【サマソニライブリポ】平均16.6歳NewJeansは日本ファンのために歌詞を変更 SKY-HIはおなじみの高速ラップ

国内最大級の都市型フェス『サマーソニック(SUMMER SONIC) 2023』が19、20日の両日、東京(千葉・幕張メッセなど)と大阪(大阪・舞洲ソニックパーク)の2会場で開催された。今年の『サマソニ』は史上最速で全種のチケットが完売。豪華な顔ぶれがそろったラインナップへの注目度が例年以上だったことを示しており、ENCOUNTは現地で取材。リポート前編では、19日に東京会場(ZOZOマリンスタジアム&幕張メッセ)に登場したMAZZEL、SKY-HI、NewJeans、PALE WAVES、ENHYPENのステージをお伝えする。

オープニングアクトを務めたMAZZEL【写真:(C)SUMMER SONICAll Copyrights Reserved.】
オープニングアクトを務めたMAZZEL【写真:(C)SUMMER SONICAll Copyrights Reserved.】

MAZZEL→SKY-HI→NewJeans→PALE WAVES→ENHYPEN

 国内最大級の都市型フェス『サマーソニック(SUMMER SONIC) 2023』が19、20日の両日、東京(千葉・幕張メッセなど)と大阪(大阪・舞洲ソニックパーク)の2会場で開催された。今年の『サマソニ』は史上最速で全種のチケットが完売。豪華な顔ぶれがそろったラインナップへの注目度が例年以上だったことを示しており、ENCOUNTは現地で取材。リポート前編では、19日に東京会場(ZOZOマリンスタジアム&幕張メッセ)に登場したMAZZEL、SKY-HI、NewJeans、PALE WAVES、ENHYPENのステージをお伝えする。(取材・文=鄭孝俊)

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 幕張メッセ内に設営されたマウンテンステージ。午前10時30分からのオープニングアクトは、MAZZEL(マーゼル)が務めた。SKY-HIが社長を務めるBMSG所属で、ボーイズグループ発掘オーディション『MISSION×2』から誕生した8人組だ。

 ステージに飛び出してきたカイリュウ、ナオヤ、ラン、セイト、リュウキ、タクト、ハヤト、エイキ。それぞれが、「盛り上がる準備はできていますか!」「行くぜー、サマソニ!」などとシャウトしながら、5月17日に発売したデビューシングル『Vivid』と『CAME TO DANCE』を踊り、歌った。

 ボルテージがグングンと上がる会場を見渡したメンバーは、「デビューしたばかりでこんなすてきなステージに立てて光栄です」「すべての音楽ファンのおかげです」と朝から集まったファンに感謝の言葉を送った。続いて甘いラップが胸にしみる『FANTSY』を情感たっぷりに披露。ステージは真っ赤な照明で染まり、『LIGHTNING』のヘビーなイントロが響き始めた。メンバーは指先まで意識したポテンシャルの高いダンスを繰り出し、ラストの『MISSION』では強烈なサウンドにラップの響きを乗せてパワフルに歌い上げた。実力派ぞろいの8人だが、随所で見せるメンバーのキュートな笑顔が印象的でフレッシュな魅力満載のステージとなった。

午前中から観客を見事に巻き込み盛り上げたSKY-HI【写真:(C)SUMMER SONICAll Copyrights Reserved.】
午前中から観客を見事に巻き込み盛り上げたSKY-HI【写真:(C)SUMMER SONICAll Copyrights Reserved.】

 MAZZEL終演後、そのままマウンテンステージ会場で待機。オールスタンディングのフロアを見渡すと、ベビーカーに赤ちゃんを乗せたファミリーの姿が多いのに気付いた。着席型のコンサートではなかなか難しい家族総出のコンサート参戦だが、自由に会場を出入りできるサマソニなら可能だ。

 早朝から駆け付けたためまだ眠いのか、フロアに寝転がって休んでいる観客も多くいた。それぞれが思い思いのスタイルで参加。そんな自由な空間が広がっていた。ステージには生バンドの機材が搬入されている。サウンドチェックが始まると、紅白柄の派手なガウンをまとったポニーテール姿のSKY-HIが登場した。午前11時過ぎ、いきなり高速ラップを披露。午後にマウンテンステージに登場する韓国の7人組ボーイズグループ・ENHYPENの名を挙げ、「(同グループを輩出した)オーディション番組『I-LAND』でのニキ君を見て、僕も『オーディションをやろうかな』って思いました」と明かし、観客の関心を引き寄せた。本番が始まると、「帰ってきたぜ。サマソニ!」と叫び、『Crown Clown』『Happy Boss Day』をたたみかけた。そして、「最高じゃーん!」と弾ける笑顔を見せた。さらには、他のアーティスト登場も楽しみしている観客に向け、「SKY-HIがサマソニをエスコートするぜ!」と呼び掛けた。

昼間から3万人の観客を集め人気を証明したNewJeans【写真:(C)2023 ADOR. All Rights Reserved.:Siyoung Song】
昼間から3万人の観客を集め人気を証明したNewJeans【写真:(C)2023 ADOR. All Rights Reserved.:Siyoung Song】

 マリンスタジアムのステージで注目されたのが、初出演となった韓国5人組ガールズグループ・NewJeansだ。正午から登場するため、SKY-HIのステージが心残りながら移動。幕張メッセ2番ゲートを出て、左に進んで屋根付き歩道を歩いた。マリンスタジアムまで徒歩で約10分だったが、路上が混雑しているため、「到着まで20分は見ておいた方が良い」と思った。

 K-POPガールズグループ第4世代のNewJeansは、デビュー約1年で米国最大の音楽祭として有名な『ロラパルーザフェスティバル』に出演し、約7万人の観客を熱狂させた(現地時間8月3日午後5時)。そして、平均年齢16.6歳で“怪物グループ”の位置付けになった5人がサマソニ初出演。観客の興奮、期待度を感じながら、私はステージと観客席が見渡せる2階に着席した。

 メンバーのミンジ、ハニ、ヘイン、ダニエル、ヘリンは、大歓声を受けながら登場。『Ditto』『OMG』『Cookie』『Attention』『Hype Boy』を生バンドバージョンで披露した。私の左隣に座り、20代とみられる女性2人は「かわいい~!」を繰り返しつつ、身を乗り出してメンバーのしぐさや表情を観察していた。そして、続く『OMG』では「only you~」の歌詞をハニが日本語で、「君だけ~」と替えて歌うおちゃめさ見せ、さらにファンを喜ばせた。

 日本で正式デビューをしていない。にもかかわらず、マリンスタジアムには、NewJeansを見るために約3万人が集まった。主催側は安全のため、入場制限を実施。MCでメンバーは「サマソニは初めてなので本当にドキドキしています。一生懸命準備したので、今日は一緒に楽しい時間を過ごして、忘れられない思い出を作りましょう」などと日本語であいさつ。そんな素朴な姿も魅力になっている。

 ステージでは、2nd EPの最初のトラック『New Jeans』に続き、ダンサー19人とシンクロダンスを繰り広げる『Super Shy』のフラッシュモブパフォーマンスを披露。観客のボルテージを上げ、さらにエアホーンが鳴り響く『ETA』、シックな『Cool With You』の他、『Get Up』『ASAP』など多彩な楽曲で観客を魅了した。ファンはペンライトとハングルで書かれた応援プラカードを振って合唱。約40分で計11曲を歌い、踊った5人は「皆さんが一緒にいてくださったおかげで、全てのステージを楽しむことができました。最後まで一緒に楽しんでくださって本当に幸せでした。また会いましょう」とさわやかにあいさつし、ステージを去った。公演直後、Xの日本トレンドには、「#NewJeans」が上位に入っていた。

アート性の高いステージでファンを熱狂させたPALE WAVES【写真:(C)SUMMER SONICAll Copyrights Reserved.】
アート性の高いステージでファンを熱狂させたPALE WAVES【写真:(C)SUMMER SONICAll Copyrights Reserved.】

 終演後、座席で水を飲みながらしばらくクールダウン。午後1時5分になると、英インディーロックバンド・PALE WAVES(ペール・ウェーブス)が登場した。女性リードシンガーでギタリストのヘザー・バロン・グレイシーが、大学在学中にドラマーのキアラ・ドランと結成したバンドが始まり。ギタリストのヒューゴ・シルヴァーニ、ベーシストのチャーリー・ウッドが加入し、現在のバンド体制となった。

 2017年2月にデビューシングル『There’s A Honey』、同8月にセカンドシングル『Television Romance』を発売し、世界的に注目。18年に開催された『サマソニ』で初来日を果たし、同年、デビューアルバム『My Mind Makes Noises』を発売した。キラッキラッな青春を歌うスタイルで、19年の日本ツアー東京2公演を完売させた。同年の『サマソニ』で2年連続出演。21年2月には、セカンドアルバム『Who Am I?』でUKアルバム・チャート初登場3位を獲得した。サマソニ出演は4年ぶりで、この日のステージは“自分が自分であること”の誇りを歌い上げた『Lies』からスタート。『You’re So Vain』『Television Romance』と力強く進行した。

 ゴシック系のガールズクラッシュファッションで身を固めたヘザーは『トーキョー!』とあおりながら、ポップパンクのエレキギターサウンドをたたき込んだ。そして、小気味よく伸びのある高音と爆発的な声量を織り交ぜる魅惑的なボーカルで、観客をヒートアップさせた。彼女は「We love Tokyo so so much!」とはにかんだ笑顔を見せる一方、8曲目の『Unwanted』では、客席から渡されたレインボーの旗をマイクスタンドにかけて切々と歌い上げた。LGBTQコミュニティーとの関わりに積極的なヘザーらしい姿がそこにあった。生ライブならではのハプニングも取り混ぜながら、計11曲を披露。ヘザーは最後に「ありがとう!ありがとう!ありがとう!」の日本語3連発でステージを締めくくった。美的センスあふれる衣装とパワフルな音楽、個々人のプライドを歌い上げるPALE WAVESのアート性高い世界観が観客の胸に響いた。

ポケモンとのコラボステージで盛り上げたENHYPEN【写真:(C)SUMMER SONICAll Copyrights Reserved.】
ポケモンとのコラボステージで盛り上げたENHYPEN【写真:(C)SUMMER SONICAll Copyrights Reserved.】

 ここでランチ休憩。スタジアムの外周には、食事処が多数設けられていた。ニューヨーク屋台メシ、チキンオーバーライス、チキンカツカレー、スパイスカツドッグ、かき氷、釜あげしらす丼、若鶏からあげ、ナポリピッツァ、本格うな重、冷麺、仙台牛たん丼、合い盛り丼……。各売店には観客が長い列を作っていた。マリンスタジアム内にもロッテリア、築地銀だこ、イタリアンバールM、フードショップ志ん橋などがあるため食事には困らない。コンクリートのフロアにシートを敷き、生ビールを飲んで談笑するグループや家族連れの姿が見られた。

 夏フェスは観客のファッションも話題になる。サマソニ会場では、女性はショート丈のへそ出しトップスにミニスカート、カーゴタイプのハーフパンツを合わせた風通しの良いルックスが目立っていた。複数のアクセサリーにタトゥーシールも定番で、NewJeansのミュージックビデオ(MV)に登場したパワーパフガールズのタトゥーシールを腕や肩に張った若い女性グループもいた。

 午後2時30分。再度マウンテンステージに戻り、ENHYPENの登場を待った。フロア後方まで観客で埋まり熱気に満ちている。同55分。メンバーのヒスン、ジェイ、ジェイク、ソンフン、ソヌ、ジョンウォン、ニキが登場し、『Tamed-Dashed [Japanese Ver.]』『Attention, please!』を披露してエネルギッシュなステージをスタートした。

 サマソニ初出演となった7人は「以前からサマーソニックに参加したいと思っていました。 雰囲気が本当にすごいです。 皆さんと一緒に熱い夏を楽しもうと思います。準備はできましたか?」と日本語で呼びかけ、一気に会場を盛り上げた。日本オリジナル曲『Always』『Forget Me Not』『Polaroid Love』に続く『One and Only』では、MVで共演したピカチュウがステージにサプライズで登場。メンバーと楽しそうにダンスし、ファンの笑いを誘った。

 興奮の余韻が残る中、メンバーはロックバージョンの『Bite Me』『Blockbuster』『Karma』を歌い上げ、最後は『Blessed-Cursed [Japanese Ver.]』、『Future Perfect (Pass the MIC) [Japanese Ver.]』をパワフルに披露し、ステージを締めくくった。全12曲バンド演奏。臨場感たっぷりのステージは、ENHYPENのエネルギーを増幅させる完成度の高い表現スタイルとして、今後も披露されそうだ。

 猛暑の中での5時間はこうして過ぎていった。「後編」は、SEKAI NO OWARI、GEN HOSHINO、BLUR、YOASOBIのステージをリポートする。

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