大貫勇輔「主演のハリーをやれるなんて」 舞台『ハリポタ』でみせる天性のフィジカル
俳優の大貫勇輔が今月26日から舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』で主演のハリー・ポッターを演じる。体操一家に生まれた34歳は抜群の身体能力と表現力で、数多くの舞台、映像の分野で活躍してきた。幼少の頃から大ファンだったハリー・ポッターにどのような思いで挑むのか。
26日から登場、10歳から原作を読み始めた大ファン
俳優の大貫勇輔が今月26日から舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』で主演のハリー・ポッターを演じる。体操一家に生まれた34歳は抜群の身体能力と表現力で、数多くの舞台、映像の分野で活躍してきた。幼少の頃から大ファンだったハリー・ポッターにどのような思いで挑むのか。(取材・文=中村智弘)
同舞台は昨年7月に日本で開幕し、2024年3月までのロングランが決定。ハリー・ポッターシリーズの原作者であるJ.K.ローリングの原案で、「家族、愛、喪失」をテーマにハリー・ポッターの19年後の新たなストーリーを描いている。
ハリー・ポッター役は初年度、藤原竜也、石丸幹二、向井理がトリプルキャストで務めたことで話題を呼んだ。今年に入り、新たに藤木直人、大貫の起用が発表された。主演を務めるのは大先輩ばかりだが、大貫に気負いはないという。
「『あっ、大貫勇輔だ』というよりも、『あっ、ハリー・ポッターだ』と思ってもらえるように演じられたらいいなと思います。ですから、僕がどうこうというよりも、この作品全体の大きな歯車の一部として、責任をしっかりと果たしたいですね」
10歳の頃から、原作の小説を読み始め、ハリー・ポッターの大ファン。続編が出るたび、親にお願いして買ってもらった。もちろん、映画シリーズも全て見ている。
「(映画でハリーを演じた)ダニエル・ラドクリフは、生まれ年が僕の一つ下で、今は同じ34歳。これまで一緒に成長してきたと言ってもいいぐらいです。でも、まさか自分が関わることができるとは思っていませんでした。しかも、主演のハリーをやれるなんて。オーディションの話がきた時は、すぐに『絶対受けます』と言いました。『絶対に(主演を)掴み取ってやるぞ』と思っていましたね」
体操一家に生まれた。祖父はオリンピックで体操の強化選手、母親も元体操選手だ。自身は7歳の頃からダンスを始め、17歳でプロダンサーに。授かった天性のフィジカルと、強いメンタルを併せ持つ。
「これまで、地獄のトレーニングにも向き合えたのは、強いフィジカルもあるのですが、結構、苦しいのが好きなんですよ。ダンサーって、ドMでもあるし、ドSでもある。『陸のマグロ』とも言われます。みんな大体、止まってないんです。僕の場合も、稽古場で、ずっとストレッチをしたり筋トレしたり、踊ってたりする。6、7歳の頃からそんな感じです。落ち着きがない子どもでしたね(笑)」
2021年に舞台『北斗の拳』でケンシロウ役 今年は大河にも出演
若くして頭角を現し、これまで数多くの舞台で活躍してきた。だが、コロナ禍では軒並み舞台が中止に追い込まれ、苦しい思いもした。「家族や仲間の存在が大きかった。何とか乗り切れました」と振り返る。2021年には、人気漫画『北斗の拳』が初めてミュージカル化され、主人公・ケンシロウを演じた。今年は念願だったNHKの大河ドラマ(『どうする家康』で浅井長政役)にも出演している。
「ありがたいことに色んなお仕事させていただいて、『わあ、もう今年最高だわ。これ以上の幸せないんじゃないか』と思っているのですが、次の年になって、『わあ、すげぇ。もっと大変だ』みたいな。ありがたいことに、ここ3年はそんな更新が続いてます」
仕事だけでなく、プライベートも充実している。2021年には結婚、22年には第1子となる長男が誕生した。
「稽古が終わったら、すぐに飛んで帰って、子どもをお風呂に入れたり、ご飯を作ったりしていました。やはり舞台をやりながら、子どもの面倒を見るのは大変でしたね。夜泣きで、寝れない中、本番に挑んだこともありました。もちろん、子どもは癒しでもあります。自分に似て、手も足も大きくて、体が強い。体操の家系だからでしょう。親に感謝しています」
毎日、稽古に打ち込み、家ではパパの顔をのぞかせる。待ち遠しかった夢の舞台はもうすぐ。大好きなハリー・ポッターを力いっぱい演じる。
□大貫勇輔(おおぬき・ゆうすけ)1988年8月31日、神奈川県出身。7歳からダンスを始め、17歳からプロダンサーとして活動。バレエ・ジャズ・コンテンポラリー・モダン・ストリートアクロバットなど多岐に渡るジャンルのダンスを踊りこなす。主なミュージカル・舞台に『ロミオ&ジュリエット』『メリー・ポピンズ』『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』『マチルダ』、主なドラマに『ルパンの娘』『どうする家康』などがある。