投資詐欺やマルチ商法…詐欺師から身を守るには? 漫画から学ぶ対策と心得
昨今では積み立て投資や仮想通貨投資など、お金に関わる話題が多く挙げられている。生活していればお金に関心が高まるのは当然のことだが、詐欺被害も増加している。警察庁の発表によれば、昨年の特殊詐欺は前年(2021年)と比べて件数、被害額ともに増加しているようだ(参照:警察庁/令和4年における特殊詐欺の認知・検挙状況等について)。今この時も詐欺だと疑わずに架空の投資口座に多額の現金を振り込んでいる人がいる現状だ。
分かったフリは「カモ」のはじまり
昨今では積み立て投資や仮想通貨投資など、お金に関わる話題が多く挙げられている。生活していればお金に関心が高まるのは当然のことだが、詐欺被害も増加している。警察庁の発表によれば、昨年の特殊詐欺は前年(2021年)と比べて件数、被害額ともに増加しているようだ(参照:警察庁/令和4年における特殊詐欺の認知・検挙状況等について)。今この時も詐欺だと疑わずに架空の投資口座に多額の現金を振り込んでいる人がいる現状だ。
そんな詐欺被害をテーマにした漫画が、集英社『グランドジャンプ』にて22年から連載されている。タイトルは『カモのネギには毒がある 加茂教授の人間経済学講義』(作:甲斐谷忍、夏原武)。天才経済学者・加茂洋平が、弱者をカモにして金銭を搾取するペテン師たちを駆逐する経済エンターテインメントだ。力なき「カモ」に向けて加茂が作中で語った、詐欺に遭わないための対策や学びを紹介していこう。
まずは、グランドジャンプ公式サイトでも試し読み可能な特別編から「確実に儲かると思い込んでいる人は騙される危険がある」という学びだ。
特別編は、加茂が悩める女子大学生・名取三咲と出会い、解決に導くストーリー。名取の悩みは、実家の旅館が経営悪化したため、大学を辞めざるをえなくなってしまったというものだ。ストーリーを読み進めると、名取の両親は詐欺まがいな投資ファンドに多額の現金を投資してしまったことが分かった。加茂は「フィールドワーク」と称して詐欺師を相手に、大金を持ってきたカモを演じる。そして、逆に相手から大金を投資させることに成功する。
加茂は詐欺師との話し合いを、わざと詐欺師の事務所で行うことで「自分がカモにされる」という発想が出ないようにしていたのだ。しかも目の前に5億円という大金を見せながら話すことで、詐欺師は「確実に儲かる」と思い込み、加茂の罠にかかってしまった。もし確実に儲かると思うような話があったとしても、目の前のエサに夢中にならず、警戒心を持つことの重要性を学べるストーリーである。
次に紹介したいエピソードは、第1話「異時点間の選択」だ。ストーリーでは、お金に困った女性に対して、肉体関係を持つことを条件に、個人間で融資をおこなう「ひととき融資」に手を出そうとしているシングルマザーを加茂が救っていく。ターゲットとなったのは、ひととき融資をすると言い、肉体関係の盗撮データをもとに脅迫も行う詐欺師だ。ここでも加茂は相手が安心できる場所で罠を仕掛け、シングルマザーだけでなく、今も肉体関係がある女性の解放までも成し遂げてしまう。
このストーリーでの学びは、タイトルの「異時点間の選択」である。これは、今の快楽とずっとあとの快楽を比較すると、今の快楽に価値を感じてしまう行動経済学用語だ。困っている人は特にこの思考に陥り、目先の楽に流されてしまいがちである。ストーリーでは加茂によって助けられたが、現実でもし困窮した際は、目先の楽に流されないように、苦しいなかでも解決策を考え抜いてほしい。
『カモのネギには毒がある』は詐欺師をさまざまな経済的手法でやっつけていく爽快なストーリーだが、キャラクターの表情などの演出も魅力的だ。作者の甲斐谷氏は、ヤングジャンプで連載されていた心理バトル漫画『LIAR GAME』の作者であり、心理戦の描写には定評がある。そして原案は『クロサギ』や『正直不動産』の原案でも知られている夏原氏だ。この2人が描く経済学者の漫画が面白くないはずがない。
投資詐欺やオレオレ詐欺、マルチ商法など、さまざまな詐欺に切り込んでいく『カモのネギには毒がある』。詐欺に遭わないための処方箋としてはもちろん、詐欺師をどんどん倒していく加茂の手腕はある種のカタルシスを感じる。この漫画を読んで「カモリズム経済理論」を楽しく学び、詐欺師から身を守る知識を習得してみてはいかがだろうか。
※本文にて紹介している「カモのネギには毒がある 加茂教授の人間経済学講義」の第1話「特別講義『カモリズム経済学』とは」が下記より試し読み可能です。ぜひ御覧ください。
(C)甲斐谷忍プロダクツ・夏原武/集英社
「ヤンジャン!」では本作品全話配信中です。
https://ynjn.jp/title/5473