニー氏の性加害の疑惑を認識していたと認められる。ジュリー氏がこれまでジャニー氏の性加害の事実を認めなかったことから、ジャニーズ事務所は、ジュリー氏体制の下でも、性加害の事実は存在しないという立場を取り続け、2023年に入ってもなお、性加害の事実について曖昧(あいまい)な態度を維持していた」と、不作為を認定した。
そのうえで、ガバナンスの強化を図るべきとし、「ジュリー氏がトップのままでは、役職員の意識を根底から変え、再出発を図ることは極めて困難」としてジュリー氏について「辞任すべき」と求めた。「同族経営の弊害」を問題視し、ジャニーズ事務所の「解体的出直し」を提言した。また、林氏は性加害は「人権侵害」であることを指摘し、被害者救済措置制度を直ちに設置することを提案した。
特別チームは、林氏、精神科医の飛鳥井望氏、上智大総合人間科学部心理学科准教授の斎藤梓氏の3人で構成。5月29日に第1回会合を開催し、資料の精査に加え、性被害を申告した元タレントや事務所関係者ら41人(うち被害者21人)へのヒアリングを行ってきた。飛鳥井氏によると、「ヒアリングを行った現役(タレント)の方は被害者ではない」と述べた。
ジャニー氏による性加害問題は過去に何度も週刊誌などで報じられてきたが、今年3月に英BBCが報道して以降、元タレントらが相次いで被害を告発し、社会問題となった。