ジャニーズ事務所のジャニー喜多川前社長の性加害問題を巡り、事務所の対応などの調査・検証を行う「外部専門家による再発防止特別チーム」が29日、都内で記者会見を開いた。会見前に調査報告書が配布され、ジャニー氏による性加害を認定したことが報告された。さらに、藤島ジュリー景子社長が取締役就任時に「ジャニー氏の性加害の疑惑を認識していたと認められる」と、ジュリー氏の認識の有無に言及した。

　報告書では、ジャニーズJr.タレントへの多数で長期間にわたる性加害があったことを認定された。

　ジュリー氏の懈怠（けたい）について、「ジュリー氏はジャニー氏存命時の取締役当時はもちろん、自身がジャニーズ事務所の代表取締役社長に就任した以降ですら、性加害の事実の調査等をせず、取締役としての任務を懈怠した」とした。

　ジュリー氏の言動が事務所の対応に影響が出たことを強調。「ジュリー氏がこれまでジャニー氏の性加害の事実を認めなかったことから、ジャニーズ事務所は、ジュリー氏体制の下でも、性加害の事実は存在しないという立場を取り続け、2023年に入ってもなお、性加害の事実について曖昧（あいまい）な態度を維持していた。ジャニーズ事務所では、ジャニー氏の性加害を『なかったこと』にするという役職員の意識が改められることなく、継続されてきた」と分析した。

　そのうえで、ガバナンスの強化について強調。「ジュリー氏がトップのままでは、役職員の意識を根底から変え、再出発を図ることは極めて困難」としてジュリー氏について「辞任すべき」と求めた。さらに、「同族経営の弊害の防止」など、ジャニーズ事務所の「解体的出直し」を提言した。

　特別チームは、座長を務める元検事総長の林真琴氏、精神科医の飛鳥井望氏、上智大総合人間科学部心理学科准教授の斎藤梓氏の3人で構成。5月29日に第1回会合を開催し、資料の精査に加え、性被害を申告した元タレントや事務所関係者ら41人へのヒアリングを行ってきた。

　ジャニー氏による性加害問題は過去に何度も週刊誌などで報じられてきたが、今年3月に英BBCが報道して以降、元タレントらが相次いで被害を告発し、社会問題となった。