岡崎紗絵「私は役者でやっていく」 意識を変えた映画出演、言霊でかなえる夢「大河に出たい」

俳優としての活躍が目覚ましい岡崎紗絵(27)が映画『緑のざわめき』(9月1日公開、監督:夏都愛未)で姉をストーカーする妹役というこれまでにないキャラクターを演じている。トレードマークの明るい笑顔を封印しての新境地への挑戦だったが、どのような思いで撮影に臨んだのだろうか。

映画『緑のざわめき』に出演した岡崎紗絵が自身の役について語る【写真:荒川祐史】
映画『緑のざわめき』に出演した岡崎紗絵が自身の役について語る【写真:荒川祐史】

ストーカー役が「ものすごく光栄」だったワケ

 俳優としての活躍が目覚ましい岡崎紗絵(27)が映画『緑のざわめき』(9月1日公開、監督:夏都愛未)で姉をストーカーする妹役というこれまでにないキャラクターを演じている。トレードマークの明るい笑顔を封印しての新境地への挑戦だったが、どのような思いで撮影に臨んだのだろうか。(取材・文=中村彰洋)

 3人の異母姉妹が織りなす物語を描いた同作は、葉脈と血のつながり、ファミリーツリー、性と聖のつながりをテーマに描かれたオリジナル作品。「全体的にすごく繊細だなと思いました。3姉妹がそれぞれ違う人生を歩んで、違う悩みを持っていて、傷やコンプレックス、あまり声を大にしては言えないようなことがフォーカスされているなと思いました」と台本を受け取った際の感想を明かした。

 岡崎は、血のつながりを持つ異母姉・小山田響子(松井玲奈)に近付くためにストーキングする菜穂子という難役を務めた。これまで、岡崎自身のキャラクターに近い明るい役柄を演じることが多かったが、今回は笑顔が少なく、真逆とも言える役柄となった。

「ここまで影のある役は初めてでした。声を掛けていただいたときに、『菜穂子の代名詞はストーカー』と聞いて、ちょっとびっくりしました。今までに挑戦したことのない役柄でしたからね。過去に似たような役を演じていれば、イメージはつくと思うのですが、そういった材料がない中でのお声掛けだったので、ものすごく光栄でしたし、すごくうれしかったです」

 ストーカー行為を重ねる一方で友人とのコミュニティーも持つという二面性。「少し悩みました」と役作りにも苦労したようだが、夏都監督とのディスカッションを重ね、菜穂子という人物像を作りあげていった。「『人間味あふれる人でちょっと触れ幅が大きい子なんだな』と理解して演じるようにしました。悩みながら、考えながら撮影を続けていたので、『やり切った!』というよりも、気付いたら終わっていたという感覚でした」。

 岡崎自身とは、対照的な性格の菜穂子。「あそこまで突飛な行動はしない」と前置きしながらも「好きなことに真っすぐなので、ハマるときはすごいハマる部分は似てるかなと思います」と共通点を挙げた。「2年前に麻辣湯にハマりすぎて、週4ぐらいで同じお店に行って、お昼に食べに行って、夕食分をテイクアウトして帰るとかもしてました」と意外な素顔をのぞかせた。

「いろいろな役をやってみたい」と抱負を口に【写真:荒川祐史】
「いろいろな役をやってみたい」と抱負を口に【写真:荒川祐史】

転機となった『mellow』への出演

 姉への憧憬(しょうけい)や妹への嫉妬心と複雑な姉妹愛が描かれている本作だが、岡崎自身もきょうだいがいるからこそ理解できる部分もあったようだ。

「お姉ちゃんへ憧れる気持ちも分かりますし、妹がいるからこそ、『お姉さんにならなきゃ』と思う部分など共感できるところがありました。学生の頃は勉強とかで比較されました。妹は5つ下なので、生まれたときには『自分が1番下だったのに……』といった葛藤も多少はあったので、嫉妬心も理解できるところはありました」

 2012年にモデルからスタートした芸能人生。今では“俳優・岡崎紗絵”としての活躍が目覚ましい。そんな彼女にとって、ヒロインとして出演した映画『mellow』(20年)が大きな転機となった。

「役者のお仕事は、自分から『やりたい』と意思表示をして始まったわけではなかったんです。ドラマなどにも出させていただいていましたが、余裕もなくて、いっぱいいっぱいの日々でした。でも、『mellow』にヒロインとして出演させてもらって、役者としての意識がガラッと変わりました。『あ、ちゃんとこの作品に関わってるんだ』と自覚を持つことができて、とても大きな経験になりました。そこから、『私は役者でやっていきたい』と思うようになりました」

 今作を通して、新たな役どころへ挑戦したいという気持ちが強くなったという。「難易度は高いですが、いろいろな役をやってみたいです。いろんな引き出し、振り幅を持てたらと思っています」。「時代物……大河に出たいです」と照れ笑いを浮かべながらも次なる目標を口にした。

 今年6月には、フジテレビ系ドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』で語りを務め、“声仕事”にも初挑戦。俳優のみならず「声優」への憧れも強くなった。

「声でキャラクターに命を吹き込むことは、とても難しいと思いますが、挑戦してみたいですね。コロナ禍でアニメを見るようになったことで、やってみたい気持ちが強くなりました。おうち時間が増えて、当時はやっていた『鬼滅の刃』を見たら、ちゃんとハマりまして……(笑)。改めて、声優さんってものすごいな、また新しい世界だなと感じて、挑戦したい気持ちが強くなりました」

 取材の最後には「“言霊”なので、やりたいことは言っていかないと」と笑顔を見せた岡崎。夢や目標を言葉に変えて、着実にステップアップしていく。

□岡崎紗絵(おかざき・さえ)1995年11月2日、愛知県出身。2012年に女性ファッション雑誌『Seventeen』(集英社)でグランプリを受賞し、専属モデルとしてデビュー。現在は女性ファッション雑誌『Ray』(主婦の友社)専属モデルなどで活躍。15年より俳優としても本格的に活動を開始し、最近ではドラマ『教場II』『ナイトドクター』(いずれも21年/フジテレビ)、『オールドルーキー』(22年/TBS)など話題作に出演。『花嫁未満エスケープ』(22年、23年/テレビ東京)では初主演を務めた。映画では『mellow』(20年)、『シノノメ色の週末』(21年)などに出演。活躍が多岐にわたる。

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