ジャニーズ性加害問題 「マスメディアの沈黙で被害拡大」と指摘<調査報告書>

ジャニーズ事務所のジャニー喜多川前社長(享年87)をめぐる性加害問題を受け、組成された「外部専門家による再発防止特別チーム」の記者会見が29日、都内で行われている。6月12日に続く2度目の会見。5月26日の組成から約3か月に及ぶ調査・検証の結果、ジャニー氏による性加害を認定。同事務所に対する再発防止策提言書の提出を発表した。

「外部専門家による再発防止特別チーム」記者会見が行われた【写真:山口比佐夫】
「外部専門家による再発防止特別チーム」記者会見が行われた【写真:山口比佐夫】

外部専門家による再発防止特別チームが発表

 ジャニーズ事務所のジャニー喜多川前社長(享年87)をめぐる性加害問題を受け、組成された「外部専門家による再発防止特別チーム」の記者会見が29日、都内で行われている。6月12日に続く2度目の会見。5月26日の組成から約3か月に及ぶ調査・検証の結果、ジャニー氏による性加害を認定。同事務所に対する再発防止策提言書の提出を発表した。

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 会見前には調査報告書が配布され、「マスメディアの沈黙」も指摘された。以下、同部分の全文。

<マスメディアの沈黙>

ジャニー氏の性加害の問題については、過去にいくつかの週刊誌が取り上げてきたものの、2023年3月にBBCが特集番組を報道して、その後、元ジャニーズJr.が性加害の被害申告の記者会見を行うまで、多くのマスメディアが正面から取り上げてこなかった。

例えば、上記のとおり、2000年初頭には、ジャニーズ事務所が文藝春秋に対して名誉毀損による損害賠償請求を提起し、最終的に敗訴して性加害の事実が認定されているにもかかわらず、このような訴訟結果すらまともに報道されていないようであり、報道機関としてのマスメディアとしては極めて不自然な対応をしてきたと考えられる。

また、文藝春秋に対する訴訟の東京地裁判決でも、週刊文春の記事において、「原告事務所〔注:ジャニーズ事務所を指す〕は怖く、当局〔注:在京の民放テレビ局を指す。〕でも事務所にネガティブなことを扱うのはタブーである」「マスコミ対応を委ねられているメリー喜多川は、ドラマの共演者が気に入らないと、その放送局の社長に直接電話をかけ、外すよう要求することもあった」「平成8年5月にSMAPのメンバーであった森且行が原告事務所を辞めさせられた」「メリー喜多川は、森がオートレーサーの試験に合格した事実を前向きに報じようとした民放のプロデューサーに、『SMAPには森なんていなかったでしょ?』『最初からいないの。森はSMAPのメンバーじゃない。』などと大声を出した」「森が原告事務所に内緒でレーサーの試験を受けたことが、メリー喜多川の逆鱗に触れた」「森の脱退に際して、何らかのイベントは一切なかった」と掲載された点について、その重要な部分が真実であるとの証明がされたか、又は少なくとも、被告の文藝春秋らが、これを真実と信ずるについて相当の理由があったというべきであり、「マスメディアは、原告事務所を恐れ、追従していること」それ自体又はその前提となる事実を真実と信ずるについては、相当の理由があったと判示している(この点は、東京高裁判決においても維持されている)。

 当該判決も踏まえると、テレビ局をはじめとするマスメディア側としても、ジャニーズ事務所が日本でトップのエンターテインメント企業であり、ジャニー氏の性加害を取り上げて報道すると、ジャニーズ事務所のアイドルタレントを自社のテレビ番組等に出演させたり、雑誌に掲載したりできなくなるのではないかといった危惧から、ジャニー氏の性加害を取り上げて報道するのを控えていた状況があったのではないかと考えられ、被害者ヒアリングの中でも、ジャニーズ事務所が日本でトップのエンターテインメント企業であり、ジャニー氏の性加害を取り上げて報道するのを控えざるを得なかっただろうという意見が多く聞かれたところである。

 このように、ジャニーズ事務所は、ジャニー氏の性加害についてマスメディアからの批判を受けることがないことから、当該性加害の実態を調査することをはじめとして自浄能力を発揮することもなく、その隠蔽体質を強化していったと断ぜざるを得ない。その結果、ジャニー氏による性加害も継続されることになり、その被害が拡大し、さらに多くの被害者を出すこととなったと考えられる。

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